こちらの本ブログも廃れないよう,更新してまいります。
2018年の『住宅土地統計』のデータが公表されましたが,この資料のウリは,市区町村レベルで世帯所得分布が分かるほか,借家世帯の家賃分布も知れることです。三浦市のデータをみたところ,当市の借家世帯の21%が家賃ゼロ円であることを知りました。
三浦半島の南端で,人口減少が激しく,消滅の危機すらいわれる自治体ですが,こういうことをアピールすればいいのになと思います。「食い物は美味く,風景はきれいで,東京への通勤圏で生活費は浮く!」。私はツイッターで,こうつぶやきました。
これに対し,「三浦市は東京への通勤圏じゃない,片道90分はかかるじゃん」という反論がきました。はてそうなのか,始発の三崎口駅から座って品川まで行けるし,都内への通勤者は結構いるのでは。私はこう思い,データを調べてみました。
基幹統計の『国勢調査』には,就業者の従業地のデータも出ています。2015年の統計によると,三浦市在住で都内23区に通勤する男性は790人。同市の男性雇用労働者(8162人)に占める割合は9.7%となります。蓋を開けてみると,都内への通勤者は1割もいません。市外通勤にしても,大半が横須賀市や横浜市止まりのようです。
私が住む横須賀市だと,男性の勤め人の都内23区通勤者率は12.3%。すっ飛ばす京急が通っているので,もっと多いかと思いきや,こんなもんなんだなあ。神奈川県内の33自治体のデータを計算し,高い順に並べると以下のようになります。当該自治体在住の男性雇用労働者のうち,都内23区への通勤者が何%かです。
多摩川をはさんで,東京と隣接する川崎市ではほぼ半分です。鎌倉市や逗子市が横浜市より高いのは驚きですね。横須賀線が通っているとはいえ,時間がかかると思うのですが。ああ,横浜市は市内通勤者が多いためかもしれません。
上野東京ラインが通っている茅ヶ崎市や藤沢市も比較的高し(といっても2割ほどですが)。横須賀市の12.3%は,藤沢市より10ポイントほど低くなっています。品川からの距離は,藤沢も横須賀中央も同じくらいだったような。大磯町が平塚市より高く,距離と直線的に比例しているのではなさそうです。
東京への通勤圏は,距離や時間で割り出されることが多いのですが,実際に通っている人の割合も,一つの判断材料になるでしょう。上記は神奈川県内の33市町村のデータですが,首都圏のお住まいの方は,自分の自治体はどうかという関心もあるかと存じます。
私は1都3県の市町村別に,男性の勤め人の東京23区通勤者比率を計算しました。私が前に住んでいた東京都多摩市は43.6%です。京王と小田急がダブルで乗り入れており,サービス向上(時間,運賃)を競っていますので高いですね。
以下に掲げるのは,10%刻みで塗り分けたマップです。
何%以上をもって,東京への通勤圏とみなすかは皆さんの判断に委ねます。三浦市はむろん,横須賀市も東京への通勤圏というのは難しいかな。だからといって,当該市の魅力が減じるわけではありません。
千葉県の一宮市に薄い色がついています。都心からだいぶ離れていますが,上総一ノ宮駅から特急や快速を使えば,片道90分くらいで行けるみたいです。サーファーの移住が多い街と聞きます。仕事と趣味を両立できる,強みがありますね。
上野東京ラインなど,高速交通網が発達してきてますので,昔と比して,色付きのゾーンは広まっているとみられます。企業の本社中枢の都心集中は相変わらずで,東京への通勤圏かどうかが,「選ばれる街」の重要条件とされがちです。私のような非勤め人はそんなのは度外視ですが,勤め人はそうはいかない。
ちょっと古いデータですが,お昼休みの雑談のネタにでもしていただければと思います。次回は,ゼロ円借家について書きます。2013年から18年にかけて,ゼロ円借家,増えています。