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2011年5月13日金曜日

教員の離職率⑤

 最近,生活時間が不規則になり,こんな時間にパソコンに向かっています。でも,生活は朝型にしたほうがよいので,今日は,朝一番で新宿の総務省統計局に出かけようと思っています。外出先では,どんなに眠くても昼寝をするわけにはいきませんので,生活リズムの立て直しにはもってこい,というわけです。

 私の場合,統計局の図書館で数字ハンティングをし,データをノートパソコンに打ち込んでいる最中は,眠気を催すことはありません。人からは,異常体質だとよく指摘されます…
http://www.stat.go.jp/training/toshokan/4.htm

 前回は,学校段階別に教員の離職率を明らかにしました。そこでは,とくに高校教員の離職率が際立って高いことが分かりました。はて,高校教員のどの層の離職が多いのでしょう。今回は,各学校の離職率を,属性別に出してみようと思います。

 離職率とは,2006年度間の離職者数を,2007年10月1日現在の教員数で除したものです。前者の離職者とは,定年や転職といったメジャーな理由ではない,統計上「その他」というカテゴリーに括られた理由による離職者のことです。分子,分母とも,文科省『平成19年度・学校教員統計調査』より得ています。


 各学校の離職率を,性別・年齢層別にみてましょう。小学校については,5月7日の記事でみた通りですが,中学校と高等学校でも,男性より女性,高齢層より若年層で離職率が高い傾向にあります。とくに,高校の若年教員の離職率の高さはすさまじいです。25歳未満では51.2‰,すなわち約5%,20人に1人が理由不詳の離職者です。

 高校では私立校も少なくありませんが,経営難に苦しむ私立高校では,若年教員を任期付き採用にしているケースもあるでしょう。任期満了に伴う離職者が,分子に含まれてしまっている可能性があります。高年層についても,リストラによる離職者が含まれているかもしれません。

 このような可能性を除外するため,公立学校の離職率を比較してみましょう。下表をご覧ください。


 公立学校の統計では,様相が少し違っています。高校の離職率は12.5‰から6.1‰へと急落し,中学校よりも低くなります。高校の離職率の高さは,私立学校の比重の高さによる部分が大きかったようです。でも,25歳未満の離職率の高さは,相変わらず目立っています。

 この点を考えるには,公立高校の若年教員の離職率を県別に出し,要因解析を行うのがよいのでしょうが,公立学校の離職率は,県別には出せません。マクロな統計で明らかにし得ることは,ここまでのようです。ミクロな事例研究の蓄積へと,バトンタッチしたいと思います。