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2012年4月18日水曜日

教職教養の必出事項(23都府県)

前回は,東京都の教職教養試験において出題頻度が高い事項を明らかにしました。しかるに,他県はどうかという関心をお持ちの方もおられるでしょう。

 最近5年間(2008~2013年度試験)の各県の教職教養試験で,毎年欠かさず出題されている事項を拾ってみましょう。『教員養成セミナー』2012年3月号(時事通信社)の「最新5ヵ年全国出題頻度表:教職教養編」という資料から,23の都府県について,この期間中一貫して出題されている事項を検出することができます。

 これらの事項は,この夏の2013年度試験でもかなりの確率で出題されると考えてよいでしょう。以下,必出事項と呼ぶことにします。最初に,東日本の8都県の必出事項の一覧を掲げます。


 東京は前回みた通りですが,お隣の埼玉についても,必出事項を多く見出すことができます。この県では毎年,障害に関する事項が出題されています。学校教育法施行令第22条の3で規定されている,特別支援学校の対象となる障害の程度を知っておきましょう。LDやADHDについては,公的な概念規定が重要。これらの子どもは,通常学級にも在籍しています。発達障害に関する理解を深めておくことは重要です。

 福島では,学校の目的・目標について定めた学校教育法の条文の空欄補充問題が毎年出ています。本県の問題は難易度が高く,選択肢が与えられないことがしばしばです。よって,条文中の重要用語の正確な記憶が求められます。労をいとわず,該当条文の音読,書き取りといった作業をしておきましょう。

 あと一点,各県独自の教育施策に関する問題についてです。地方分権化のすう勢のなか,この手の「ローカル問題」を出す県が多くなってきています。福島,茨城,埼玉,および東京では,ローカル問題が必出です。

 2012年度試験で出題された文書をみると,福島は『第6次福島県総合教育計画』,茨城は『平成23年度・学校教育指導方針(茨城県教育委員会)』,埼玉は『埼玉県教育振興基本計画』,東京は『東京都教員人材育成基本方針』などです。いずれも都県教委のサイトで閲覧できますので,概要を押さえておきましょう。エッセンスがまとめられたパンフや概要記事に目を通しておくだけで十分です。福島の上記文書のURLを貼っておきます。
http://www.pref.fks.ed.jp/measure.html

 次に,西日本の15府県です。必出事項を上表と同じ形式で整理しました。


 地域性とでもいいましょうか。関西では,人権教育・同和教育について毎年欠かさず問う県が多いようです。同和問題の概念規定を示した同和問題対策審議会答申(1965年)や,「人権教育の指導方法の在り方について」といった国レベルの文書に加えて,各県の文書も押さえておく必要があります。

 山口では,憲法や民法のような法規が毎年出題されています。2012年度試験では,配偶者の選択や離婚について定めた憲法第24条第2項が出ています。最近,子どもの親世代にあたる30代の離婚率が高まっていることを受けてでしょうか。

 教育と直に関わる内容ではありませんが,子どもの生活領分の大半は,学校の外にあります。とくに家庭は,子どもの成育環境の重要部分をなしていますが,近年,この部分の歪み・ねじれが顕在化してきています。児童虐待の問題などは,その典型です。教育に隣接する,こうした周辺領域の知識も得ておくとよいでしょう。「親権」や「貧困率」といった概念の説明ができますか。

 以上,23の都府県について,この5年間一貫して出題されている事項をみてきました。他の県については,このような必出事項を見出すことができませんでしたが,出題回数が「4回」という準必出事項は検出することができます。関心がある方は,上記の時事通信社の原資料にあたってみてください。

 ひとまず,今回みた23の都府県を受験される方は,上表の事項は必ず学習しておく必要があるかと存じます。試験まであと3カ月弱。みなさまのご健闘をお祈りいたします。