ページ

2015年1月25日日曜日

職業別の離・死別者率

 昨年の2月9日の記事では,職業別の生涯未婚率を出したのですが,『国勢調査』の抽出詳細集計のデータから,離別・死別者の割合も計算することができます。さすがは国の基幹統計,スゴイですね。

 私は,30~40代の正社員男女の離・死別者率を職業別に明らかにしてみました。この年齢では,多くが離婚を経験した離別者でしょう。職業別の離婚率というのも,いささかタブーな感じがするテーマですが,現実はどうなのでしょうか。

 2010年の『国勢調査』によると,30~40代の男性正規教員30万8560人のうち,離・死別者は6420人となっています。よって,離・死別者率は2.1%となります。女性教員の値は4.9%と,男性より高くなっています。インテリの女性は離婚しやすいと,何かの本で読んだことがありますが,そうなのでしょうか。

 他の職業の離・死別者率も出してみましょう。以下に掲げるのは,働き盛りの正規職員男女の離・死別者率です。下記サイトの表7より,必要な数字を採取して作成しました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001050829&cycode=0


 表の上のほうをみると,管理職の女性は離・死別者率(≒離別者率)が高くなっています。管理的公務員は11.6%,その他管理職は15.8%,およそ7人に1人です。それと,保健医療従事者(医師など)の率も高いですね。先の記事でみたように,バリバリのキャリアウーマンは未婚率が高いのですが,離婚率も然り??

 なお,値がもっと高い職業もあり,女性の介護職や清掃職では2割以上が離・死別者率です。これは,当該職業の女性の離婚確率が高いというのではないでしょう。夫と離婚した後,生計を立てるために当該の職に就く女性が多いのだとみられます。

 女性の数値は読み方に注意が要りますが,男性の場合は,それぞれの職業の離婚確確率の高さとみてよいのではないでしょうか。男性の離・死別者率をみると,ホワイトカラー職よりも,ブルーカラーや農林漁業職で高くなっています(赤字は上位5位)。マックスは,自動車運転職の8.6%です。

 トラック,バス,タクシー等の運転手ですが,給料が低く,勤務時間が不規則であるという条件が,家族解体の引き金となってしまうのかしらん。ちなみに女性の同職は,33.4%(3人に1人)が離・死別者です。主婦だった女性が,離婚後直ちに就ける職ではないように思いますが,男女ともに,働き盛りの正社員の離婚率が高い職業とみてよいのでしょうか。

 上表のデータをグラフ化しましょう。横軸に男性,縦軸に女性の離・死別者率をとった座標上に,男女の値が分かる55の職業をプロットしてみました。


 男女とも離・死別者率が高い自動車運転職は,右上のかっ飛んだ位置にあります。未婚率と違って,男女の率はおおむね相関しており,ブルーカラー職で高く,ホワイトカラー職で低い傾向に性差はないようです。

 先ほど述べたように女性の場合は読み方に注意が必要ですが,男性は,各職業の離婚確率のメジャーとみてよいでしょう,

 自動車運転職のダントツの高さ。この職業の大変さはよく報じられるところですが,業界の方は,今回のデータをどのようにご覧になるでしょうか。働き盛りの正社員のうち,離・死別者(≒離婚を経験した離別者)が何%いるか。官庁統計から算出された,一つの事実として提示しておきたいと思います。