今回は,各県の通塾率と子どもの学力の相関をみるつもりでしたらが,すみません。タイムリーな話題を入れさせてください。
6月7日の警察庁の発表によると,今年5月の自殺者数(速報値)が,昨年5月のそれよりも大幅に増えたのだそうです。昨年は2,782人でしたが,今年では3,281人となっています。409人増加,倍率にすると1.18倍です。資料は,下記サイトの「平成23年の月別の自殺者数について」(PDFファイル)というものです。
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm
昨年と今年の月別の自殺者数をグラフにすると,上図のようになります。今年の5月になって,急に3,000人を超えています。1月から3月までの数は,昨年を下回っていましたが,4月と5月では,それを凌駕しています。3月11日に起きた東日本大震災との関連があるのでしょうか。
ですが,被災した東北の県で自殺者が大幅に増えているかというと,そうでもありません。下の地図は,今年の5月の自殺者数が昨年5月の何倍になったかという,増加倍率を県別にみたものです。なお,警察庁が発表している県別の自殺者数は,発生地主義のものであることを申し添えます。たとえば,東京の人間が北海道まで出向いて,そこで自殺した場合,北海道の自殺者として計上されます。
倍率の全国値は,さきほど示したように1.18倍です。これを県別に出すと,最も高いのは和歌山で2.24倍です。当県では,17人から38人に増えています。その次は沖縄で2.19倍です。次に香川の1.67倍,奈良の1.62倍と続きます。
これだけをみる限り,今回の大震災との関連は明確ではありません。内閣府は,「雇用環境の悪化で,特に50歳代の男性が多い」,という見解を表明しているようです。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20110610-OYT8T00011.htm
震災後,企業の倒産や雇い止めが増え,失業率も昨年の同時期に比べたら高まっていることと思います。この点については,被災地であるか否かを問わず,どの地域でも同じでしょう。今年の月別の失業率は,もう公表されたのかしらん…。
5月の自殺者急増の謎を探るには,どの層で自殺者が増えたかを追求する必要があります。内閣府も,上記のような年齢層別の統計を持っているのなら,それを公表してほしいです。
警察庁の公表資料から,性別の数は知ることができます。それによると,男性の自殺者は1.11倍(1,989人→2,210人),女性の自殺者は1.35倍(793人→1,071人)に増えています。増加倍率は,女性のほうが高いようです。しかるに,これだけからは何ともいえません。高齢女性の自殺者増ということでしょうか…