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2013年4月25日木曜日

ザ・フリーランス

 人の働き方にはいろいろあると思いますが,その中の一つに「フリーランス」というものがあります。広辞苑によると,「特定の組織に属さず仕事をする人。自由契約の記者・作家や無専属の俳優・歌手など」とのこと。

 なるほど。フリーライターとか,フリージャーナリストとかよく聞きますよね。要するに,組織の属さないで自分の腕一本で食べている人のことです。

 早起きして満員電車で会社に行く必要なし,自分のペースで仕事ができる・・・。まさに自由気まま。それにちょっとカッコイイ。こういう働き方にあこがれている学生さんもいることでしょう。しかし,自由の代償としての責任は重し。もっぱら自分の力で生活の糧を得なければならないわけですから。

 それはさておき,今の日本社会にこの手のフリーランス就業者はどれほどいるのでしょうか。私は,以下の7つの職業従事者のうち,従業上の地位が「雇人のない業主」という者の数を拾ってみました。ソースは,総務省『国勢調査』の職業小分類集計です。
 http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm

 ①:文芸家,著述家
 ②:記者,編集者
 ③:彫刻家,画家,美術工芸家
 ④:デザイナー
 ⑤:写真家,映像撮影者
 ⑥:音楽家
 ⑦:舞踊家,俳優,演出家,演芸家

 1990年,2000年,および2010年現在というように,10年刻みの推移をとってみましょう。2010年の数値は抽出速報集計のものですので,数が粗いことに留意ください。


 合計をみると,1990年では10万2千人ほどだったのが,2010年では13万8千人となっています。フリーランス就業者は増えているのですね。13万8千人といったら就業人口全体の0.2%,500人に1人です。

 伸び幅が大きいのは,記者・編集者,デザイナー,そして音楽家です。フリーの記者・編集者は,この20年間で3倍以上に増えています。出版社の編集者希望の学生さんが多いのですが,それが叶わず,やむなく自営でやるという人もいるでしょう。逆に,出版社勤務の編集者が自由にやりたいということで独立するケースも少なくないと思います。

 しかし,数的にはフリーのデザイナーが最も多いようです。私は近く本を出す予定ですが(現在校正中),私の図表だらけの(厄介な)原稿を組版してくださっているのは,出版社と契約を結んでいるフリーのデザイナーさんかもしれません。

 自分の技術を売って生計を立てる,自分の得意分野でメシを食う・・・。いかにもカッコイイですが,それができる人間は多くはありますまい。上記の13万8千人のほとんどは,何らかの副業(バイト)をしているのではないでしょうか。

 組織の後ろ盾がないフリーは弱い立場に置かれがちです。フリーランスのフリーとは「タダ」の意味,フリーライターとは「不利ーライター」。こんな皮肉表現もあります。

 フリー(自営)でやっていきたいという学生さんに会ったら,こういう話をして冷や水を浴びせるのですが,それにもめげない気骨ある者も中にはいます。自分はこういうことができるという情報を,自前のHPやブログで積極的に発信している者もあり。こういう人には,私は賛意を表します。

 ネット社会の到来により,自分の得意分野を容易に発信できるようになったことも,フリーランス就業者を増加せしめたのかもしれません。

 こういう条件は,フリーランス志望の者だけでなく,すべての学生が積極的に活用すべきです。自分はこういうことができる,「我ここにあり」という旗揚げを早いうちから行うこと。私に言わせれば,こういうことが「シューカツ」だと思うのですが。

 話が逸れましたが,自分の商売敵(ライバル)はどれくらいいるのだろう,という関心をお持ちのフリーの方もおられると思います。国の基幹統計から分かる数値は,上記のようなものであることをご報告します。