2014年7月10日木曜日

大学生のバイトの国際比較

 前回は,学生のバイト実施率・平均時間を県別に出したのですが,今回は国際比較をしてみようと思います。依拠する資料は,内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』です。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf_index.html

 私は本調査のローデータを開いて,各国の大学生サンプルを取り出しました。取り出されたサンプル数は,日本が237人,韓国が339人,アメリカが176人,イギリスが99人,ドイツが150人,フランスが99人,スウェーデンが199人です。英仏がやや少なくなっていますが,分析に耐えない数ではありません。

 これらの学生の就業状態を明らかにすると,下図のようです。無回答・無効回答はありませんでした。


 フルタイムの仕事を持つ学生(≒社会人学生)を別にすれば,日本の学生が一番バイトをしていますね。実施率は6割近くです。

 まあ,遊ぶ金を稼ぐ程度の「ユルい」バイトが大半でしょうが,高学費を稼ぐための長時間バイトも少なくないことでしょう。昨今よくいわれる「ブラックバイト」の被害者もね。

 それをうかがわせるデータもあります。日本の大学生を,バイトしている群(139人)としていない群(96人)に分け,各種の心配事の量をとってみました。4段階の回答のうち,一番強い肯定の「心配である」の比率です。結果をチャート図でお見せしましょう。


 全体的にみて,バイト群のほうが心配事が多くなっています。非バイト群との差は,友人や異性関係の項目で大きくなっていますが,勉学や将来に関わる不安についても然りです。長時間のバイト学生だけを取り出したら,値はもっと高くなるのではないでしょうか。とくに勉強や将来の項目で。

 日本学生支援機構の『学生生活実態調査』では,学生のバイト時間の量も調べています。また,各種の心配事の設問も盛り込んでいるようです。それを使って,今述べたような問題のデータをつくってみたらどうかしらん。学生支援のための貴重なエビデンスにもなるでしょう。ローデータを出してくだれば私がやるのですが…。公的調査はさまざまな角度から分析され尽くすべし。
http://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/12.html#arubaito

 ローデータという点でいうと,昨日公表された内閣府の『2013年度 小学生・中学生の意識に関する調査』は,それを提供してくれるそうです。もちろん無償。下記サイトの連絡先に一報を入れるだけでよし。私は早速申請し,先方からの連絡を待っているところです。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/junior/pdf_index.html

 何度も言いますが,公的調査のデータは国民の共有財産。多くの人による多様な視点から,十分に活用されるべきものであることは言うまでもありません。最近,そういう機運が高まっていることは,とても好ましいことだと思っています。