2017年1月31日火曜日

2017年1月の教員不祥事報道

 年が明けたと思ったら,もう1月はおしまいです。早いですねえ。

 恒例の教員不祥事報道の整理ですが,今月,私がネットでキャッチした教員不祥事報道は30件ジャストです。年初のためか,ちょっと少なめです。

 今月中旬に裁判を起こしました。「舞田は負けたら,相手の弁護士費用も請求されて破産だ」とかぬかしている輩がいますが,おバカさんですねえ。「訴訟費用は原告の負担とする」という判決が下りても,その中には,相手の弁護士費用は含まれません。

 ただ,訴状に貼った印紙代(今回だと1万3000円)と民事予納金(6000円)はあなたの負担ですよっていうだけです。だいたい,負けたら相手の弁護士費用も負担しないといけないとなったら,怖くて訴訟なんて起こせたものじゃありません。

 むろん,相手に経済的ダメージを与える意図で,素人がみても法的根拠がないと分かる事案で訴えた場合などは,話は別です。こういう明らかな嫌がらせ訴訟の場合は,被告の弁護士費用も請求されることがあります。*こういうケースは,訴状審査で撥ねられると思いますけど。

 明日から2月です。昨日と違い,今日は寒かったですね。日は長くなりましたが,暦の上ではまだ冬です。背景を2月バージョンに変えます。

 そうそう。中小企業診断士の西*明さん。すっかり仕事が減っているためか知りませんが,おヒマなようですねえ。口頭弁論に来られますか。あなたの顔は特徴があるので,すぐ分かるかと思います。お会いできたらいいな,と思っています。あなたにすれば,今回の裁判の行方がどうなるか,気が気でないでしょう。

<2017年1月の教員不祥事報道>
交際相手宅の窓壊した疑いで中学教諭を逮捕、奈良(1/2,産経,奈良,中,男,49)
児童の情報含むメールを誤送信 県立学校の教諭(1/6,下野新聞,栃木,特)
女性宅にわら人形置いた?名古屋の高校講師逮捕(1/7,産経,愛知,高,男,37)
講師が襟絞め、3生徒を気絶させる 「女子に嫌がらせ」と指導
 (1/8,西日本新聞,福岡,中,男,30代)
小学校教頭を3度目逮捕 滋賀、女性に強要未遂容疑(1/11,京都新聞,滋賀,小,男,50)
「デスノートに名前を書くぞ」 小学校講師が児童に発言(1/12,朝日,福島,小,男,30代)
窃盗で逮捕 所沢市公立小学校教諭が懲戒免職処分(1/13,テレ玉,埼玉,小,男)
中学臨時講師の男逮捕 改正ストーカー規制法、県内初適用
 (1/14,秋田魁,秋田,中,男,23)
小学校教諭 強制わいせつ容疑 (1/15,NHK,北海道,小,男,42)
飲酒運転の教諭を停職処分に(1/17,NHK,鹿児島,男)
<剣道部顧問>竹刀で殴り、女子部員入院(1/19,毎日,千葉,中,男,39)
教え子に淫行容疑…福岡の私立高教諭逮捕(1/19,産経,福岡,高,男,41)
教え子の女子高生と性的関係 20代講師懲戒免職(1/20,朝日,愛知,高,男,20代)
酒気帯び容疑で中学校教諭を現行犯逮捕、民家の石垣に車ぶつける
 (1/20,産経,宮崎,中,男,35)
盗撮で逮捕の教頭免職 神戸市教委(1/20,産経,兵庫,小,男,55)
出張費不正受給:沼津と伊東の2教諭を懲戒処分(1/21,毎日,静岡,高男40代2名)
セクハラ教頭を減給処分(1/21,NHK,福岡,小,男)
児童福祉法違反容疑:国語準備室でわいせつ行為(1/23,毎日,茨城,高,男,46)
銭湯で男子生徒を盗撮 容疑で私立中講師の56歳男逮捕 (1/23,産経,兵庫,中,男,56)
体罰:男性教諭を減給処分 県教委(1/24,毎日,長崎,小,男,51)
教諭が日教組出身議員のチラシを児童に配布 市教委が処分検討
 (1/25,NHK,神奈川,小,男,60代)
女子中学生の頭部、小型ストーブで殴る 男性臨時講師を減給処分
 (1/25,産経,兵庫,中,男,30)
体罰で男子児童骨折 男性教諭を停職1カ月(1/26,産経,茨城,小,男,44)
教諭の男、「ボコボコに」と同僚女性に傷害容疑(1/26,読売,福岡,小,男,38)
事故不申告、人身事故の教諭戒告 県教委処分(1/26,秋田魁,秋田,小,女,40代)
10代女性の胸触った疑い 35歳美術講師を逮捕 (1/26,日刊スポーツ,静岡,男,35)
懲戒免職:盗撮の男性教諭を処分 県教委(1/26,毎日,山形,小,男,25)
パチンコ店で財布盗む 岐阜の高校教諭停職(1/26,CBCテレビ,岐阜,高,男,53)
<仙台教諭暴言>男性教諭を懲戒処分(1/28,河北新報,宮城,中,男,53)
窃盗し逃走、交番前で転倒…御用(1/28,産経,東京,小,男,25)

