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2012年5月19日土曜日

年齢層別の悩み・ストレス

「現在,悩みやストレスがありますか」と問われたら,あなたならどう答えますか。「ある」と答えざるを得ない方も多いのではないでしょうか。

 2010年の厚労省『国民生活基礎調査』では,対象者(入院者除く)にこの質問を投げかけています。本調査のサンプルから推計される,12歳以上の国民の悩み・ストレスの所有状況は,下表のようです。5歳刻みの年齢層別の数値を示しています。


 12歳以上の国民全体でみると,悩みないしはストレスがある者の比率は46.5%です。現代日本では,国民の半分近くが悩みやストレスを抱えていることが知られます。

 この比率を年齢層別にみると,ピークは40代の後半で56.2%です。この層を中心として,20代後半から50代前半までの働き盛りの層では,比率が5割を超えています。職場環境の歪み,さらにはその剥奪(失業)というような事態が増えています。若年層や中年層で悩みやストレスが多いというのは,首肯できるところです。

 上記の統計から,悩みやストレスの原因の多くは仕事関連ではないかと思われますが,それだけではありますまい。

 厚労省の『国民生活基礎調査』では,悩みやストレスの原因の選択肢を提示し,該当するものを全て選んでもらっています。私は,選択された悩み・ストレス原因(延べ数)の内訳を年齢層別に明らかにし,結果を俯瞰的に眺めることのできる統計図をつくりました。下に展示いたします。


 いかがでしょう。年齢によって,悩みやストレスの内実は多様であることが知られます。10代の子どもでは,学業や受験関連の悩みが多いようです。家族内外の人間関係にまつわる悩みも幅をきかせています。「家族以外の人間関係」の大半は,友人関係であると思われます。

 大人になると,仕事関係の悩みがグンと増えます。収入や家計に関する悩みも然り。20代後半以降になると,育児や子の教育関連の悩みも浮上します。成人期の役割期待が肩にのしかかってきます。

 50代にさしかかると,病気や介護関連の悩みが広がり,60代になるとそれがさらに加速します。とくに,自分の健康状態に関する悩みが多くなっています。重病になりはしないか,介護を要する身になって家族に負担をかけはしまいか,という心配事が出てくるようです。

 国民の悩み・ストレスの全体像は,おおよそ上図のようなものです。まあ,容易に想像できることではありますが,もやもやとしているイメージを,データでもって可視化してみた次第です。

 私は「視覚」人間ですので,この種の統計図を描くのが大好きです。作品がたまってきました。武蔵野大学の学園祭の折,会場の一角にでも展示させてもらえないかしらん。