ブログタイトル下の告知板にも記してますが,拙著『教職教養らくらくマスター』(2020年度版)が実務教育出版より刊行されました。書店にも並んでいることと思います。
https://jitsumu.hondana.jp/book/b370749.html
教育政策は目まぐるしく動き,法律もコロコロ変わりますので,毎年内容を更新し,今くらいの時期に刊行しています。この夏に出た2020年度試験用より,カバーデザインも刷新しました。前より,落ち着きのある体裁になったかと思います。
教職教養は,校種・教科を問わず全受験生に課されます。内容は大きく,教育原理,教育史,教育法規,教育心理,の4領域に分かれます。
大学の教職課程のテキストをちゃんと復習すればいいのですが,大学の先生が書く概論書と,教員採用試験の教職教養の間には,いささか距離があります。たとえば教育社会学は試験では出題されませんし,逆に最新の教育時事などは大学の授業で習うことはありません。試験対策に特化した本を使う必要があります。
本書は,そういう要請に応えるための本です。文章をびっちり詰めた「読む本」ではなく,どちらかといえば「見る本」に近いです。教職教養の広範な内容を「らくらくマスター」していただくため,内容の盛り方に工夫を凝らしています。
上記は学習指導の方法のテーマですが,押さえるべきキーワードを赤字で強調し,概念を原則2行以内で簡潔に説明するスタイルをとっています。附属のフィルムで赤字を隠せますので,暗記学習も可能です。
また視覚人間である私のポリシーを前面に出し,図や表を多用しています。以下は,出題頻度が高い西洋教育思想(近代)のテーマです。
過去問を見れば分かりますが,教育史は,著名な思想家の文章の正誤判定問題や,人物名と著作・業績を結び付けさせる問題に尽きます。よって,各人物の主著や思想のキーワードを知っておけば十分です。ルソーであれば,主著は『エミール』,キーワードは「子どもの発見」「消極教育」というように。
こうした学習の便に資するよう,重要人物の情報を表組で整理しています。ある人物の名前が提示されたら,即座に主著やキーワードが浮かぶようになるまで,赤字を隠したドリル学習を反復してください。
お堅い教育法規にしても,ただ条文を機械的に載せるのではなく,現場でどういうことが問題になっているか,どういう点を汲み取ってほしいかを,私の言葉で書いています。読者さんから,「フレンドリーで,暗記学習の暗さを感じさせない」という声をいただいています。
他にもアピールしたい点はありますが,これくらいにしましょう。あとは,現物を手に取ってからのお楽しみ。
今の学生は,短文に入り浸ったSNS世代ですので,長い文章を読むのが億劫という子が多いと思います。そういうことを考え,本書は「読む本」ではなく「見る本」としての性格を出しています。
こうした読みが当たったのか,本書は2007年の刊行以来,「見やすい」「分かりやすい」と好評をいただき,教職教養の売れ筋本として通っています。紀伊国屋の教員採用試験のコーナーでは,いつも最前列に平積みされてます。ありがたや。
https://twitter.com/tmaita77/status/1003819191495942144
来年の夏,教員採用試験を受験予定の学生さん,本書をぜひ手にとってください。他の会社から,分厚い電話帳みたいな参考書も出てますが,学習のスタートには,重要ポイントを精選した薄手の要点整理集がいいと思います。まずは,教職教養全体(原理,歴史,法規,心理)を大雑把に押さえることからです。
『教職教養らくらくマスター』は毎年刊行されていますが,今年はカバーデザインが変わった節目の年ですので,アナウンスさせてただきました。
現在,教員採用試験の競争率は下がっていますが,オリンピック後はまた不況になるという予測もあります。そしたら競争率は跳ね上がるでしょう。今がチャンス。受験生の皆さんの健闘を祈ります。