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2015年2月18日水曜日

結婚市場のリアル

 婚活産業が繁盛しているそうですが,出会いの会合に足を運ぶ男女の多くは腹の底で,「収入が合格ライン以上の男性がいるかしら」(女性),「こんな年収の僕でも選んでくれる人はいるかな」(男性),ということを考えているのではないでしょうか。

 明治安田生活福祉研究所の調査(2013年)によると,20代の未婚女性の31%は,年収400万円台の結婚相手を希望しているのだそうです。2012年の『就業構造基本調査』に載っている,20代の未婚女性数は496万人。先ほどの比率をこれに乗じると,154万人となります。年収400万円台のお相手を希望する,20代の未婚女性の実数です。
http://www.myilw.co.jp/life/enquete/07_marriage.html
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 一方,上記の『就業構造基本調査』から分かる,年収400万台の20代の未婚男性は33万人ほど。隔たっていますねえ。

 このやり方にて,結婚相手に求める年収別の未婚女性と,年収別の未婚男性の実数を明らかにし,表にまとめてみました。20~30代のデータです。


 官庁統計の20~30代の未婚者数は,女性が738万人,男性が896万人であり,男性のほうが余っています。しかし,「男性>女性」であるのは一番下の年収300万未満(無業含む)の層だけで,それ以外の層では軒並み女性のほうが多くなっています。

 さて,年収400万台の相手を希望する女性が,その望みを叶えられる確率を考えてみましょう。一番上の①をみると,このレベルの年収を希望する女性は238万人です。この基準をクリアしている男性,すなわち年収400万以上の男性は134万人(④)。

 しかし競争相手として,より下のレベルの年収でもいいという女性も入ってきますから,競争率計算に使う分子は,下の2つの階級も足して511万人となります(③)。

 したがって,年収400万円台の相手を希望する女性が,意中の相手を奪い合う競争率は,511/134=3.8倍ということになります。これは20代と30代をひっくるめた計算結果ですが,20代だけに限ると,この値は8.0倍にまで跳ね上がります(344/43≒8.0)。20代の若造では,そんなに稼いでいる男性は多くないですしね。

 上表の③を④で除すことで,相手に求める年収のレベルに応じた,女性の側からの競争率を計算することができます。400万円台の相手を希望する女性の場合,意中のオトコを奪い合う競争率はどれほどかです。計算結果をご覧いただきましょう。


 まずは20代と30代をひっくるめた値からみると,要求レベルが年収500万円台になると競争率は10倍を超え,1000万超を望むとなると338倍にまで急騰します。最高レベルとなると,市場に参入してくる全女性が競争相手になりますが(737万人),この条件を満たす相手はたった2万2千人ですので。

 ましてや,1000万超を望む20代女性が,同年齢の意中の男性をつかまえられる確率は,1457人に1人です。宝くじのレベルですね。30代になると競争率は下がりますが,20代の未婚女性を競争相手(分子)に加えると,値が跳ね上がるのは言うまでもありません。

 20代と30代の値は,同年齢層どうしが求め合うという仮定を置いて出したものですが,30代のオトコでもいいという20代女性も多くいることでしょう。よって,年齢層ごとの競争率は参考値とみていただき,右端の20~30代の計算結果に注目していただければと思います。

 夫に全面的に養ってもらおうというなら,年収600万円台くらいを求めたいところですが,そうなると,30倍もの競争を勝ち抜かなくてはなりません。思い切って,年収300万円台にまで下げれば競争率は1.0を割りますぜ。

 どれくらいのレベルが現実的か。一つの試算結果として,婚活イベントに臨まれる女性の方々の参考になればと思います。