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2020年4月9日木曜日

コロナ感染者の存在密度

 コロナウィルス感染者の統計が公表されるたびに,人々の間に恐怖が広がっています。4月8日のデータでは,全国で4168人,最も多い東京都で1203人,私が住んでいる神奈川県で279人,郷里の鹿児島県では3人です(厚労省)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10752.html

 感染者が多いのは都市的な都府県ですが,人口量が多いので,当然といえばそうです。統計分析家の本川裕氏は,人口当たりの感染者数を県別に出し,東京より福井のほうが多いことを発見し,注目を集めています。地方への移動は必ずしも安全ではないと。いざとなった時,病院も少ないですしね。

 ただ感染者を県別にバラすと,1~2ケタ,多い所で3ケタ(東京は4ケタ)という水準なんで,人口当たりの出現率にするのもどうかなと思います。

 各県の危険度を測るなら,感染者が単位面積あたり何人いるかという,存在密度にしたほうがいいかと。怖いのは,感染者と接触してしまうことですので。私が住んでいる横須賀市の面積はちょうど100㎢です。この10キロ四方の土地に感染者が何人いるか? こういう視点を立ててみましょう。

 上述のように現時点の神奈川県の感染者は279人で,本県の可住面積は1471㎢です。前者を後者で割って,100㎢,10キロ四方の土地に18.96人の感染者がいることになります。この値を県別に計算し,高い順に並べると以下のごとし。感染者が出ていない岩手,鳥取,島根の3県はゼロです。


 県別の感染者存在密度です。一番少ないのは,私の郷里の鹿児島ですか。県全体で3人しかおらず,面積が広いですからね。

 上位は大都市都府県で,東京,大阪,神奈川,京都では2ケタです。東京では,10キロ四方の土地に88人の感染者がいるようです。分子は発覚した人の数ですので,潜在量を含めたら3ケタはいるでしょう。100㎢の横須賀市内に,これだけの感染者がいるとしたら,怖い気がします。夕刻のウォーキングに出る気も失せますね…。

 ただ10キロ四方の土地というのもだだっ広くて,危険度があまりピンとこないかもしれません。角度を変えて,何キロ四方の土地に1人の感染者がいるかを出してみましょう。神奈川は感染者が279人,可住面積が1471㎢です。今度は後者を前者で割って,5.27㎢の土地に1人の感染者がいるという情報を得ます。この平方根をとって,2.3キロ四方の土地に1人の感染者がいることになります。

 危険水準が高い順に47都道府県を並べましょう。感染者ゼロの3県は除きます。


 東京では,1キロ四方の土地に感染者が1人いる計算です。徒歩圏内ですね。神奈川も,2.3キロ四方の日常生活圏に1人います。

 感染者が多い東京都では,区市町村別の数値も公表されています。上記と同じやり方で,何キロ四方の土地に1人の感染者がいるかを都内23区別に計算すると,以下のようになります。


 都全体では1キロ四方に1人という結果ですが,区別にみるともっとスゴイ値が出てきます。港区と新宿区では,480m四方の土地に1人いる計算です。私の家から,行きつけのドラッグストアまでが500mほど,この距離の正方形内に感染者がいる。飛沫が風にのって飛んできちゃいますね。

 外出自粛要請を無視し,都心の繁華街に出かけている若者の皆さん,怖さがちょっとは伝わったでしょうか。

 現実には感染者は病院やホテル等に隔離されていますが,まだ発覚していない潜在的な感染者が,あなたのすぐ近くにいないとも限りません。1週間後,2週間後には,上表の数値はもっと恐ろしいものになっているはず。気をつけていただきたいと思います。