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2019年4月18日木曜日

保育士試験の参考書と問題集

 実務教育出版より,『まんがでわかる保育士らくらく要点マスター』と『保育士ベスト過去問&予想問題集』をお送りいただきました。いずれも2019年の試験用です。
https://jitsumu.hondana.jp/book/b375679.html
https://jitsumu.hondana.jp/book/b379676.html


 保育士資格を得るには,保育系の大学・短大・専門学校を出るのが普通ですが,国の試験(保育士試験)に合格するという手段もあります。上記の2冊は,この保育士試験用の対策本です。

 試験は筆記と実技からなり,前者は9科目(保育心理,保育原理,児童家庭福祉,社会福祉,教育原理,社会的養護,子どもの保健,子どもの食と栄養,保育実習理論)で,全部を6割以上とらないといけません。

 ハードに思えますが,全科目を一度にクリアする必要はありません。合格科目は3年間有効ですので,ちょっとずつクリアしていくのが一般的です。試験は年に2回なんで,1回の試験で2科目ずつクリアすればよし。これなら,仕事をしている社会人でも対応できます。保育士試験の合格率(受験者/合格者)は2割ほどと低いのですが,その理由は,こうした長期戦略をとっている人が多いからでしょう。

 勉強には対策本が不可欠ですが,上記の2冊は,知識のインプットと問題演習のアウトプットという,双方の要請を満たしてくれます。

 まずはインプット,左側の『らくらく要点マスター』のほうです。9科目について,試験で問われるポイントが簡潔にまとめられています。一文一文が短く区切られており,読むのに疲れません。重要語句が赤字になっており,それをフィルムで隠したドリル学習もできます。空き時間や移動時間を使った学習もできますね。

 図や表が多様されているのも嬉しい。私の『教職教養らくらくマスター』と似たような体裁かな。「読む本」というよりも「見る本」です。各科目の冒頭に4ページのマンガがあるのもいいですねえ。現場にて,当該科目の知識を活用する光景が描かれています。どうしてこの科目の学習が必要なのか,というレディネスを得ることができます。

 次にアウトプット,問題演習です。知識の吸収と並行して,実際の問題の形式に慣れないといけません。保育士試験の問題は,5つの選択肢から正しいものを1つ選ぶ形式です。語句を書かせたり,論述させたりという問題はありません。目を凝らして,正しい言い回しや漢字を覚える,という対策は必要ないでしょう。

 問題演習には,右側の『ベスト過去問&予想問題集』を使います。各科目の知識は,それほど多くありません。試験では,類似の内容が形を変えて出題される傾向があります。ゆえに,対策の基本は過去問を解くことです。しかし,新しい政策や法改正なども出ますので,過去問演習だけでは足りません。本書では,最近の政策動向も踏まえ,今年はこういう問題が出るんじゃないかという,予想問題も掲げられています。

 本書は,過去数年の過去問から良問を選りすぐった「ベスト過去問編」,最近の政策をも踏まえ2019年で出題が予想される「予想問題編」,直近の2018年後期試験の問題=「本試験編」,という3本立てになっています。

 いやあ,よく組み立てられているなあと感心します。1)過去繰り返し出されている典型問題を押さえ,2)今年出るであろう予想問題を解き,3)仕上げとして直近の本試験で「場慣れ」をする。この3ステップです。試験を突破する実践力が確実に身に付くことでしょう。

 保育士試験の過去問は公表されていますが,本書では,試験対策のプロ集団(キャリア・ステーション)による懇切丁寧な解説がつけられています。分量としては,最初の「ベスト過去問編」が多めです。この部分をやれば合格ラインの6割はかたいですが,予想問題編と本試験編もこなし,万全を期しましょう。

 上記の2冊を併用し,2~3年の長期戦略を組めば,保育士試験の合格は間違いないと思います。このご時世,保育士資格を持っていれば,まず食いはぐれることはないでしょうね。どの自治体も待機児童問題が深刻で,保育士は引っ張りだこなんですから。

 その要因は給与が激安であることですが,さすがに政府も,こんな状態をいつまでも放置しておくわけにはいかないでしょう。増税による財源で保育園無償なんていう愚策が決まりましたが,まずなすべきは保育士の待遇改善です。無償にしても,入れなければどうしようもありません。入れた人と落ちた人の落差も大きくなります。

 政府も,そのうち愚に気付くでしょう。国の施策を待つまでもなく,多くの自治体が何とか保育士を確保しようと,独自に待遇改善を図っています(住居補助,初期の生活費支給など)。保育士資格を持っていれば,いいことがありそうです。

 下劣なことを書きましたが,保育士は,働いている親の子を預かるだけの存在ではありません。人生初期の人間形成に大きく関与する,れっきとした専門職です。だからこそ資格取得には,国による厳格な試験が課されているわけです。

 それをパスするのに,ここにて紹介した2冊の本を活用されたらいいのではないかと思います。保育士試験の受験に年齢制限はないようです。チャンスは万人に開かれています。受験生諸氏の健闘を祈ります。