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2014年7月6日日曜日

家計に対する妻の寄与率

 今朝の南日本新聞に,「家計は妻の給料頼み?コープかごしま調査」と題する記事が載っていました。私の郷里のローカル紙ですが,向こうは共働きじゃないとキツイだろうなと思います。給与水準も低いですし。
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=58013

 こういう新聞記事からブログのネタのヒントを得ることが多いのですが,「家計に占める妻の稼ぎの比率って,どれくらいが相場なんだろう」という疑問を持ちました。正社員の夫が500万稼いで,妻がパートで100万稼ぐとすると,この場合の妻の寄与率は,100/(100+500)=16.7%となります。

 これは架空の例ですが,総務省『就業構造基本調査』の結果表の中に,夫の年収と妻の年収をクロスさせた表があります。これを使って,上記の問いに答えるデータをつくれないものか。

 最新の2012年調査でみると,子がいる核家族世帯(夫が30代)のうち,夫の年収が400万円台,妻の年収が100万円台前半の世帯は61,900世帯です。階級値の考え方に依拠して,夫の年収を450万円,妻の年収を125万円とみなすと,妻の寄与率は,125/(125+450)=21.7%となります。

 私はこのようにして,各セルに該当する世帯の妻寄与率を計算し,その分布を明らかにしました。妻が無業(専業主婦)の世帯は,0%となります。下の図は,この値の相対度数分布をとったものです。夫婦とも無業の世帯,いずれかが家族従業の世帯は分析から除外しています。


 0%,すなわち妻が専業主婦の世帯が最も多くなっていますが,その比率は10年前に比して減っていますね。その分,共働き世帯が増えており,総収入に占める比重が2~3割の世帯の増分が大きくなっています。妻のほうが稼いでいる世帯(50%超)も。

 これは夫が30代の世帯のデータですが,他の年齢層ではどうでしょう。子どもの発達段階によって,妻の寄与率も変わってくると思われます。私は,寄与率の分布を明らかにした元データ(上図の大カテゴリーにまとめる前)から,その平均値を出しました。夫の年齢層別の平均値をグラフにすると,下図のようになります。


 どの年齢層でも平均値はアップしていますが,とりわけ30代で増加幅が大きいですね。冒頭の南日本新聞でも,39歳以下の妻の年収が大幅に伸びているとありましたが,それと合致します。子どもが小・中学生の年代であり,何かと「物入り」の時期です。

 年齢が上がるにつれて率が上がっていくのは,子育てから解放された妻が働きに出ることが多くなるためでしょう。

 まあしかし,妻の寄与率が15~20%くらいというのは,絶対水準でみればやはり低いのでしょうね。北欧の社会で同じ値を出したら,どうなるだろう。4割くらいが相場だったりして…。

 でも,以前に比して増えていることは明らかであり,今後もこのトレンドは継続することでしょう。3日に公表した日経デュアルの記事でも書きましたが,昔の高度経済成長の時代はいざ知らず,男性の腕一本で一家を養える時代はとうに終わっています。夫婦共に力を合わせて生計を立てていく時代です。

 これから先,高齢化も進行することで,育児だけでなく介護の負担も現役世代にのしかかってきます。否が応でも共働きでないとやっていけず,今回みた妻の寄与率も,2030年頃には3~4割になっているのではないかしらん。

 現在でも,地域によっては,妻の寄与率が高い水準にあるケースもあることでしょう。残念ながら,地域(県)別のデータをつくることはできませんが,ぜひ知りたいところですなあ。

 それではみなさん,よい日曜日の午後をお過ごしください。