2014年8月31日日曜日

2014年8月の教員不祥事報道

 今日で8月も終わりです。「楽しかった夏休みも・・・」と言いたいところですが,もう2学期が始まっている学校もあるのですよね。

 今月,私がネット上でキャッチした教員不祥事報道は26件です。夏休み中ですが,いろいろ新聞を賑わせてくれました。わいせつが多いのはいつものことですが,「土曜授業止めろ」という脅迫,フェイスブックへの不適切投稿などの事案も見受けられます。

 SNSは,個々の教員が自らの思いや実践を発信するのはいいツールですが,使い方を誤らないよう,注意していただきたいと思います。*自戒を込めて申します。

 明日から9月です。また暑さがぶり返すそうですが,気温の変化が激しい日が続かと思われます。季節の変わり目,みなさま,ご自愛くださいますよう。

<2014年8月の教員不祥事報道>
高校総体引率中に駅で盗撮の疑い 秋田の教諭逮捕(8/2,産経,秋田,高,男,42)
同僚女性の頭や顎殴り罰金命令の小学校教諭(8/6,読売,岐阜,小,男,38)
バイクの少年2人死亡=車と衝突、小学校教諭逮捕(8/6,時事通信,東京,小,男,47)
盗撮容疑で書類送検、51歳の教頭を懲戒免職処分(8/7,TBS,神奈川,高,男,51)
体罰3教諭ら訓告、県教委発表 交通違反3人は戒告(8/8,山形新聞,山形,体罰:中男40代,小女50代,特男30代,交通違反:小女50代,中男50代,高男50代)
教諭が保護者の前で男児に「窓から飛び降りてもらう」と発言
 (8/12,読売,長崎,小,男,40代)
暴行の教諭、理由は「今後の交際のあり方で…」(8/13,読売,愛知,高,男,39)
「衝動抑えられなかった」盗撮容疑で小学校教諭を懲戒免職処分
 (8/13,産経,京都,小,男,28)
「窓から飛び降りるか」教諭発言、児童引き倒す(8/14,読売,静岡,小,男,41)
“土曜授業やめろ”脅迫、教諭逮捕(8/19,日本テレビ,千葉,小,男,49)
バスに乗り遅れた校長、盗んだ?自転車で出勤(8/19,読売,東京,小,男,53)
 県立高校教諭、不適切な投稿 自身のフェイスブックに
 (8/21,大分合同,大分,高,男,40代)
静岡県教委、50代男性教諭を懲戒免 知人女性にわいせつ行為
 (8/22,産経,静岡,中,男,50代)
佐賀の中学教諭、酒気帯び容疑で逮捕 接触事故後に逃走(8/22,朝日,佐賀,中,男,43)
女子高校生にわいせつ容疑 姫路、部活顧問逮捕(8/23,神戸新聞,兵庫,高,男,63)
体罰の男性教諭、戒告に 岡山県教委、懲戒処分を発表(8/23,産経,岡山,中,男,35)
・同上(個人情報紛失:岡山,高,女,44)
わいせつ容疑で中学教諭逮捕=路上で女子高生触る―
 (8/26,時事通信,神奈川,中,男,25)
小2男児に体罰 横浜市教委が男性教諭を懲戒処分
 (8/26,神奈川新聞,神奈川,小,男,54)
日立一高へ爆破予告 男性教諭を懲戒免職(8/26,産経,茨城,高,男,60)
17歳少女に売春させた疑い、小学教諭を逮捕(8/26,読売,愛知,小,男,24)
教え子にキス、デート誘う 男性教諭を免職(8/27,埼玉新聞,埼玉,高,男,24)
水着女性を盗撮した疑い 愛知県立高教頭を逮捕(8/27,朝日,愛知,高,男,50)
わいせつ高校教諭を懲戒免職 現金盗んだ職員、成績改ざんの教諭も処分
 (8/28,埼玉新聞,埼玉,成績改ざん:高男35)
引率教諭「敗退」と勘違い…中学相撲で不戦敗に(8/29,読売,三重,中)
石川県金沢市の40代の高校教諭が10代少女にみだらな行為
 (8/31,日本テレビ,石川,高,男,40代)

