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2011年4月18日月曜日

投稿論文の採択率

 日本教育社会学会は,年に2回,『教育社会学研究』という学会誌を公刊しています。この雑誌に論文を載せるには,厳しい査読をパスしなければならないのですが,投稿された論文のうち,何本くらいの論文が採択されているのでしょうか。

 当該雑誌の各号の編集後記には,投稿された論文が何本,うち採択された論文が何本という情報が載っています。これらは,Ciniiのサイトから閲覧することができます。私は,1990年以降に発刊された各号について,投稿論文の採択率を明らかにしました。下表がそれです。第55集だけは,なぜかCiniiのサイトでオープンアクセスになっていませんでしたので,ペンディングにしてあります。現物をお持ちの方は,埋めていただけるとありがたいです。すみません。
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN0005780X_ja.html


 第46集から第87集に投稿された論文の総数は975で,うち採択された論文数は219です(第55集は除く)。よって採択率は,219/975≒22.5%となります。5本中1本という具合です。5本投稿があったら,4本は落とされる…厳しいですね。

 しかし,採択率は号によってかなり異なるようです。40%を超える号もあれば,10%を切る号もあります。第82集と最新の第87集は,採択率がわずか9.4%です。10本中1本しか採択されなかったことになります。

 ところで,大まかにみると,最近になるほど,採択率は下降気味であるように思えます。1990年以降の時期を5年刻みで区切って採択率を出すと,下表のようになります。


 結果は予想通りです。32.0%→26.4%→22.9%→16.8%というように,下降の傾向をたどっています。その原因は,採択数が減ったというのではなく,投稿数が激増したことによるものです。1990年代前半では投稿数は128でしたが,2006~2010年では374と3倍近くにも増えています。

 最近,大学院生の数が増えていることを思うと,さもありなんという感じです。博士号学位取得には,査読付き論文が何本か要求されるのが常ですから,彼らも必死なのでしょう。

 でも,学会誌への論文投稿は,自分を鍛えるためのよい機会です。匿名の査読者による講(酷)評は,非常によい糧となります。学会という組織が担っている重要な教育機能といえましょう。私も,機会を見つけて論文を投稿し,鍛えていただこうと思っております。