毎年公表されるジェンダーギャップ指数で無様な位置にある日本ですが,とくに酷いのは政治分野です。2021年のデータだと,156か国中147位。国会議員の女性比率が低いことを思うとさもありなんです。今年は参院選ですが,こうした歪みが正されることを切に願います。
女性比率が低いのは政治家だけではありません。高度専門職も然り。たとえば医師の女性比率をみると,2019年の日本の数値は21.8%です(OECD「Health at a Glance 2021」)。
われわれ日本人の感覚からすれば「そんなもんだろう」かもしれません。しかし国際的にみると全然普遍的ではなく,先進国の数値を拾うとアメリカは37.0%,イギリスは48.6%,スウェーデンは49.6%と,男女ほぼ半々です。OECD加盟の37か国について,医師の性別構成を比較すると以下のようになります。女性比率が高い順に並べています。
日本はといえば,見事に最下位です。自分たちが日ごろ目にしている光景は普遍的でも何でもない,むしろ特異である。このことを胸に刻みましょう。
この惨状がなぜかについては,女子が医師などを志すを表明すると周囲から「止めろ」と言われる,理系の進路に進もうとすると変わり者扱いされる,そもそも女性医師のモデルに接する機会が乏しい…。こんなことがよく言われますが,こうした社会の風潮とは別の可能性も見えてきています。医学部入試での不正です。
2018年,某私立大学医学部入試で女子の点数を操作していた不正が発覚しました。女性医師は職場の定着率が低い,できるだけ男子をとりたい・・・。こんな思惑でしょうが,医師を志す女子をあざ笑うもので断じて許し難し。
今朝の朝日新聞ウェブに,近年の医学部合格率の性差が出ていました。不正が発覚した2018年以降,女子の医学部合格率が男子を上回るようになったとのこと。フェア?な競争にしたら,やっぱりこうなると。
こういう傾向は官庁統計にも出ています。文科省の『学校基本調査』に,大学の医学専攻の入学志願者(延べ数)と,実際の入学者の数が出ています。後者を前者で割れば,合格率の相似値になるでしょう。データがとれる2015年から2021年までの推移を跡付けると以下のごとし。