昨日は,都内49市区の「子育て期における人口増加率地図」をご覧いただきましたが,1都3県にまで射程を広げた首都圏版をつくってみましたので,展示しようと思います。
子育て期における人口増加率とは,20代後半から30代前半にかけての増加率を意味します。2008年1月の25~29歳人口と,2013年1月の30~34歳人口を照合して計算しました。参照したのは以下の資料です。
・埼玉県:『埼玉県町(字)別人口調査』
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/a009/
・千葉県:『千葉県年齢別・町字別人口』
http://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/nenreibetsu/index.html
・東京都:『住民基本台帳による東京都の世帯と人口』
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/juukiy/jy-index.htm
・神奈川県:『神奈川県年齢別人口統計調査』
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f11000/
神奈川県の資料は,各年4月時点の人口が掲載されていますので,当県の自治体は,2008年と2013年の4月時点の人口比較によります。他の3都県は,1月時点の比較です。
都内の中央区でみると,2008年1月の25~29歳人口は9,477人(a)ですが,5年後の2013年1月の30~34歳人口は14,034人(b)にまで膨れ上がっています。増加率にすると,+48.1%にもなります。計算式は,<(b-a)/a >です。
1都3県に視界を広げた場合,この増加率を上回る自治体はあるでしょうか。首都圏242市区町村の増加率を同じやり方で出し,マッピングすると,下図のようになります。
全体的にみると,子育て期にかけて人口が減っている地域が多くなっています。242市区町村のうち,133の地域が白色か薄い緑色です。
それ以外は人口が増えた地域ですが,増加率が5%を超える濃い緑色は,都心もしくはその近辺に多いですねえ。前回も書きましたが,子どもができたら家庭の時間を長く持ちたいということで,通勤時間が短くなる都心に移り住む,ということでしょうか。あるいは,早期受験なども見越してのことか。
しかるに,都心か周辺部かという,地域ロケーションが決定的かというと,そうではありません。濃い緑色は,都心から離れたゾーンにも点在しています。その中には,町村もあり。
ここにて,子育て期における人口増加率が高い地域の顔ぶれをみてみましょう。やや飛躍していうなら,子育てに選ばれている地域はどこかです。20代後半から30代前半にかけての増加率が10%を超える地域を一覧表にしてみました。高い順に並べています。
首都圏全体でみても,トップは中央区です。ほか,都心かその近辺の市区が多く名を連ねています。千葉県の流山市がありますが,当市はホームページのトップで「母になるなら流山・父になるなら流山」とうたっています。さぞ充実した子育て施策を実施しているのでしょう。
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/index.html
なお,表の中には郡部(町村)も含まれており,神奈川県の開成町は14.9%の増です。この町のホームページをみると,「子育て支援センター,のびのび子育てルーム,チビッ子らんど,地域育児センター」などを通した育児支援を実施しているようですが,そうした実践の賜物でしょうか。
上表に掲げられた自治体の子育て施策一覧表をつくってみるのも一興ではないでしょうか。保育に関心のある学生さん,卒論のテーマになりかもしれませんよ。