http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=3658
本記事では,子どもの自殺原因の図も掲げました。主な10の原因が全体に占める割合ですが,警察庁の原資料には,他の原因カテゴリーも多く載っています。今回は,それらをも加味した全体の構造図をご覧にいれようと思います。それでもって,昨日の記事の補足といたします。
2011~13年の『自殺の概要資料』(警察庁)に記録されている,自殺原因の延べ数は,小・中学生が209,高校生が681,専修学校生等が424,大学生が1,432です。一人の自殺原因が複数にわたることもありますので,この数は自殺者数とは一致しません。
下図は,各原因の内訳が視覚的に分かる面グラフです。
昨日の記事でも指摘しましたが,小・中学生の上位3位は,学業不振,家族の叱責,親子関係の不和です。いじめよりも,これらの原因の比重が大きいことに注目。今年の9月に,東京の小6女子2人が飛び降り自殺する事件がありましたが,動機は受験勉強に疲れたとのことでした。自我が未熟で,思い込みの激しいお年頃。家庭において,あまり追い詰めないよう気をつけたいものです。
http://matome.naver.jp/odai/2140993302528233301
いじめや学友との不和の比重が思ったより低いのは,これらは表沙汰になりにくいためとも考えられます。自殺の原因が校内でのいじめにあったなんて,学校側はなかなか認めたがらないもの。
高校生になると,進路に悩みが最多になります。最も重要な分岐点である18歳を控えていますしね。しかし,大学進学率が50%を超える今日では,22歳も重要な選抜ポイントとなっています。山内太地さんの『22歳・負け組の恐怖』(中経出版)という本が話題になっていますが,残念ながら「負け組」になり,絶望して自らを殺める大学生・・・。上図の赤色(就職失敗)が何とも痛々しく感じます。
まあ,大卒者の就職率カーブをみれば分かりますが,就職の厳しさという点では,私の頃のほうが大変でした。しかし,現在はネット時代。ネットで大量エントリーが可能になった分,不採用通知もガンガン喰らうわけです。「お祈りメール」を何十通,多い人では何百通も受け取っていると,「自分は社会に必要とされない人間だ」という思い込みに駆られることにもなります。その意味で,大学生の就職失敗自殺は,情報化社会の病理を反映しているともいえるでしょう。
昨日の拙稿の補足として,子ども・若者の自殺原因の全体構造図をお見せしました。子を持つ親御さん,教育関係者の方には,この客観的事実を直視していただけたらと思います。