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2013年8月17日土曜日

ハイサーグラフ

 ダブル高気圧の影響とやらで,猛暑の日が続いています。予報によると,今日も35度くらいまで上がるそうです。

 しかるに,世界を見渡せば,日本よりも暑い国は数多くあります。たとえば,バックパッカーの楽園として知られるタイの首都バンコクなどはどうでしょう。気象庁ホームページのデータベースにあたって,月ごとの平均気温と降水量を調べてみました。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/climatview_jp/index.html

 下の表は,東京とバンコクの比較表です。月別の平均気温や降水量は,年による変動が結構ありますので,1981~2010年までの数値を均した平年値であることを申し添えます。


 ほう。バンコクでは,年間通じて平均気温が25度を超えています。東京の真夏はバンコクの真冬って感じです。降水量は,バンコクでは月による変動が激しいようですが,雨季の量はハンパでなく,9~10月では300mmを超えます。湿度もさぞ高いことでしょう。

 1泊100バーツ(約250円)で泊まれる安宿とかは,もうゴキブリの巣窟だそうですが,そうだろうと思います。

 さて,私は視覚人間ですので,上表のデータをグラフ化したいのですが,どうしたものでしょう。両都市の折れ線ないしは棒グラフをつくって並べるというのが常ですが,情報を一つの平面上に集約するやり方もあります。

 横軸に平均気温,縦軸に降水量をとった座標上に,それぞれの月のデータを位置づけて線でつなぐのです。こうすることで,平均気温と降水量の月変化を,2都市について視覚的にみてとることができます。この図法はハイサーグラフといい,地理学の分野で広く用いられているそうです。


 バンコクは12月を除いて,どの月の平均気温も東京の真夏より高くなっています。描かれた線型のヨコ幅が狭いことから,年間を通して平均気温が高温であることも分かります。一方,タテの幅は大きく,月による雨量の変動が激しいことも知られます。

 東京はというと,月ごとの位置変化が,激しくはありませんがコンスタントにありますね。まさに「四季の国」です。

 いかがでしょう。教科書で何頁も割いてくだくだ言われていることが,上記のハイサーグラフでは,一目瞭然の形でビジュアル化されています。便利なものです。

 この図法は,中高の社会科教員の採用試験でもよく出題されます。線型を提示して,どの都市のものかを答えさせる問題が多いようです。正答するには,各都市がどの気候帯に属し,かつそれぞれの気候帯の特徴(高温多湿,雨季と乾季の差が激しい・・・etc)がどういうものかを知っておく必要があります。

 まさに,地理学の気候分野の知識を総合的かつ簡潔に試すのにもってこいの題材といえましょう。この夏実施(2014年度)の東京の採用試験でも出題された模様です。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/senko.htm

 ところで,年間通じて高温であるバンコクでは,熱中症になる人が多いのではないかと思われますが,そうでもないそうです。その秘密は,果物に塩をかけて食べることにあるのだそうな。現地では果物屋の屋台が至る所にあり,みんなフルーツにかぶりついていますが,そこでは,発汗によって失われた塩分が(自ずと)補給されているわけです。
http://www.news-postseven.com/archives/20130816_205975.html

 日本でも,スイカに塩をかけて食べる習慣がありますが,これはもしかすると,熱中症予防のために先人が編み出した知恵なのかもしれません。

 「クーラーも冷蔵庫も製氷機もない時代から続く,蒸し暑さから体を守るために培ってきたタイでの習慣」(上記リンク先のポストセブン記事)。機械化・電気化が進んだわが国においても,注視すべきことなり。