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2014年8月24日日曜日

予備校生の減少(補正)

 大手三大予備校の一つ,代々木ゼミナールが全校舎の7割を閉鎖するそうです。少子化により,生徒を集めるのが困難になったとのこと。大学も大変ですが,予備校はもっと大変ですね。

 状況が厳しいことは,予備校の生徒数の推移をたどってみるとよく分かります。2012年3月1日の記事にてそれをしたのですが,そこにて観察したのは,各種学校に分類されている予備校の生徒数です。しかるに予備校の形態は多様で,大きな所は専修学校に括られますし,東進ハイスクールのように,株式会社が運営している予備校もあります。

 文科省の『学校基本調査』では,専修学校各種学校に属する予備校の生徒数を知ることができます。前者は,「受験・補修」を行う専修学校です。各種学校の学科分類では,「予備校」というカテゴリーがありますので,その数値を使います。

 株式会社立の予備校の生徒数は分かりませんが,上記の2つを押さえれば,大よその近似値は把握できるでしょう。先日公表された2014年度の統計によると,同年5月時点の専修学校の予備校生徒数は26,940人,各種学校のそれは21,450人です。両者を足して48,390人,5万人弱というところです。

 この数値はどう変化してきたのでしょう。ネット上では,1992(平成4)年の資料まで遡れますので,この年からの推移を明らかにしました。


 やはりというか,予備校の生徒数は減少していますね。1992年では18万5千人でしたが,2014年現在では4万8千人にまで減っています。3分の1以下に減です。

 予備校の組成の変化にも注目。以前は各種学校の予備校が多かったのですが,近年では専修学校タイプのほうが多くなっています。小規模校が淘汰されたのか,あるいは専修学校に昇格したのか,その事情は知りませんが,総体として生徒数が減少していることには変わりありません。

 なるほど。代ゼミの苦境も分かろうというものです。しかし,その原因は18歳人口の減少だけではありますまい。予備校を使う生徒が少なくなった,ということもあるかと思います。予備校生の多くは浪人生ですが,最近,自宅で勉強する「宅浪」が増えているといいますしね。

 この点を統計で可視化してみましょう。私は1995年に大学に入りましたが,この年の浪人経由の大学入学者は18万8,052人です。彼らのうち,予備校通いしていた者はどれほどいるかですが,前年(1994年)の5月時点の予備校生徒数は15万7,672人です。

 よって,この年の浪人入学者の場合,予備校依存度は,後者を前者で除して0.838という数値で測られます。浪人生の8割ほどが予備校を使っていた,ということです。だいたい肌感覚に合う数値ですが,この依存度は年々下がってきています。


 始点の1993年の浪人入学者では,ほぼ全員が予備校通いしていたと推測されますが,今日では7割を切っています。分子には,浪人生以外の現役生も含まれますから,浪人生の実際の利用率はもっと低くなると思われますが,予備校離れが進んでいることは確かなようです。

 「大学進学人口の減少」+「予備校離れ」のダブルパンチ。なるほど,代ゼミの7割閉鎖という決断も,さもありなんです。この記事を書き終えて,昨日の報道記事を再読してみると,うんうんと頷かされます。

 代ゼミの件もあって,前にやった「予備校生の減少」の記事を見てくださる方が多いのですが,それには専修学校の分を加えていませんでしたので,今回,補正を行った次第です。