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2015年1月16日金曜日

子育て期の女性のすがた

 最近,面積図にハマっているのですが,今回はこの図法により,各国の子育て期の女性のすがたを表現してみようと思います。このステージの人間のすがたがどうであるかは,お国柄がよく出ています。

 資料は,2010~14年に実施された『世界価値観調査』です。16歳以上の国民にいろいろな価値観を尋ねた調査ですが,対象者の基本的な属性も明らかにされています。私は,従業上の地位(employment status)の回答分布に注目しました。
http://www.worldvaluessurvey.org/wvs.jsp

 下の表は,子がいる30~40代女性の回答分布です。日本を含む6か国のデータです(英仏は調査対象でないようです)。無回答ないしは無効回答は除外しています。


 有業3カテゴリー,無業2カテゴリーが設けられています。無業者の「その他」とは,求職中の失業者や学生などです。

 赤色は最頻値ですが,日本と韓国は専業主婦が最も多く,他の4国はフルタイム就業が最多となっています。北欧のスウェーデンに至っては,フルタイム就業が全体の66%を占め,主婦はたったの1人しかいません。

 上表の5カテゴリーの組成を面積図で表してみましょう。有業者と無業者の比重をヨコ幅でとり,タテ幅を使って,前者の3カテゴリー,後者の2カテゴリーの幅を表現しました。


 子育て期の女性のすがたは,社会によって大きく異なっています。日本とスウェーデンが対極にあり,その間に残りの4国が位置している感じでしょうか。

 フルタイム就業と専業主婦の成分量に注目するとよいと思いますが,この2つは,子育て期の女性に対し,社会進出のチャンスがどれほど開かれているかを教えてくれるメジャーといえます。

 上記調査の対象は54か国ですが,フルタイム就業者率と専業主婦率のマトリクス上に,それぞれの社会を散りばめることで,女性の社会進出度の国際比較図が出来上がります。日本は専業主婦率が33%,フルタイム就業者率が30%ですが,国際的な布置図の中での位置はどの辺でしょうか。下図をご覧ください。


 左上は,フルタイム就業が多く,専業主婦が少ない社会。つまり,子がいる女性の社会進出度が高い社会です。北欧や旧共産圏の国々が位置しています。右下はその逆ですが,イスラーム社会が多いですね,これは,女性はあまり外に出ないという文化的要因によるでしょう。

 点の斜線は均等線であり,この線より上にある場合,専業主婦よりフルタイム就業者が多いことになります。米独はこのラインを越えていますが,日韓はあとちょいというところです。

 まあわが国も,80年代や90年代の頃に比せば,左上にシフトしてきているのでしょうが,早く斜線のラインを越えればいいなと思います。いや,これから先にあっては,そのことが社会の維持・存続の基本的な条件となるでしょう。

 上記のマトリクスにおける,日本の位置変化に注意を払っていきたいところです。それによって,男女共同参画社会に向けた施策の効果が可視化されることにもなります。今回は,2010年近辺の断面図をお見せした次第です。