2017年1月30日月曜日

事実に基づいた教育論を

 学研アソシエという会社から,『学研・進学情報』という小冊子が刊行されています(月刊)。全国で進路指導に当たっている,高校の先生向けの情報誌です。

 明後日発売の3月号の2~5ページに,私が受けたインタビュー記事が掲載されています。「事実に基づいた教育論を」というテーマです。


 上記のテーマで話をしてくれる識者を探していたところ,私に白羽の矢が立ったとのこと。とくに,ニューズウィークの連載記事に興味を持ってくださったようで,興味深いトピックを先方でリストアップしてもらい,それぞれについて,データ作成者の私がコメント(解説)するという形式です。

 最初に,教育学の中でも異彩を放っている,教育社会学の「事実学」としての性格についてお話ししました。

 そのあと,高校階層構造の「トラッキング」現象,リケジョの国際比較,若者の冒険志向,リカレント教育,教育格差,といった問題についてお話ししています。そんなの随所で語られているよ,と思われるかもしれませんが,独自に作成したデータを引き合いにしているのがウリです。

 最後に僭越ながら,進路指導に当たっておられる高校の先生方へのメッセージを述べさせていただきました。

 私は正直,インタビューというのは苦手です。師匠譲りの口下手に加え,話があちこち飛んでしまうきらいがあるのですが,学研のライターさんが,私が言わんとしていることを実に上手くまとめてくださっています。さすがはプロですねえ。感心!

 編集後記に,うれしいことを書いてくださっているので,紹介させていただきましょう。


 明後日の2月1日に発売です。全国の高等学校には配送されるそうですが,一般の方は,電子書籍(キンドル)で読んでください,とのこと。たったの108円です。

 大学生のブラックバイトに関する,大内裕和教授のインタビュー記事もオモロイ。興味ある方はぜひ,キンドルでお読みください。

2017年1月27日金曜日

教員の長時間勤務率の国際比較

 教員の悲惨な勤務実態を明らかにした調査レポートが,次々に公表されています。たとえば連合総研の調査によると,小・中学校教員の7割は週60時間以上勤務で,この割合は民間の他業種に比してダントツで高いとのこと。

 週60時間といたら,週5日勤務と仮定すると1日12時間。法定の1日あたりの労働時間は8時間ですから,週あたりの残業時間は(12-8)×5=20時間,月あたりにすると80時間,過労死ラインを超えます。

 こんな働き方をしている教員が7割もいると。子どもにとっても,悪いモデルになるでしょう。

 他国もそうなのでしょうか?いや,そんなわけはありません。OECDの国際教員調査「TALIS 2013」のローデータから,中学校教員の週間勤務時間分布を知れます。フルタイム勤務の教員のうち,週60時間以上勤務している者は何%か。この比率の国際比較をやってみました。

 勤務時間が判明する全教員でみると,週60時間以上勤務者の割合は,日本の49.6%からフィンランドの1.0%まで幅広く分布しています。日本では半分ですが,北欧のフィンランドではほぼ皆無であると。スゴイ違いですねえ。

 しかし,様相は年齢によって違います。以下に掲げるのは,32か国の年齢層別の長時間勤務者率です。


  どの年齢層でも,週60時間以上働いている教員の割合は日本が最も高くなっています。20代では67.0%と,7割近くになります。若手では,こんなにも多くの教員が過労死レベルの働き方をしていると。

 日本は率の高さに加え,年齢差が大きいことも特徴のようですが,昔ながらの年功序列のようなものが生きているのでしょうね。今問題になっている部活指導も,若手に多く降ってくるでしょう。

 20代の若手について,長時間勤務者率のランキングのグラフを作ると,実に衝撃的です。


 日本は,2位のシンガポールを大きく引き離してダントツ。国際的な標準から大きく外れた,病理のレベルに至っています。

 次期学習指導要領の目玉はアクティブ・ラーニングですが,AL型の授業の準備には手間がかかります。教えることの専門職たる教員が,本来の業務(授業)に集中できるようにすべく,部活指導のような業務から,彼らを解放しないといけません。

 下位のヨーロッパ諸国では,教員の職務の境界がさぞ明確なのでしょうね。それは,教員が専門職として確立されていることと同義です。

 わが国では,教員の社会的性格が未だに曖昧なまま。「準専門職(semi-profession)」という苦肉の表現があてがわれたりしています。教員自身は,自分たちを専門職と思っているのに,現実には「何でも屋」のようなことをさせられる。教員の苦悩の源泉は,こういう立ち位置の曖昧さにあるともいえるでしょう。

 長時間勤務を是正するのは小手先の手段ですが,もっと根源的には,教員という職業の社会的性格を定かにすること。後者の大きな課題も,絶えず認識しておかないとなりますまい。

2017年1月24日火曜日

収入格差が大きい職業は?

