しかるに,その中には既婚者も混ざってしまっています。今回は,この部分を除いた,未婚の男女に焦点を絞ります。これから結婚しようという,若き男女です。
私は,2015年の『国勢調査』(第1次集計)のデータに当たって,25~34歳の未婚の男女人口を地域別に調べました。全国の数値を示すと,男性が387万1295人,女性が306万4310人です。男性のほうがかなり多くなっています。前者は後者の1.263倍なり。
はて,この倍率は,地域によってどう違うか。まずは,47都道府県の統計をみてみましょう。
どの県も,男性のほうが多いのは同じですね。しかし,「男性/女性」の倍率には結構幅があります。トップは栃木で,結婚期の未婚人口でみると,男性は女性の1.5倍超です。女性は県外に出ていくが,男性は,マイルドヤンキー流の地元志向とやらで,居残るのでしょうか。これはキツイ。
倍率が一番低いのは,私の郷里の鹿児島です(1.044倍)。結婚期の未婚の男女人口に,ほとんど差がありません。鹿児島は,若者の県外流出が全国で最も激しい県ですが,出ていくのは,女性より男性が多いからでしょう。私も,そのうちの一人です。
うーん。「結婚したいなら帰ってこい。居残っている女性はたくさんいるぞ」という,高校時代の恩師の言葉が思い出されます。
なお,上表の「男性/女性」倍率をマップにすると,地域性が見て取れます。
競争が比較的激しいのは,北関東と東海でね。その逆は,近畿と南九州なり。
『国勢調査』からは,県よりも下った市区町村別のデータも出すことができます。さすがは,基幹統計ですね。市区町村レベルでみると,結婚期の未婚人口が「男性<女性」の地域も結構あります。男性にとって,チャンスが開けた地域といえましょうか。
その顔ぶれをご覧に入れましょう。以下の掲げるのは,「男性/女性」倍率が1.0未満,つまり男性より女性が多い市区町村の一覧表です。倍率が低い順に並べました。
倍率が最も低いのは,福岡市の中央区です。この都市的エリアでは,男性は女性の7割ほどしかいません。言葉がよくないですが,ハーレム度が全国で最も高いエリアということになるでしょうか。
表をみると,過疎地域と都市地域が混ざっています。黄色マークは,25~34歳の未婚男女人口が1万人を超える,都市的エリアです。結構あるじゃないですか。鹿児島の県庁所在地の鹿児島市も,上位にランクイン。
都内では,世田谷区,目黒区,杉並区が該当します。
しかし,福岡の勢いがスゴイ。なぜ福岡に若年女性が多いかですが,九州の各県からの流入が多いのだそうです。女子の場合,東京への高跳びはダメだが,福岡ならいいと。親戚などがいるケースも多いということで。
チャンスの多寡は,地域によってかなり違うことがうかがえます。上表にランクインした,自治体の関係者のみなさん。今回のデータをご存知でしたか。自地域の「知られざる」魅力は,丹念に探せば結構あるものです。白々しいPRだけでなく,こういう統計資料の発掘も,地方創生を促す材料になるのではと思います。