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2016年5月11日水曜日

女性が結婚相手に求める条件

 未婚化が進んでいますが,その原因としてよく言われるのは,結婚相手に求める条件と現実のギャップです。たとえば,女性は高年収の男性を望むが,現実にはそういう男性はわずかしかいないと。

 この点に関するデータは,本ブログでも繰り返し提示してきました。30代の未婚男女でみると,女性の7割が年収400万以上の男性を望んでいますが,そのレベルの年収のある男性は,全体の3割弱しかいません。この年齢の未婚男性の半分は,年収300未満であるのが現実。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/02/blog-post_7.html

 これにより,女性は実家にパラサイトしながら,理想の相手に出会えるのを待ち続ける。この行いの集積により,社会全体の未婚化が進行する。そこで,親同居税を取ったらどうかと。1999年に刊行された,山田昌弘教授の『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)には,こういうことが書いてあります。

 しかし,女性が結婚相手に求める条件は,収入(income)だけではありません。複数の条件を比較すると,収入以上に重視されている条件があります。それは,家事・育児の能力・姿勢です。下記の記事をみて,知りました。
http://news.yahoo.co.jp/feature/186

 厚労省の『出生動向基本調査』のデータということですので,原資料にあたって調べてみました。なるほど,18~34歳の未婚男女に対し,結婚相手に求める条件を尋ねています。8つの項目を提示し,「重視する」「考慮する」「あまり関係ない」から選んでもらう形式です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/118-1.html

 私は,「重視する」の回答比率を拾ってみました。下図は,最新の2010年調査のデータをもとに作成したグラフです。横軸に男性,縦軸に女性の重視率をとった座標上に,8つの項目をプロットしています。斜線は均等線です。


 7つの項目が,斜線の上に位置しています。女性のほうが,相手に強く求める条件が多いようです。その中では人柄がトップですが,その次に重視率が高いのは,家事・育児の能力・姿勢です(62.4%)。3番目は,自分の仕事に対する理解度(48.9%)。

 こういうソフト項目のほうが,収入学歴・職業といったハード項目より重視されているのですね。時代変化をみると,下図のようになります。未婚女性の重視率が,1997年から2010年にかけてどう変わったか。


 さして大きな変化はないですが,家事・育児の能力・姿勢の重視率が20ポイント近くも上昇しています。家事メン・イクメンを求める女性が増えていることがうかがわれます。

 これは,女性の社会進出志向が強まっているためでしょう。1999年に男女共同参画基本法が制定され,今世紀になってから,それに向けた取り組みが実施されているのは,よく知られていること。

 未婚女性の予定ライフコースをみても,主婦コースや再就職コースが減り,家庭と仕事の両立コースの比重が増えています。


 収入も大事だが,自分が仕事を続けることに理解を示し,家事・育児を分担する。こういう女性が増えているというのは,頷けます。

 未婚化の真因は,女性が求める年収と男性の年収のギャップというよりも,女性が求める家事・育児能力・意識と,男性の現実のそれの隔たりかもしれません。男性の年収が低くとも,二馬力で稼げば何とかなるのですから。

 そうした二馬力就業の条件となるのが,男性の家事・育児分担であることは,言うまでもありません。

 しかし,日本のオトコは家事・育児をしない。世界最低。それはなぜか? 5月7日に発売された『プレジデントウーマン』6月号にて,私が思うところをデータを交えて述べております。「家事分担率ランキング なぜ日本の男は家事をやらないの?」という記事です。興味ある方は,ご覧いただけますと幸いです。
http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=2548