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2016年6月18日土曜日

職業別の年収の変化

 前回は,最近5年間にかけて,保育士の年収が下がっていること,その傾向が特に顕著である県があることを知りました。

 では,他の職業はどうか。厚労省の『賃金構造基本統計』をもとに,129の職業の推定年収が2010年から2015年にかけてどう変わったかを調べました。資料として,ここに掲げます。

 ここでお見せするのは,短時間労働者を除く一般労働者(従業員10人以上の企業勤務者)のデータです。推定年収は前回と同様,月収(諸手当込み)の12倍に年間賞与額を足して出しました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

 全労働者の推定年収は,2010年の466.7万円から,2015年の489.2万円にアップしています。アベノミクスとやらの効果か知りませんが,職業ごとにみると変化は多様です。では,129職業の年収変化をみていただきましょう。

 表がとても長くなるので,前半と後半の2つに区切ります。まずはその①です。


 赤字は,推定年収が1.1倍以上(ゴチは1.2倍以上)増えた職業です。上部の技術系の職業で,赤字が多くなっています。一級建築士は,経験年数が浅い若手が増えているにもかかわらず,年収は550.8万円から644.6万円へと,1.17倍にアップしています。昨今の建設需要の故でしょうね。

 逆に大学教員は下がっていますねえ。教授職は,平均経験年数が上がっているにもかかわらず,年収はダウン。准教授と講師も微減。少子化による学生減で,経営難の大学が増えているためでしょうか。

 次に,後半の②です。


 下のほう,建設に携わる労務系の職業の年収アップが目立ちます。大工は,経験年数にさほど変化はないですが,年収は359.4万円から457.1万円へと大幅アップ。増加倍率は1.27倍で,全職業の中でマックスです。建設ラッシュのなか,引く手あまたなのでしょう。

 職業別の年収変化に,社会の仕事需要構造の変化が反映されているように思えます。工業高校復権を促すデータになるんじゃないかしら。まあ現に,最近の工業高校の正社員就職率はとても高く,大学以上です。健闘しています。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/12/blog-post_27.html