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2014年10月14日火曜日

大学の偏差値と定員割れ

 誰もが肌感覚で知っていることですが,データで最近の状況を可視化してみましょう。大学ごとの定員充足率は10月2日の記事で明らかにしたのですが,これを入試偏差値とリンクさせるわけです。

 各大学の定員充足率は,読売新聞教育取材班の『大学の実力2015』に載っている,学生数と定員数のデータから計算しました。私が非常勤で教えているK林大学の場合,前者は4361人,後者は4310人ですから,定員充足率は101.2%となります。この値が100を下回る場合,定員割れの事態を意味します。
http://www.chuko.co.jp/tanko/2014/09/004656.html

 入試偏差値のほうは,学研教育出版社の『大学受験案内2015』の数値を使いました。この資料には各大学の学部・学科ごとの偏差値が掲載されていますが,定員充足率が大学単位のものなので,学部別の偏差値を均しました。K林大学でいうと,医学部が65.0,保健学部が55.0,総合政策学部と外国語学部が35.0ですので,これらの平均をとって47.5となります。

 上記の資料をもとに,487の私立大学について,入試偏差値と定員充足率を明らかにできました。これらの大学を,D群(偏差値30台),C群(40台),B群(50台),A群(60以上)に分かち,定員充足率の分布をとってみました。


 大学の数としては,偏差値が低い群ほど多くなっています。487大学のうち,214大学(44%)が偏差値30台です。偏差値60以上のA群はわずか17大学。首都圏や近畿圏の有力私大です。

 定員充足率の分布は,偏差値群によって違っています。D群では,全体の3分の1以上が充足率80%未満です。細線は定員割れのラインですが,偏差値が上がるほどこれを下回る大学は少なくなり,A群ではゼロです。

 487大学全体でみると,定員割れをしているのは225大学(46%)なり。私大のほぼ半分が定員割れしていると報じられますが,ここでも同じような結果が出ています。しかし,その率はランクによって異なる。その様相をビジュアル化みてみましょう。


 偏差値群によって,定員割れの様相がどう異なるかを視覚化した図です。横の幅を使って,各群の量も表現しています。A群は17大学しかないので,当然細くなっています。

 色がついているのは定員割れ大学の領分ですが,偏差値が低い群ほどこのシェアが大きくなっていますね。D群では,全体の8割が定員割れ,6割が充足率90%未満です。

 これも,わが国の大学教育の現実を切り取った,一つの社会アートとして展示しておこうと思います。台風一過で,清々しい午前ですね。澄み渡った青空。今週も健やかな日々をお過ごしください。