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2015年3月14日土曜日

進学先は首都圏か関西圏か

 北陸新幹線が開通したことにより,北陸地方と東京がより短時間で結ばれることになりました。結構なことですが,関西圏の人たちは心境複雑のようで,大阪府の松井知事は「東京と北陸が新幹線でつながるとこちらが不利」と漏らしています。
http://news.livedoor.com/article/detail/9888447/

 しかし,より危機感を抱いているのは,ほかならぬ大学関係者かもしれません。大学進学段階では地域移動が激しくなりますが,北陸地方といえば,首都圏と関西圏が常に拮抗しているところ。関西の大学にすれば,入学者の供給源を奪われることにもなりかねません。

 これからどうなるかは,神のみが知るところですが,ちょっと現状分析をしてみましょう。文科省の「学校基本調査」から,各県の高校出身の大学進学者が,どこの大学に進学したかを知ることができます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm

 たとえば,2014年春の石川県の高校出身の大学入学者は5,330人です。この中には,過年度卒業生,つまり浪人経由者も含みます。この5,330人がどの県の大学に入ったのか,すなわち進学先の内訳を明らかにできるわけです。

 私は,自県,首都圏(埼玉,千葉,東京,神奈川),関西圏(京都,大阪,兵庫,奈良),その他という4カテゴリーを設け,その組成を調べました,下図は,北陸新幹線のターミナルがある石川県と,わが郷里の鹿児島県の円グラフです。2014年春の統計です。


 自県内(地元)のシェアは,石川のほうが大きくなっています。しかしここでみたいのは,黄色枠で囲った部分です。首都圏と関西圏のどっちが強いかですが,石川では僅差で関西圏,鹿児島では首都圏が圧倒的に勝っています。

 まあ鹿児島から出ようという場合,大阪も東京も一緒なんですよ。それなら首都へ一気に「高跳び」と。この傾向は昔から続いているようで,70年代の「サンデー毎日」には,鹿児島県人の東京志向について述べた記事が載っています(具体的は号は忘れましたが)。

 以上は2県のデータですが,他の県はどうでしょう。私は,首都圏と関西圏の8都府県を除く39道県について,同じデータをつくりました。下の表は,内訳の一覧表です。百分比ですので,全部足したら100になります。


 両端の北海道と沖縄は,地元の比重が高いですね。本州と海で隔てられているという地理的条件もあるでしょう。

 さて,注目ポイントは「首都圏か関西圏か」ですが,高いほうの数値を赤色にしています。見事に地理的ロケーションの影響が出ていて,東北と中部地方は首都圏派,中国・四国地方は関西派となっています。さらに西の九州は,軒並み首都圏派という次第です。

 黄色マークは北陸3県ですが,富山と福井の間の石川は拮抗していますねえ。首都圏が14.4%,関西が16.2%です。2014年春は後者のほうがちょっと多くなっていますが,年による変動もあるでしょう。金沢から東京までの新幹線が開通したことにより,この構造がどう変わるか。目下,首都圏の有利度が高くなるであろう,という予測が支配的です。

 最後に,首都圏派と関西派の分布を地図にしておきましょう。前者の県には水色,後者の県にはピンク色をつけてみました。


 地理的ロケーションによる色分かれがあまりに明瞭ですが,北陸新幹線の開通により,北陸のゾーンも水色になるのでしょうか。

 話が変わりますが,私としては,九州人の東京志向が可視化されたことに,ちょっとした爽快感を抱いています。「やはり」って感じです。問題は,中央に出て行った人間がどれほどUターンするかですが,この点は簡単に明らかにできるようで,それができない。大卒者の就職先の県別内訳も,「学校基本調査」で集計してくれたらなと思います。地方創生が掲げられている現在,まずもって必要不可欠なデータでしょう。

 3月も半ばになりました。「風邪をひいた」「花粉症にやられた」というツイートが目につきます。季節の変わり目,かつ年度末の多忙な時期,体調を崩されませぬよう。