「アラフォー」という言葉をご存知でしょうか。40歳近辺の年齢を指す言葉であり,「アラウンド・フォーティー」を略したものです。今年39歳になる私は,まさにこの層に属することになります。
今回は,この年齢層の結婚チャンスを明らかにしてみようと思います,よく「35を過ぎたら結婚は無理だ」などといわれますが,数値でその確率を表現するとどれくらいになるのか。こういう問題です。まだ希望を捨てていないアラフォー未婚者,あるいは婚活関係者の中には,この点に関心をお持ちの方も多いでしょう。
ここでいう結婚チャンスとは,未婚者のうち何人が結婚できるかです。分子は,2010年の厚労省「人口動態統計」の婚姻統計を使います。同年中に婚姻を届け出た者(初婚者)の数です。分母は,同じく2010年の「国勢調査」に掲載されている未婚者の数を使います。同年10月時点の未婚者数です。データの年次がちょっと古いですが,分母は「国勢調査」の年のものしか得られませんので,ご寛恕ください。
これらの資料によると,2010年中の40歳男性の初婚者数は6434人です。同年10月時点の40歳の未婚男性数は288672人。よって,前者を後者で除して,40歳男性の結婚率は22.3‰と算出されます。1000人中22.3人,40歳オトコの結婚確率はおよそ45人に1人なり。
このやり方で,15~60歳の各年齢の結婚率を計算してみました。ジェンダー差もみるため,男女で分けて率を出しています。下の図は,各年齢の結婚率を結んで描いた曲線です。結婚率年齢曲線と呼びましょう。
男女とも,30歳あたりに山があるきれいな曲線です。なるほど,ピークを過ぎると結婚チャンスは急降下していき,40歳の結婚率は男性で22.3‰(45人に1人),女性で21.1‰(47人に1人)となります。確かに厳しくなりますねえ。
50歳以降は,両性とも地を這うかのごとく低くなります。いわゆる生涯未婚率(一生結婚しない者の出現率)は50歳時点の未婚率で代替されるのですが,この仮定は妥当性を持っているようです。
これは全国のデータですが,都道府県別にみるとどうでしょう。アラフォー年代の結婚チャンスが相対的に開けている県はどこかです。県別の場合,分子は5歳刻みの数値しか得られませんので,35~44歳の結婚率を出すこととします。まさに,アラフォー年代です。
下表は,上記と同じやり方で計算した,アラフォー男女の結婚率の県別一覧表です。最高値には黄色,最低値には青色のマークをしました。上位5位の数値は赤色にしています。
ほう。結構地域差があるようで,アラフォー男性の結婚チャンスは34.7‰~21.8‰,アラフォー女背御のそれは40.0‰~24.3‰の分布幅を擁しています。
トップは男性は奈良,女性は山梨ですか・・・。なお若干の地域性もあり,男性では近畿,女性は中部や北陸のゾーンの値が高くなっています。この点を看取できる図も載せておきましょう。アラフォー男性の結婚チャンスを地図にしてみました。上表の結婚率を2‰刻みで塗り分けたものです。
近畿や北陸の色が濃いのはさておき,全体的にみて,西高東低の模様になっているのも興味深い。希望は西にありってことでしょうか。
これは2010年の古いデータですので,この地図を頼りに,各地の実践を調べても意味はないでしょう。ただ,こういう測定の方法はどうかという提案をしておこうと思います。
少子化の最大の原因は未婚化なのですが,これを何とかしようと,どの自治体も婚活支援に力を入れていることでしょう。とくに,量的に多いアラフォー年代(≒団塊ジュニア世代)の動向は大きな関心事であると推察します。
今年(2015年)は「国勢調査」の実施年であり,ここで紹介したアラフォー年代の未婚率を計算することができます。このデータは,近年の各地の婚活支援の成果を教えてくれる指標(measure)となることでしょう。
話は変わりますが,私は現在,実務教育出版の『受験ジャーナル』という雑誌にて,「データで見る47都道府県の今」という連載を持たせていただいてます。先日,最終回の原稿を脱稿したのですが,そこにて都道府県別の希望指数というのを出しています。今回のアラフォー未婚率に,非正規から正規への移動率,若者の起業率といった希望の指標も加え,それらを合成した数値です。
http://jitsumu.hondana.jp/search/g203.html
希望の地はどこかを明らかにする試みです。当該の原稿が載る号の発刊はまだちょっと先ですが,ツイッター等で告知しますので,ぜひご覧いただければと存じます。