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2014年11月29日土曜日

年齢別の他殺被害者数

 虐待防止について議論している厚労省の専門家会議が,次のことを提言しています。「虐待による死亡事案のうち1歳未満の赤ちゃんが犠牲となるケースが多い状況を踏まえ,妊娠期から出産,育児期まで切れ目なく母親を支援する態勢の整備」です。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014112801001513.html

 私はこの記事に触発されて,年齢別の他殺被害者数のグラフをつくってみました。厚労省『人口動態統計』の死因統計には,他殺による死亡者数が載っていますが,その年齢別数値を棒グラフにしたものです。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html

 昨日の夜,試作版をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておこうと思います。

 昨日の図は,2013年中の死亡者のグラフでしたが,より安定した傾向を見出すため,2009~2013年の5年間の数をグラフにしてみました。この5年間における,他殺による死亡者は2046人(年齢不詳は除く)ですが,その年齢分布を図示すると,下図のようになります。


 昨日の単年の図では,ピークは73歳でその次が0歳の乳児でしたが,最近5年間のデータでみると,他殺による死亡者は乳児がダントツで多くなっています。普遍的な傾向としては,殺人被害に遭う確率が最も高いのは,生後間もない乳児であるようです。このうちの多くは,上記の記事でいわれているような虐待死であるとみられます。

 児童虐待は,相談件数の上では「イヤイヤ期」に相当する3歳児に関わるものが最多なのですが,死に至るまでの深刻な事案は生後間もない乳児で最も起きやすいことが知られます。しかし,ここまでの集中度だとは・・・。上記の提言を,強く支持するエビデンスです。