私は東京都民ですが,2005年の『国勢調査』によると,東京都在住者は約1,242万人となっています。総人口の9.8%,ほぼ1割に相当します。面積の上では,全国の0.5%しか占めない東京に,人口の1割が居住しているわけです。相当な集中度といってよいでしょう。
この東京居住率の推移をみると,最も高かったのは,1965年の11.0%でした。それが,1995年の9.4%まで減少し,最近増加に転じ,今日の9.8%に至っています。しかし,国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(中位推計)によると,2035年には,11.5%にまで高まるであろうと予測されています。
以上は,国民全体の値ですが,東京居住率は,年齢層によってかなり異なると思われます。若いうちは東京に出てきて,以後,Uターンするというケースも多いですので。そこで,例の社会地図を使って,東京居住率を年齢階層別に出し,その変化と今後の予測を一望してみることにしました。
まず,16%を超える黒色のゾーンが,1965年の20代前半の部分に見出されます。高度経済成長期にあった当時,多くの若者が,地方から大都市・東京に出てきていたためです。その後は,こうした極端な山はなくなっています。ですが,やはり若年層で率が相対的に高いことは変わりません。
あと一点,図には右下がりの斜線模様が目立ちますが,これは,当該の現象が世代現象であることを示唆しています。たとえば,私の世代(2010年で30代前半)の場合,今後,12%以上が都内に住み続けることが予想されています。2025年以降,20代から30代の部分に水色のゾーンが広がっていますが,この世代は,われわれの子ども世代に該当します。
時代軸で相対化してみると,かつてのような,極端な一極集中はなくなっているように思えます。ですが,都の周辺3県や京阪神をも加えると,違った様相が出てくるかもしれません。とくに,首都圏では,埼玉や千葉などの近郊県で人口が増加する,いわゆるドーナツ化現象がありますから。この作業は,機会を改めることとします。