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2016年4月17日日曜日

高齢期の夫の家事分担率

 夫婦の家事分担率については随所で書いてきましたが,ライフステージによる差というものに興味を持ちます。

 これまでは子育て期の夫婦を中心にみてきましたが,子育てが終わった中高年期,夫が仕事をリタイヤした老年期では,事態はどう変わるでしょう。

 2011年の総務省『社会生活基本調査』から,有配偶男女の1日あたりの平均家事時間を,年齢層別に拾ってみました。そして,男女の合算に占める男性の割合(=夫分担率)を計算してみました。
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/index.htm

 私の年齢層(30代後半)でいうと,有配偶男性の1日の平均家事時間は10分(少!),有配偶女性は211分ですので,夫分担率は,10/(10+211)=4.5%となります。私の年代では,夫婦の家事全体の95%は妻が担っていると。

 下図は,男女の平均家事時間と夫分担率の年齢グラフです。


 女性は20代後半から40代前半にかけて,家事時間が増えます。子どもができて職を辞さざるを得なかったり,子が中高生になると弁当づくりなどが課せられるためでしょう。

 一方,男性は仕事期はずっとフラットです。1日あたりの家事時間はずっと10分ちょい。夫婦の合算に占める分担率も5%くらい。仕事時間が長いとはいえ,目も当てられません。

 職をリタイヤした60代になると,さすがに男性の家事時間もちょっとは増えてきます。分担率も,80代になれば2割ほどになります。

 高齢期になると,夫の家事分担率も少しは上がってくるようですが,国際的にみてどれほどの水準にあるのでしょう。ISSPの『家族と性役割の変化に関する意識調査』(2012年)のデータを使って,世界30か国の高齢男性の家事分担率を出してみました。
http://www.issp.org/page.php?pageId=4

 60歳以上の有配偶男女の平均家事時間(週あたり)によります。日本の場合,男性が5.1時間,女性が22.8時間ですから,夫の分担率は,5.1/(5.1+22.8)=18.3%となる次第です。上記の国内データの数値と,さほど隔たっていません。

 この数値をランキングにすると,以下のようになります。なお,計算に使った男女の平均時間は,分布から独自に計算したことを申し添えます。


 日本の18.4%という値は,世界で最下位です。北欧では4割がザラ。職を辞した高齢期にあっては,これくらい夫にしてもらわないと,妻としては「怒!」という感じでしょう。

 「定年し,家事もしない夫がずっと家にいると思うと,気が遠くなる。離婚したい・・・」。こんな投書を読んだことがありますが,さもありなんです。ちなみに,国内の都道府県データで検討すると,高齢期の夫の家事分担率は,熟年離婚の発生率と相関しています。詳細は,1月4日の記事をご覧ください。
http://tmaita77.blogspot.jp/2016/01/blog-post_4.html

 人生80年,90年の時代です。定年後の生活は,20~30年にも及びます。子が巣立ったことによる「エンプティー症候群」,夫婦の役割葛藤,そして介護・・・。長くなった人生の末期には,各種のトラブルが起きるようになっています。

 これに備えるには,現役時代から「多様な顔」を持つことが大事かと思います。男性は仕事一辺倒ではなく,家事や趣味など,「私」の領域をもっと充実させること。定年間際になって,退職後の生活に備える講座をちょっと受けても,効果はあまりないでしょう。

 今盛んにいわれている「ライフ・ワーク・バランス」は,現在だけではなく,長期化した引退期を充実させるための条件でもあるのです。男性の「家庭進出」は,少子化対策だけではなく,高齢化対策としての側面も有しています。