たまには人とテーブルを挟んで話すのもいいかと承諾し,横須賀中央の南蛮茶屋で会合しました。冷たい雨が降る日だったと記憶しています。
取材は1時間ほどで,Mは「記事のグラフを番組で使いたい,元データをいただけないか」と言ってきました。グラフの使用ならともかく,元データをくれという要求に私は違和感を覚え,「本当に必要なんですか?」と尋ねました。すると「はい」と答えたので,帰宅後,パソコンからデータを探し出し,エクセルの添付ファイルでMに送りました。Mから「ありがとうございます。使用する際はご連絡します」と返事がきました。
その後ずっと音沙汰がなく,昨日の朝「どうなっているのか」とメールした所,以下のような答えが返ってきました。
いただいたデータですが,結局予定してた放送(2月)では使わないことになりました。今後,使わせていただくことがあれば,また連絡させていただきます。
私は目が点になりました。半年近くもの間,連絡をしてこなかったことへの謝罪もありません。ボツになるのは構いませんが,それならそうと連絡をしてくるのが礼儀です。無償で時間と労力を割いて対応したこちらのことを,一体何と思っているのでしょうか。
私は怒り心頭で,Mに電話をさせ,強く叱りつけました。Mはこう言いました。「使う場合にのみ連絡すると申し上げていたので,連絡はしませんでした」と。なるほど,メールを見返すと「使用する際はご連絡します」と書かれています。
しかしこんなのは,常識から明らかにズレています。タダで話を聞き,データまで召し上げておいて,「確かにもらった。こちらで使う場合だけ連絡してやる」。こんな態度が許されるでしょうか。NHKともなると,これがデフォルトなんでしょうか。
私は「あなたが逆の立場だったら,どういう気持ちになるか」と糺しました。Mは「舞田先生の思いに気が回りませんでした。申し訳ありませんでした。以後,気を付けます」と謝罪を口にしました。私が「データの使用許可を取り消す」と言うと,「分かりました」と,あっけらかんとして答えました。本当は必要なデータではなく,とりあえずもらっておこうという感じだったのでしょう。
まあ私も,大学院修士課程の時,やらかしたことがあります。鹿児島市内の高校の先生にインタビューをしたのですが,修論が出たら送ればいいと,半年くらい連絡も結果報告もしませんでした。先方は烈火のごとく怒りました。「激務の合間をぬって対応した,こちらのことを何と心得ているのか」と。謝りに行ったところ,「今後,大学からの調査は一切受け付けない!」と怒鳴られました。本当かどうかは知りませんが,非常に罪深いことをしたことになります。
もう金輪際,NHKの取材は受けないと誓いました。NHKに憤っている研究者は多いようです。
https://snacken.hatenablog.com/entry/2017/11/17/230218
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NHKといえば国民的メディアですが,大手ほど,目的が明確でない「とりあえず話聞いてみっか」取材が多い傾向があります。たとえば,統計で現実をあぶり出す手法を教えてほしい,とかです。「取材のお願い」とか銘打ってね。
大手メディアの名で「取材」といえば,相手が飛びついてきて,知的財産をタダで巻き上げられると思っています。傲慢も甚だしい。
この手のメールがよく来ますが,私は全部スルーしてます。名を売りたいフリーランスは飛びつくのでしょうが,私はそんな必要を感じてません。教えを受けた陣内靖彦先生,松本良夫先生は優れた学者でしたが,メディアにはほとんど出ない先生でした。
かといって,取材依頼を全部シャットアウトするのも考えものです。自分のデータ分析を社会に役立ててほしい,という思いはあります。そこで今後,相手の本気度を測るため,時間を割くことへの対価(取材料)を請求することとします。こうすることで,「とりあえず話聞いてみっか」取材を排除できますしね。
私は人と会うのを好みませんので,まずは徹底的に既存の文献やデータをサーチします。それでどうしても分からないことがある場合のみ,専門家に取材依頼をします。目的を明確にするとは,こういうことです。今のメディアの記者には,この前段階をすっ飛ばす人が多すぎます。
メディアの皆さんは,時間を割いて対応してくれる相手に対し,敬意を払ってほしいと思います。取材した後,何の連絡もしないというのは,それがないことの表れです。NHKはこういうやり方がデフォのようですが,こんな「殿様商売」がいつまでも続くと思っちゃいけません。この思い上った大メディアに喝を入れる意味合いで,本記事を書いた次第です。