2014年8月29日金曜日

『青空文庫で社会学』

 横浜国立大学の渡部真教授より,『青空文庫で社会学』をお送りいただきました。お弟子さんの小池高史氏との共著です。
http://clartepub.shop-pro.jp/?pid=77783016


 渡部先生は教育社会学・犯罪社会学の研究者であられ,青少年の逸脱行動に関する書籍や論文を数多く発表されています。1979年の「青年期の自殺の国際比較」(『教育社会学研究』第34集),82年の「高校間格差と生徒の非行的文化」(『犯罪社会学研究』第7号)などは,私にとって大きなインパクトがありました。

 前者では,α値という指標をもとに青年層の自殺の国際比較が行われています。青年の自殺率の絶対水準を観察するだけでは不十分で,所与の社会において,青年層にどれほど自殺が集中しているかを吟味しないといけない。こういう視点から,青年の自殺率が全体の何倍かを表すα値が,比較の指標として用いられています。

 後者は,階層構造内で位置を異にする複数の高校を取り上げ,各々の高校内でどのような下位文化(サブカルチャー)が支配的かを明らかにしたものです。生徒に対するアンケート調査のデータを数量化Ⅲ類にかけ,階層構造内で下位の学校ほど,非行に親和的なカルチャーが蔓延していることが実証されています。

 渡部先生の文章は読みやすく,私はとても好きです。聞けば,東大の大学院にて,わが師匠・松本良夫先生の教えを受けられたとのこと。こういう共通の地盤があるためかしらん。私にすれば,兄弟子とも言い得るお方。*不遜な言い方をお許しください。

 近年では,『ユースカルチャーの現在-日本の青少年を考えるための28章-』(2002年),『現代青少年の社会学-対話形式で考える37章-』(2006年)などの単著を出しておられます。特徴は,2人の人物の対話(dialog)という形式で書かれていること。

 渡部先生も書かれていますが,ダイアローグは,自分の考えを分かりやすくはっきりと伝えるのに適しているそうです。なるほど,いかに研究者であれ,日常会話では小難しい言葉は使いませんからね。かといって,腑抜けた居酒屋談義のようなものではなく,豊富な資料やデータを引き合いにして,学問的な議論が行われています。

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 今回謹呈いただいた『青空文庫で社会学』も,同じつくりになっています。渡部先生と小池氏による対話形式です。本書では,目ぼしい文学作品を素材にした議論が行われています。取り上げられているのは,青空文庫(著作権切れの文学全集)に入っているものであり,誰でも読めるそうです。この点もいいですねえ。
http://www.aozora.gr.jp/

 目次をみると18の章が盛られており,章ごとに,太宰や鴎外などの作品が掲げられています。これだけだと,文学作品の解説本と間違われそうですが,それらを通してどういうテーマについて議論するのかが,キーワードで示されています。クーリングアウト,社会統制,近代,階級文化など,社会学の重要タームも盛りだくさん。

 各章の内容は完結しており,どの章から読んでもいいとのことですので,私はまず,8章「ある自殺者の手記(モッパーサン)」から読ませていただきました。キーワードは「自殺・動機」です。

 架空の自殺者の手記を載せた短編小説(1884年)ですが,それから読み取れる自殺の原因(希望が失せた孤独,倦怠,消化不良,思い出)が,デュルケムのいう自己本位的自殺と通じるところがあるそうです。

 デュルケムの『自殺論』が公刊されたのは1897年ですが,急激な産業化により,人々の連帯が喪失しつつあった当時の西欧社会の危機は,統計のみならず文学にも表れていたのですなあ。

 自己本位的自殺は,社会の統合が弱まることで起こるとされた自殺タイプです。「人はいかなる集団にも属さずして,自分自身を目的として生きることはできぬ」とデュルケムは述べていますが,こうした自己本位的状況が,上記の作品の遺書にも綴られていると。

