ページ

2011年1月11日火曜日

思春期やせ症

 肥満も問題ですが,痩身(やせ過ぎ)も考えものです。昨年の12月20日の記事では,小・中学生に占める肥満傾向児の比率を調べましたが,痩身傾向児はどれほどいるのでしょうか。ここでは,女子に焦点を当てようと思います。

 文科省の『学校保健統計調査』では,各人の実測体重を身長別標準体重と照らして肥満度を出し,この値が-20%以下の者を「痩身傾向児」と判定しています。この痩身傾向児が,全児童生徒に占める比率を,痩身傾向児出現率といたしましょう。この指標の値を年齢別・時代別に俯瞰すると,下図のようになります。


 近年の12~13歳をピークとする,なだらかな同心円状になっています。2005年の12歳では,4.67%にもなります。女子に発症率の高い摂食障害の一つに,拒食症というものがあります。やせたいあまりに,食べることを拒否し,ガリガリになってしまう症状です。12歳以降の思春期に多発するので,「思春期やせ症」ともいいますが,図のブラックゾーンは,この症状の存在を示唆しています。

 思春期にさしかかった多感な女子児童生徒は,痩身を美とする社会的風潮を意識させられる,ということでしょう。しかし,人間にとっての基本的な営みである「食」を疎かにする理由にはならないはずです。食育の重点ターゲットとすべきは,この年齢層の女子であるかもしれません。