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2015年12月20日日曜日

職業別の睡眠・仕事時間

 2013年の国際教員調査(TALIS 2013)で,日本の教員は世界一働いていることが分かりました。日本の中学校教員の週間平均勤務時間は53.9時間で,OECD平均の53.9時間を大きく上回っています(下記サイトのtable6.12)。

 これは各種メディアで報じられ,すっかり知れ渡っていますが,国内の他の職業に比してどうなのか。国内の職業比較における位置は,あまり明らかにされていないように思います。今回は,それをやってみましょう。

 依拠する資料は,2011年の総務省『社会生活基本調査』です。平日1日あたりの平均仕事時間を職業別に知ることができます。仕事と対極の睡眠の時間も拾ってみましょう。性別の影響を除くため,男性に限定します。

 結果を整理すると,下表のようになります。調査対象の平日に,当該の行動をした行動者の平均時間です。下記サイトの表15から採取した数値であることを申し添えます。


 全職業の平均睡眠時間は439分,仕事時間は554分です。教員のそれは順に410分,612分であり,平均的な労働者より寝ておらず,長く働いています。

 教員の平日1日の平均仕事時間は612分(10時間12分)ですか。これはあくまで平均値ですので,分布をとれば12時間を超える者もザラでしょう。睡眠時間の平均は410分(6時間50分)で,「そこそこ寝てるじゃん」という印象ですが,これも平均であることに注意。

 表には31の職業の値が掲載されていますが,教員の位置はどうでしょう。黄色マークは最高値,青色マークは最低値ですが,教員は仕事時間がトップで,睡眠時間は技術者の405分に次いで短くなっています。長く働いて,寝ていない。この度合いが最も大きい,つまり過労度が最も大きい職業であることが知られます。

 上記の職業別のデータを視覚化しておきましょう。横軸に平均睡眠時間,縦軸に平均仕事時間をとった座標上に,31の職業を配置してみました。2変数のグラフ化は,これがよいと考えています。


 左上は,相対的に仕事時間が長く,寝ていない「キツイ」職業ですが,教員はその極地です。対極は農林漁業ですが,これは高齢者が多いためでしょうね。清掃や運搬業は,非正規雇用が多いためとみられます。性別の影響は除きましたが,年齢や雇用形態までは統制できていません。

 若年の正規職員に限ったら,どういう図柄になるか。私の予想ですが,教員の位置は変わらないような気がします。いやむしろ,もっと左上にかっ飛ぶのではないでしょうか。下図にみるように,わが国の教員は,若手ほど勤務時間が長いという,きれいな構造ですので。


 日本の教員の勤務時間が長いのは,授業とは別の様々な雑務を負わされているためです。他国なら事務員がやるような仕事も,教員が負わされています。最近取りざたされている部活も然り。北欧では,この種の活動は地域のスポーツクラブ等に委ねられていると聞きます。

 この問題がようやく認識され,「チーム学校」という外部人材組織が学校に導入されることとなり,教員の負担が軽減されることとなりました。部活指導を担う,部活指導員もその中に含まれるそうです。

 8月18日のニューズウィーク記事にも書きましたが,これを機に,教員の仕事(専門性)とは何かについて,真剣に議論をすべきでしょう。

 2012年の中教審答申にて,教員を高度専門職と位置づける方針が明示されました。教員は専門職かという議論が古くからありますが,教員があたかも「何でも屋」のごとくみなされていることが,教員の専門職化を阻んでいることは間違いありません。

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