 同時代のフランスを生きたデュルケムとモッパーサンは,「まったく異なった方法で自己本位的状態の事を考えた」(本書104ページ)のだと言えます。また,「社会学者は自殺統計を利用し,文学者は自分の内面を見つめ個人的手記という形をとった。結局,最後は同じような結論を得ている」(同)ことになります。

 私などはつい数字ばかりに頼ってしまいますが,人間の深奥が自由に描かれた文学というのも,重要な資料(データ)ですねえ。本書の「おわりに」には名言があり,線を引き付箋を貼ってしまいました。

・「二流の社会学者の本を読むよりも,一流の文学作品を読んで,常識にとらわれることなく,人間や社会を見る目を養ってほしい」(作田啓一,本書209ページ)。
・「社会学は自然科学から学ぶほどには文学から学んでこなかった」(同上)。
・「文学は人間のもっとも深いところから発信される,第一級の情報である」(210ページ)。

 私は,「社会をモノのように扱うべし」(デュルケム),「コントは社会学を物理学たらしめようとした」というような言を座右の銘にしていますが,上記の3つ目を加えようかしらん。人には好み(得手不得手)がありますが,こういう情報も使えるようになれたらな,と思います。

 『青空文庫で社会学』は,渡部先生のブログ「ユースカルチャーの社会学」をベースに作られたものだそうです。毎月半ばくらいに,内容が更新されています。今後も継続され,ある程度たまったらまた活字化されるのでしょう。
http://sociologyofyouthculture.blogspot.jp/

 文学を素材にした,渡部・小池流の青年社会学。私とは真逆のアプローチですので,大いに勉強になります。今後の展開に期待しております。

2014年8月28日木曜日

職業別の生涯未婚率(国勢調査版)

 未婚化の指標として注目される生涯未婚率ですが,官庁統計をフル活用することで,さまざまな属性別の数値も出すことができます。2月9日の記事では,職業別の率を計算したのですが,この記事は多くの方に読まれました。

 今回は,基幹統計である『国勢調査』に依拠して,同じ資料をつくってみようと思います。全国民を対象とした悉皆調査である『国勢調査』をもとに,職業と結婚に関する,より精度の高いデータをつくってみましょう。前回と類似の結果が得られるかを確認する,「追試」の意味合いも含めます。

 2010年の抽出詳細集計の中に,「職業(中分類)×性別×年齢×従業上の地位×配偶関係」の多重クロス表があります。下記サイトの表7です。私はこの表のデータを用いて,正規職員の職業別の生涯未婚率を計算しました。前回と同様,正規・非正規の量の影響を除くため,正規職員に限定します。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001050829&cycode=0

 生涯未婚率の概念ですが,字のごとく,生涯未婚のままでとどまる者の出現率のことです。統計上は,50歳時点の未婚率とされます。この年齢以降は,結婚する者はそうはいないだろう,という仮定を置くわけです。

 5歳刻みの年齢統計からこの指標を算出する場合,40代後半と50代前半の率を平均するという便法がとられます。全職業をひっくるめた男性正規職員でいうと,40代後半の未婚率は15.8%,50代前半のそれは11.6%ですから,この2つを均して生涯未婚率は13.7%となります。へえ,正社員の男性でも,およそ7人に1人が生涯未婚なのですね。女性はもうちょっと高く,16.9%です。

 これらは正社員全体の生涯未婚率ですが,職業によって値は大きく変異します。私は56の職業について,正規職員男女の生涯未婚率を明らかにしました。下の表は,ベタの一覧表です。上位10位は赤色,上位5位には黄色マークをつけています。


 どうでしょう。同じ正社員でも,生涯未婚率は職業によってかなり違います。男性は,サービス職や労務職で率が高くなっています。しかるに女性のほうは,専門・技術職の生涯未婚率が高し。女性の美術系アーティストの生涯未婚率は,実に43.6%にもなります。

 女性の記者・編集者の率も高いな(39.6%)。未婚の女性編集者さん,私も幾人か存じ上げております。技術者や法曹も高いですね。

 大まかにいうと,女性は稼ぎのある職業ほど未婚率が高く,男性はその逆のようです。先日の日経デュアル記事にて,年収と未婚の関連をみたのですが,そこでの知見と符合しているように思います。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2945

