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2014年12月28日日曜日

職業別の有効求人倍率

 厚労省『一般職業紹介状況』の2014年11月分が公開されたようです。各地のハロワ等が受け付けた求人数,求職数(新規学卒者は除く)などが掲載されている基本資料です。

 新聞では,老若男女,全産業,全地域をひっくるめた値が報じられていますが,この原資料をみると,細かいカテゴリーごとの数値を知ることができます。私が関心を持つのは,職業別のデータです。今の社会で求められているのはどういう職業かを可視化できる,と思うからです。

 私は,職業別の有効求人倍率を計算してみました。2014年11月時点において,全国のハロワ等で貼り出されている有効求人数を,求職している人間の数(有効求職数)で除した値です。簡単にいうと,求職者1人につき求人(仕事)がいくつあるか,という指標です。

 人手不足が深刻な介護サービス職でいうと,2014年11月時点の有効求人数(常用)は98613,有効求職数は49845ですから,有効求人倍率は1.98となります。求職者1人につき2つの仕事があるわけです。常用ではないパートになると,この値は3.65にもなります。人件費の安い非正規が求められているのでしょう。

 58の職業について,常用労働者とパート労働者の有効求人倍率を出し,グラフにしてみました。横軸に常用労働者,縦軸にパート労働者の値をとった座標上に,それぞれの職業をプロットした図です。


 日頃の印象が「見える」化されていますね。お医者さんの求人倍率は,常用が7.76,パートが5.58と高くなっています。医師不足が深刻な地方では,値はもっと高いことでしょう。

 あと需要が多いのは,建設関係とサービス関係ですが,前者は正社員希求型,後者はパート希求型というようにグルーピングできます。*斜線より下にあるのは「常用>パート」であり,上に位置するのはその逆です。

 解体工事や測量技師などについては,有資格の正社員が欲しいところですが,該当する人がなかなか見つからない。こうしたミスマッチにより,求人倍率が跳ね上がっているものとみられます。一方,左上のサービス職やドライバーの場合,求められる技能水準もさほど高くなく,安価なパートが望まれているのですが,待遇の悪さのため,人が集まらない。こういう構図でしょう。

 今の世の中で足りない仕事については,大よそのイメージを持っていましたが,それには下位タイプがあることが知られます。データはありませんが,性や年齢で区切ってみたら,もっといろいろな型が出てくるでしょう。

 ちなみに,一般事務などはお呼びでないようです。社会が求めるのはグレー・ブルーカラー,学校教育で量産されるのはホワイトカラー志望者。これも「ミスマッチ」といえるでしょうか・・・。

 社会の需要は時代に応じて激しく変わるものであり,それに対応して教育システムをいじくっていたら大変なことになりますが,社会がどういう人材を求めているかを等閑視してよい,ということにはなりますまい。高等学校における専門学科の拡充,職業教育に特化した高等教育機関の創設などが提言されていますが,学校と職業の断絶の問題が認識されてきるのでしょうか。

 教育と職業。教育の社会的機能を究明する,教育社会学のメインテーマの一つです。