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2014年6月14日土曜日

共働き世帯の親子関係の一断面

 共働きだと子育てが疎かになる,子が愛情飢餓に陥る…。巷でこんなことがいわれますが,現実はさにあらず。

 内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年度)の10代のサンプルを,①両親ともフルタイム就業の群と②その他の群に仕分けて,「親から愛されていると思うか」という設問への肯定率をとってみました。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu.htm

 「そう思う」という最も強い肯定の比率です。下の図は,7か国の10代少年の肯定率をグラフにしたものです。


 日本の肯定率が最も低くなっているのが気になりますが,ここでの注目ポイントは,共働き世帯の少年の肯定率が高いことであり,わが国ではその差が大きくなっています。

 欧米諸国で差が小さいのは,共働き世帯がそれほど特殊な存在ではないためでしょう。日本では,10代の対象者508人のうち,両親ともフルタイム就業の共働き世帯の者は79人(15.5%)しかいません。*スウェーデンは57.7%!

 ともあれ,このデータをみると,巷の通説が正しくないことが分かります。やっぱり,子どもと接する時間の問題ではないのですね。時間より質。短い接触時間における濃密なコミュニケーション,子どもに見せる背中…。こういうものでしょうか。

 ちなみに,マクロデータにて共働きと虐待頻度の相関をとってみると,負の相関が観察されます。共働き世帯ほど虐待が少ないという傾向です。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2612

 私は日経デュアル誌にて連載を持たせていただくようになってから,共働き世帯の内実に関するデータを集めているのですが,不安材料はあまり出てきません(むしろ逆)。こういうデータを蓄積して,「共働き世帯における子どもの社会化」というテーマをまとめられたらと思っています。