 この点についての解釈は,上記の日経記事をみていただくこととし,上表のデータをグラフにしましょう。私は「視覚人間」ですので,これをつけないと気が済みませぬ。横軸に男性,縦軸に女性の生涯未婚率をとった座標上に,男女双方の率が分かる52の職業を散りばめてみました。点線は,全職業の値です(男性13.7%,女性16.9%)。


 右下には「男性>女性」の傾向が強い職業であり,左上にあるのはその反対ですが,先ほど指摘したように,前者はサービス職や労務職が多く,後者は専門・技術職や芸術家が多くなっています。ピンク枠内の3職に注目。

 男女とも生涯未婚率が高い職業としては,事務用機器操作員が検出されます。パソコン操作員とかですが,不定期のメンテナンスなど,仕事時間が不規則なので,家庭を持つのが難しいのかしらん。

 左下をみると,さすがといいますか,公務員の未婚率は低いですねえ。教員も然り。保健医療職もこのゾーンにありますが,女性の医師に限定すると,生涯未婚率はべらぼうに高くなります。*2月9日の記事をご覧ください。

 先の記事では,『就業構造基本調査』(2012年)の結果を使いましたが,今回は,最も信頼度の高い『国勢調査』をもとに,同じデータを作成(再現)してみました。似た作業を反復するのはあまり面白くありませんが,こういう「追試」もたまには必要かなと思っております。

2014年8月26日火曜日

バブル図でみる大卒者の進路

 2014年度の『学校基本調査』の速報集計結果が公表されていますが,今年春の大卒者の進路はどうだったのでしょう。私は,正負の2指標を計算してみました。正規職員(正社員)への就職率と無業・不詳率です。計算方法は以下の通り。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm

 ・正規就職率=(正規就職者数+臨床研修医)/(卒業生-大学院・専修学校等進学者)
 ・無業・不詳率=(無業者+不詳・死亡者)/卒業生

 正規就職率ですが,医学部の場合はキャリアが研修医から始めることが一般的ですので,このカテゴリーも分子に加えます。分母のほうは,就職の意志がない進学組は除外することとします。無業・不詳率は,進学でも就職でもない「その他」と進路不詳・死亡のカテゴリーの割合です。

 今年春の大卒者は56万5,571人ですが,先ほどの2指標を算出すると,正規就職率が77.2%,無業・不詳率が13.4%となります。就職率はメディアでは90%超とか報じられますが,正社員に限定すると8割弱というところです。無業・不詳者は,およそ7人に1人。こちも肌感覚に合っています。

 これは卒業生全体の値ですが,専攻ごとにみるとかなりのバリエーションがあります。下表は,10の大まかな専攻系列別のデータです。


 正規就職率ですが,看護や医学などの保健系で高くなっています。医療人材への需要が高まっている近況を思うと,さもありなんです。工学や農学も8割超。やはり理系は強いですねえ。

 人数的に最も多い社会科学は78.6%,人文科学は71.1%であり,教育や芸術はもっと下に位置します。教育系が芳しくないのは,教員採用試験の浪人組が多いためでしょう。芸術系にあっては,正規就職率は半分未満。就職せず,アーティストを目指す学生も多いと思われます。

 右側の無業・不詳率は,これのほぼ裏返しです。人文系の無業率は17.1%,芸術系では実に27.5%なり。まあこの中には,留学準備とかに勤しんでいる者も含まれることでしょう。

 さて,上表のデータをグラフにしようと思います。いつも通り,2次元の座標の上に10の専攻をプロットしますが,今回は一工夫加えて,各専攻の卒業生の量も表現してみましょう。芸術系がぶっ飛んだ位置になるでしょうが,この専攻は量的にはマイノリティーです。願はくは,こういう情報も視覚化してみたい。

