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2013年9月22日日曜日

幼子がいる共働き夫婦の家事分担

 家庭は,成員の生活保障・情緒安定を図り,子を育てることを主な機能とする第一次集団ですが,その機能遂行は成員の協働によってなされるべきものです。核家族化が進んだ現代にあっては,とりわけ夫婦間の役割分担が重要であるといえましょう。

 しかるにわが国では,家事の担い手が妻に偏している家庭が多いといわれます。夫婦ともに就業している共働き世帯であっても然りです。

 この点を可視化できるデータがないものかと,総務省『社会生活基本調査』の統計表一覧を眺めていたところ,夫・妻の家事時間別に世帯の数を集計したクロス表があることに気づきました。ありがたいことに,末子の年齢ごとの区分けもなされています。
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/index.htm

 最新の2011年調査によると,0歳の乳児がいる共働き世帯で,平日の夫・妻双方の家事時間が分かる世帯数は30万5千世帯です。これらの世帯を,「夫の家事時間×妻の家事時間」のマトリクス上に散りばめると,下表のようになります。

 前後しますが,ここでいう家事とは,「家事,介護・看護,育児及び買い物」の時間のことをいいます(用語解説)。


 平日の1日あたりの家事時間ですが,夫はゼロ,妻が10時間以上という世帯が5万9千世帯で最も多くなっています。全体の19.3%に相当。家事分担が妻に著しく偏した家庭が,全体の5分の1をも占めています。

 青色のセルは,妻の家事時間が夫より5時間以上長い世帯ですが,これらを合計すると24万4千世帯であり,全体の8割にもなります。

 これが,乳児がいる共働き世帯でみた,夫婦の家事分担の実態です。妻が育休取得中とか数時間のパート勤務とかいう事情もあるでしょうが,この偏りには驚かされます。

 さて,上記の表の位置に依拠して,夫婦間の家事分担のタイプ分けをしてみましょう。青色は先ほど述べたように,妻の家事時間が夫より5時間以上長い世帯です。妻に著しく偏した型であり,「妻≫夫」型としておきましょう。

 赤色は,妻の家事時間が夫より5時間未満長い世帯なり。これは,「妻>夫」型とします。緑色は,夫と妻の家事時間が同じくらいの「均等」型です。最後の紫色は,夫の家事時間が妻よりも長「妻<夫」型なり。

 上表の30万5千世帯をこの4タイプに分かつと,「妻≫夫」型が80.0%,「妻>夫」型が17.0%,「均等」型が1.6%,「妻<夫」型が1.3%,という構成です。夫が妻と同程度か,あるいはそれ以上家事をしている世帯は,やはり少ないですねえ。

 これは,0歳の乳児がいる共働き世帯の平日のデータですが,土曜や日曜ではどうでしょう。また,子どもがより大きくなった時点では如何。私は,曜日別・末子の発達段階別に,共働き世帯の家事分担のタイプ構成を明らかにしました。

 末子の発達段階は,乳児(0歳),乳幼児(1~2歳),幼児(3~5歳),児童(6~8歳),という4段階に分けています。


 仕事が休みの土曜・日曜では,「均等」型や「妻<夫」型の世帯の比重がちょっと増えてきます。「ちょっと」です。

 子どもの発達段階別にみると,乳児段階では「妻≫夫」型が多くなっていますね。上述のように,平日では全体の8割がこのタイプです。生後間もない乳児の場合,授乳など,母親でしかなし得ないことが多いためと思われます。しかし,土日でもこのタイプが半分以上とは・・・。

 曜日や子どもの発達段階といった条件による変異はありますが,上図を全体的にみて,青色や赤色の比重が大きいことが知られます。女性の社会進出とともに男性の「家庭進出」をも促すことで,緑色や紫色の比重を意図的に増やしていくことが求められるでしょう。

 乳児がいる世帯の平日では,「均等」型や「妻<夫」型はほんのわずか(2.7%)しかいませんが,これなどは,男性の育休取得が困難であることの表れであるとみられます。

 『社会生活基本調査』は5年おきの実施ですが,2016年データでは,どういう図柄になっていることか。男女共同参画の取組が盛んになっていますが,男女の共同参画は職域のみならず家庭においても求められます。

 政府が定期的に策定する『男女共同参画基本計画』では,上図でいう「均等」型ないしは「妻<夫」型が何%,というような数値目標を立てたらどうでしょう。こういう面の数値化・計測も積極的に行いたいものです。