朝食欠食率は上昇傾向で,塾通いの子どもが夕食をファーストフードで済ますのは日常茶飯事。これでは頭が訓練されても,体は蝕まれる一方です。子どもの肥満の増加は,こうした歪みの表れに他なりません。
この点に関する実証データを作ってみましたので,ご覧に入れましょう。資料は,厚労省『21世紀出生児縦断調査(2001年出生児)』の第13回です。
本調査は,2001年に生まれた児童を追跡する大規模調査で,2014年に実施された第13回調査の時点では,追跡対象の児童は13歳になっています。
この第13回調査の結果報告書では,食生活の状況と体格のクロス集計表が公開されています。私はこのデータをもとに,以下の表を作ってみました。食事のとり方によって,肥満児の出現率がどう異なるかです。ここでいう肥満児とは,軽度・中等度・重度の合算です。
男子では,朝食を食べる群(14401人)のうち,肥満児は1109人。比率にすると7.7%となります。朝食を食べない群では,この比率はちょっと高くなります(8.1%)。
夕食の取り方とも関連しており,父母などの家族で食べる群よりも,孤食群や欠食群で肥満率は高い傾向です。
女子では,この傾向がクリアーです。肥満児の割合は,朝食の欠食頻度や夕食の取り方ときれいに相関しています。
13歳といえば痩身志向が強くなる時期で,ダイエットで朝食を抜く子が多くなるといいますが,それは逆効果です。朝食を抜くと,昼食で摂取したカロリーが過剰に蓄積され,肥満になりやすいといいます。
夕食の取り方にしても,孤食群は好きなものばかり食べるなど,栄養が偏るためでしょう。
食育が求められる所以ですが,食生活の歪みは家庭の経済状況と相関しており,その結果,貧困と肥満がリンクする「健康格差現象」があることもよく知られています。
学力格差,体力格差,そして健康格差といった教育格差の底には,社会全体の経済格差が横たわっていることは,言うまでもありません。無力な子どもは,その影響をなす術もなく被ることになります。子どもの貧困待ったなし,といわれる所以は,こういうところにもあります。