 このねらいに即したグラフ技法として,バブル図というものがあります。ドットの大きさにて,それぞれの層の量を表現するものです。ブツをみていただきましょう。


 社会科学系が19万4千人と最も多いので,円が最も大きくなっています。正規就職率が低く,無業・不詳率が高い芸術は,数の上では少数派。円が小さいですね。

 右下の保健や工学は,人数的にも結構いるんだな。卒業生に対する需要のある専攻ですが,近年,これらの道に進む学生も増えています。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/08/blog-post_7.html

 このグラフを手書きで作成するとなると,ドットが置かれる点を中心とした円をコンパスで描くことになります。学生さんにやらせてみるのもいいかもな。

 「グラフにする時はきちんとを書け」。よく言われることですが,帯グラフの場合は,棒の幅でそれを表現することが可能であり,散布図の場合は上図のように円の大きさを使うことができます。後者がバブル図と呼ばれるものであり,エクセルで簡単に作図できます。今回は,その事例の紹介でした。

 8月も最後の週になりました。もうすぐ秋です。季節の変わり目,体調を崩されませぬよう。

2014年8月24日日曜日

予備校生の減少(補正)

 大手三大予備校の一つ,代々木ゼミナールが全校舎の7割を閉鎖するそうです。少子化により,生徒を集めるのが困難になったとのこと。大学も大変ですが,予備校はもっと大変ですね。

 状況が厳しいことは,予備校の生徒数の推移をたどってみるとよく分かります。2012年3月1日の記事にてそれをしたのですが,そこにて観察したのは,各種学校に分類されている予備校の生徒数です。しかるに予備校の形態は多様で,大きな所は専修学校に括られますし,東進ハイスクールのように,株式会社が運営している予備校もあります。

 文科省の『学校基本調査』では,専修学校各種学校に属する予備校の生徒数を知ることができます。前者は,「受験・補修」を行う専修学校です。各種学校の学科分類では,「予備校」というカテゴリーがありますので,その数値を使います。

 株式会社立の予備校の生徒数は分かりませんが,上記の2つを押さえれば,大よその近似値は把握できるでしょう。先日公表された2014年度の統計によると,同年5月時点の専修学校の予備校生徒数は26,940人,各種学校のそれは21,450人です。両者を足して48,390人,5万人弱というところです。

 この数値はどう変化してきたのでしょう。ネット上では,1992(平成4)年の資料まで遡れますので,この年からの推移を明らかにしました。


 やはりというか,予備校の生徒数は減少していますね。1992年では18万5千人でしたが,2014年現在では4万8千人にまで減っています。3分の1以下に減です。

 予備校の組成の変化にも注目。以前は各種学校の予備校が多かったのですが,近年では専修学校タイプのほうが多くなっています。小規模校が淘汰されたのか,あるいは専修学校に昇格したのか,その事情は知りませんが,総体として生徒数が減少していることには変わりありません。

 なるほど。代ゼミの苦境も分かろうというものです。しかし,その原因は18歳人口の減少だけではありますまい。予備校を使う生徒が少なくなった,ということもあるかと思います。予備校生の多くは浪人生ですが,最近,自宅で勉強する「宅浪」が増えているといいますしね。

 この点を統計で可視化してみましょう。私は1995年に大学に入りましたが,この年の浪人経由の大学入学者は18万8,052人です。彼らのうち,予備校通いしていた者はどれほどいるかですが,前年(1994年)の5月時点の予備校生徒数は15万7,672人です。

 よって,この年の浪人入学者の場合,予備校依存度は,後者を前者で除して0.838という数値で測られます。浪人生の8割ほどが予備校を使っていた,ということです。だいたい肌感覚に合う数値ですが,この依存度は年々下がってきています。


 始点の1993年の浪人入学者では,ほぼ全員が予備校通いしていたと推測されますが,今日では7割を切っています。分子には,浪人生以外の現役生も含まれますから,浪人生の実際の利用率はもっと低くなると思われますが,予備校離れが進んでいることは確かなようです。

 「大学進学人口の減少」+「予備校離れ」のダブルパンチ。なるほど,代ゼミの7割閉鎖という決断も,さもありなんです。この記事を書き終えて,昨日の報道記事を再読してみると,うんうんと頷かされます。

