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2016年5月9日月曜日

貧困による子どもの盗み・売春は例外か?

 朝日新聞に,子どもの貧困にまつわるショッキングな記事が連日公開されています。「ここまできたか・・・」という思いです。

・「3歳児,おなかすいて盗んだ 両親は借金背負い不在」
 http://www.asahi.com/articles/ASJ4C3DS1J4CPTFC006.html
・「中学時代,5千円で売春 これで上履きが買える」
 http://www.asahi.com/articles/ASJ4T42VWJ4TPTFC008.html

 こんなのは,子どもの自殺率にも等しい「超レア」なケースだろう,と一蹴できるでしょうか。2012年の『就業構造基本調査』をもとに,18歳未満の子どもがいる世帯の年収分布表をつくると,以下のようになります。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 母子世帯,父子世帯,その他というように,世帯タイプ別に分けています。その他とは,2人親の世帯で,祖父母同居の拡大世帯も含みます。


 ここで注目すべきは,幼児の盗みや思春期の子どもの売春を生じせしめるような,経済的に困窮している世帯の量(magnitude)です。右上の黄色マークの部分がそれで,年収100万未満の世帯は16.5万世帯,年収200万未満の世帯まで広げると49.1万世帯が該当します。

 全体に占める割合は7.4%で,14世帯に1世帯がこれに当たると。朝日新聞で取り上げられているような悲劇を,子どもの自殺率にも等しい「超レア」なケースと切り捨てることはできないと思います。