婚活支援を手掛けている,パートナーエージェントという会社が,「結婚の幸福度指数」という興味深いデータを公表しています。アルファベットの略称は,QOM(Quality of Marriage)です。
http://www.qom.jp/
80の質問に答えてもらって,回答者の結婚の幸福度を測定するもの(1000点満点)ですが,レポートでは都道府県別の平均値が明らかにされています。20~60代の既婚者の平均値です。
トップは,私の郷里の鹿児島(632.0点)。2位は宮崎,3位は東京,4位は沖縄と,南九州の県が上位に挙がっています。逆に下位には,島根,石川,福井,秋田など,日本海沿岸の県が多し。
日本海沿岸の県で,QOMが低いことについて,報道記事では「より家族の絆や家のつながりを大切にするエリアであり,結婚で新しい家族の一員になることで,馴染めないといった不安や不満が幸福度の低さにつながったのかもしれません」といわれています。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161116-00010000-suitsw-life&p=1
なるほど,分かるような気がします。三世代世帯率が高い地域ですが,同居している親と反りが合わない,という夫婦も多いでしょう。
家族のしがらみが多い県では,QOMは低い傾向にあるのではないか。こんな仮説が浮かびますが,データでみるとどうでしょう。都道府県別の核家族世帯率と,上記のQOMの相関図を描くと,下図のようになります。前者は,2015年の『国勢調査』から計算したものです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001080615&requestSender=search
核家族世帯率とQOMは,有意なプラスの相関関係にあります。換言すると,核家族世帯以外の世帯,三世代世帯などが多い県ほど,結婚の幸福度は低い傾向がみられます。左下にある,日本海沿岸の県です。
私にすれば「やはり」という感じですが,どういう感想を持たれるでしょうか。上記の相関が因果関係とは限りませんが,当局の「三世代同居推奨」の施策が,よからぬ結果をもたらす恐れがあることを警告するデータのように見えますね。
女性のQOMに絞ったら,上記の相関はもっと強くなるのではないかしら。
個票データを使って,性別・年齢を統制したうえで,家族類型とQOMの関連をとったらどうなるでしょう。データをお持ちの,パートナーエージェントさん。ぜひ,そういう分析もやってみてください。