今日が正月休みの最終日という方が多いと思いますが,いかがお過ごしでしょうか。私は昨日,近場の居酒屋で一杯やりながら,有川浩さんの『阪急電車』(幻冬舎文庫,2010年)を読みました。酒場で読む本としては,先行きを楽しみながら読める,ライト・ノーベルがよいでしょう。話し相手がいるようで,酒もススミます。
http://www.gentosha.co.jp/news/top/2007/12/post_55.php
さて,前回の続きです。ケータイやパソコンなどによる年賀メールにやや押されている年賀状ですが,その利用頻度が地域別にどう違うかを明らかにしようと思います。前回は,日本郵便の支社ごとの統計を出したのですが,もっと細かい,都道府県別のデータもあることに気づきました。
旧日本郵政公社のサイトに,県別の年賀葉書引き受け数をまとめた統計表がアップされています。下記サイトの「都道府県等別引受内国郵便物数」の「14.年賀葉書」をクリックすると,エクセル形式のデータが出てきます。1996年度から2006年度までのものです。やや古いですが,このデータを分析してみましょう。
http://www.japanpost.jp/toukei/2006/yu06.html
1996年度と2006年度における,県別の年賀葉書引き受け数は以下のようです。各県の人口一人あたりの数も計算しました。
全国的には,この10年間にかけて,年賀葉書の引き受け数は36億枚から30億枚へと減っています。しかし,県別にみると傾向は一様ではなく,引き受け枚数が増えている県も見受けられます。岐阜と滋賀です。滋賀では,4,200万枚から2億2,200万枚へと5倍になっています。これはいかに。
右欄の人口一人当たりの引受枚数をみると,年賀葉書の利用頻度の地域差を正確に測ることができます。黄色は最大値,青色は最小値です。1996年度,2006年度とも,最も低いのは沖縄です。「ゆいまーる」の当県では,対面での挨拶が多いのでしょうか。最大値は,1996年度は北海道でしたが,2006年度では滋賀となっています。2006年度の滋賀は,県民一人あたり160枚です。ダントツの高さです。これは,何か特殊事情があるのでしょう。
俯瞰してみると,この10年間において,年賀葉書の引き受け枚数の地域差が拡大していることも知られます。右欄の一人当たり引受枚数の標準偏差(S.D)を出すと,1996年度は5.0でしたが,2006年度は22.0にまでなっています。
こうした分極化傾向は,地図でみると,もっとクリアーです。下図は,人口一人当たりの引き受け枚数を地図化したものです。この10年間の変化に注目してください。
1996年度では一様に濃い色で塗りつぶされていますが,2006年度では,色が濃い県と薄い県とに分かれてきています。傾向としては,西高東低であるような感じがします。
2011年度の地図を描けるとしたら,どういう模様になるでしょう。地域差の規模は,もっと大きくなっているでしょうか。年賀状の利用頻度は,地域住民の連帯度を計測する指標(measure)として使えるかもしれません。