「石を投げたら大学生に当たる」という言がありますが,石を投げたら博士号学位保有者(Dr)に当たる確率はどれほどなのでしょう。
文科省の『平成20年度博士・修士・専門職学位の学位授与状況』によると,1957年4月~2009年3月までの間における,博士号学位授与件数の総計は446,313件となっています。この数は,現在の日本における博士号学位保有者の近似数とみなしてよいでしょう。1957年3月以前の旧制の博士号学位取得者は,多くの方がお亡くなりになっていると考え,数に入れないこととします。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakuin/index.htm
現在,わが国には44万6千人の博士(Dr)がいます。国民全体(1億2千万人)の約0.4%です。この比率を適用すると,私が住んでいる多摩市(人口14万6千人)には,584人の博士がいることになります。へえ,多いのだなあ。
次に,分野別の授与件数をみてみましょう。私は教育学の博士号を取りましたが,新制の教育学博士号の授与件数を累積すると,どれくらいの数になるのかしらん。
最も多いのは保健で,225,527件です。この分野の博士号が,全体の50.5%を占めています。次が工学(21.2%),その次が理学(10.4%)です。これまでに授与された博士号の多くが,理系のものです。
教育学博士号の授与件数は3,268件なり。現在のわが国には,国民10万人につき2.7人の教育学博士がいます。これによると,東京都(人口1,320万人)には356人,多摩市には4人の教育学博士がいるものと推定されます。ほほう,自分の立ち位置が分かりました。
こうした「知的資源」がどう活用されているのか。『知的資源活用状況調査』というものも,定期的に行われる指定統計調査の中に含めてみてはどうでしょうか。学位保有者の数は多くはないので,それほどの手間にはなりますまい。
博士号取得者の量産は,国策によって進められている面もあります。国の製造者責任を吟味する上でも,この種の情報が整備されて然るべきでであると思います。