 代ゼミの件もあって,前にやった「予備校生の減少」の記事を見てくださる方が多いのですが,それには専修学校の分を加えていませんでしたので,今回,補正を行った次第です。

2014年8月21日木曜日

生涯未婚率の地域構造のジェンダー差

 わが国では未婚化が加速度的に進んでいますが,その程度を測る指標として,生涯未婚率というものがあります。字のごとく生涯未婚のままにとどまる者の出現率であり,統計上は50歳時点の未婚率とされます。この年齢以降は,結婚する者はほとんどいないであろう,という仮定に立つわけです。

 5歳刻みの統計から計算する場合,40代後半と50代前半の未婚率を均すという便法がとられます。私が住んでいる多摩市の男性でいうと,前者が22.0%,後者が17.2%ですから,この平均をとって生涯未婚率は19.6%となる次第です(2010年,『国勢調査』)。5人に1人が生涯未婚。私もその一人になるかしらん・・・。

 それはさておき,首都圏(1都3県)の男女の生涯未婚率地図をつくってみて,「はて?」という現象を見つけました。今回は,それをご報告しようと思います。

 私は,首都圏243市区町村の男女の生涯未婚率を計算しました。用いたのは,2010年の『国勢調査』のデータです。男女とも大きな地域差がありますが,まずはその分布をみていただきましょう。


 5%刻みのヒストグラムですが。男性は高いほうに,女性は低いほうに多く分布していますね。女性は「5%以上10%未満」の階級が最も多いですが,男性は「20%以上25%未満」が最頻階級(Mode)となっています。よくいわれることですが,生涯未婚率は男子のほうが高いようです。

 さて,243市区町村の生涯未婚率を地図化したのですが,私がつくったのは,率そのものの地図ではありません。各地域の値が全分布のどこに位置するかという,相対水準の指標をマップにしました。男女を同列の基準で比較できるようにするためです。

 採用した指標は,みなさんもよくご存じの偏差値です。全体の中の位置を知るにはこれがベスト。平均値が50,標準偏差が10になるように,それぞれのデータを換算します。それぞれのデータをX,平均値をμ,標準偏差をσとすると,計算式は以下のごとし。

 偏差値=10(X-μ)/σ+50

 多摩市の男性の生涯未婚率を偏差値にしてみましょう。この場合,X=19.6,μ=22.0,σ=3.9ですから,上の式にこれらを代入して,偏差値は43.8となります。全分布の中では「中の下」というところですね。同市の女性は49.8であり,ちょうど中間あたりです。

 首都圏243市区町村の男女の生涯未婚率を偏差値に換算して,地図にすると,下図のようになります。生涯未婚率の相対水準のマップです。45未満,45以上50未満,50以上55未満,55以上の4階級を設けて塗り分けてみました。


 いかがでしょう。男女で模様が違いますね。濃い色(55以上)の分布に着目すると,男性はまばらですが,女性は明らかに都心部に集中しています。大雑把にいうと,男性は農村部で高く,女性は都市部で高いという,逆の傾向すら見受けられます。

 女性の生涯未婚率が都心で高いことについては,都心の物価高によるともいえますが,男性にあっては様相が異なることから,そればかりを強調するわけにもいきますまい。

 先日の日経デュアルにて,「未婚率と年収の関係」という記事を書いたのですが,そこで明らかにしたのは,稼ぎのない男性は結婚できない,女性はその反対という傾向です。こういう個人単位のデータと,今回のマクロな地域データは連動しているような気がします。都心には,バリバリのキャリアウーマンが多いですし。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2945

 生涯未婚率の地域構造が性によって違っていることも,わが国の(偏狭な)ジェンダーを可視化した,一つの素材であるように思います。

2014年8月19日火曜日

夏の夕空

 今日の散歩で撮った写真です。自宅近くの記念館通りより。


 休暇中は自宅に篭りっきりなのですが,朝夕の散歩を日課にしています。息抜きと運動の2つの機能を託しています。