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2012年6月11日月曜日

大学教員の給与

 「せんせいのお給料ってどれくらい?」。こういう関心をお持ちの方も多いことでしょう。小・中・高の教員の給与については,3月27日の記事などで明らかにしました。

 はて,それより上の大学教員の給与はどれくらいなのでしょう。2010年の文科省『学校教員統計調査』に掲載されている,同年9月の平均月収額を拾ってみました。下表は,本務教員(専任教員)の職階別の平均月収額を整理したものです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001016172


 給与水準は職階によってかなり違いますが,人数的に最も多いのは教授で,中でも最多なのは私立大学の教授です。私立大学教授の平均月収は57.5万円なり。ボーナスなどを含めた年収額は,この値の12か月分を1.5倍して,1,035万円というところでしょうか。個人差があるにせよ,全体を均した平均額が1,000万を超えることは確かでしょう。

 ちなみに,小・中・高の教諭の平均月収は,国公立大学の助教,あるいは短大の講師と同程度です。校長さんで,大学の准教授と同じくらい。高等教育機関の教員給与は,初等中等教育機関よりも高いことが知られます。

 ですが,生涯所得という点でみると,どうなることやら。大学教員になるには,莫大な初期投資が必要です。大学院修了までの間の学費に加えて,30歳近く(遅ければ40近く)まで働かないことに伴う機会費用も発生します。これらを勘案した生涯所得の額は,人によっては,小・中・高の教員とトントンになるかもしれません。

 ところで,東日本大震災の復興財源確保のため,国立大学の教員給与が削減される見通しです。5月11日の朝日新聞によると,「国家公務員の給与を平均7.8減」とあり,独立行政法人に対しても,これに準じた給与削減を求めるとのこと。その場合,上表に記載されている国立大学教授の月給は,52.9万円×0.922 ≒ 48.8万円となります。イタイ・・・。
 http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201205110228.html

 下表は,大学教授の平均月収額の推移を,設置主体別に跡づけたものです(『学校教員統計調査』参照)。国立大学教授の給与水準は,2001年以降,公私立を上回るスピードで下がってきています。これにさらに追い打ちがかけられるわけです。


 となると,国立と公私立の給与差が開き,前者から後者への人材移動(流出)が起きるかもしれません。そういえば,私が知っている先生で,地方の国立大学から,首都圏の私立大学(中の下くらいのランク)に移られた方がいたなあ。このような人材移動の量は,『学校教員統計』の教員異動調査から知ることができます。2013年度の同調査の結果が見ものです。

  話があちこちに散ってしまいますので,この辺りで。 回を改めて,小・中・高の教員の職階別(校長,教頭,教諭・・・)の給与水準もご覧に入れようと思います。