 私は,「プレジデント・オンライン」で連載記事を書いています。編集者さんより,「メインの読者層はビジネスマンなんで,職業別のいろいろなデータを出してもらえばウケますよ」というアドバイスをもらいました。
http://president.jp/category/c00547

 職業は社会で果たしている役割ですが,人間のアイデンティティの源泉で,当人の意識や行動をも強く規定しています。大きな声では言えませんが,収入や威信にも傾斜がつけられています。社会学的にみても,重要なキー変数です。

 まあ言われずとも,職業別の年収,労働時間,さらには趣味など,いろいろな観点からデータを出してきました。まだ手を付けてない「穴」はないかと思案していたところ,今日たまたま,文筆家は収入格差が大きい,という趣旨のツイートをみかけました。

 おお,そうだ。職業別の収入格差はまだ明らかにしていませんでしたね。平均年収ばかりが注目されますが,それぞれの職業内部の収入格差という視点もオモロイ。収入格差が大きい職業は? タイトルの問いに答えるデータを出してみましょう。

 毎度使っている『就業構造基本調査』では,職業別の年収分布が明らかにされています。2012年調査の原表は,下記サイトの表35です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001048178&cycleCode=0&requestSender=search

 収入格差が大きい職業・・・。そうですねえ,文筆家はもちろんそうですが,芸術家もさぞ格差が大きいでしょう。音楽家・舞台芸術家の年収分布を整理すると,下表のようになります。


 低収入層ほど多いピラミッド型になっています。合計9万2200人のうち,年収200万未満が3万6700人。何と何と,年収200万未満のプアが全体の4割をも占めている。ゲージュツの道は厳しいですねえ。

 では,収入格差はどうでしょう。16の年収階層の人数と,各層が手にした富量の分布を照合してみます。富量は,階級値を人数に乗じた値です。年収300万円台の階級に属する人の年収は,一律に中間の350万円とみなします。この場合,この階層が手にした富の量は,350万円×8800人=220億円となります。

 この要領で16の階層の富量を出し合算すると,3355億円なり。これが音楽家・舞台芸術家が手にした富の総量ですが,この巨額の富が各階層にどう配分されているか。

 真ん中の相対度数の黄色マークをみてください。これによると,人数では6.4%しか占めない年収1000万以上の層が,全富量の24.3%,4分の1近くをもせしめています。右側の累積相対度数をみると,偏りはもっとクリアーで,人数では6割近くを占める年収300万未満の層には,全富の22.2%しか届いてません。

 ミュージシャンの富ってのは,一部の稼げる人間によってのみもたらされているのですねえ。上表のデータを使って,年収ジニ係数を出すとどうなるか。下図は,横軸に人数,縦軸に富量の累積相対度数をとった座標上に,16の年収階層のドットを配置し,線でつないだ曲線です。年収ローレンツ曲線と名付けておきましょう。


 この曲線の底が深いほど,人数と富量の階層分布のズレが大きいこと,すなわち年収格差が大きいことを示唆します。われわれが求めようとしている年収ジニ係数は,色付きの面積を2倍した値です。

 色付き面積は0.2476ですので,年収ジニ係数はこれを2倍して,0.4952となる次第です。計算方法の詳細は,下記記事をご参照あれ。
http://tmaita77.blogspot.jp/2011/07/blog-post_11.html

 ジニ係数は一般に,0.4を超えると大きいと判断されます。0.5に迫るというのは,相当なものでしょう。常識的にも頷けますけど,音楽家・舞台芸術家は,収入格差が大きい職業のようです。最初の表のピラミッド型年収分布からも分かりますが,稼げるのは一部だけ。そんな世界ですな。

 このやり方で,68の職業の年収ジニ係数を計算してみました。下表は,その一覧です。


 黄色マークは,ジニ係数が0.45を超える職業です。先ほどみたミュージシャンのほか,外勤事務従事者や販売職も高いですね。農業や漁業も。仕事を取れるか,モノが売れるか。実力重視の度合いが高いためでしょう。

 ビル管理人や清掃業の内部格差が大きいのは,非正規雇用の比重が高いためと思われます。

 青色マークはジニ係数が0.2に満たない,収入格差が小さい職業です。管理的公務員と鉄道運転従事者・・・。これは分かりますよね。公共性の高い仕事ですので。

 教員の年収ジニ係数は,0.2880ですか。教員の多くは公務員であるためでしょう。しかし,大学教員に限ったら値がメチャ高であるのは間違いありますまい。身分格差と形容されるような,専任教員と非常勤教員の給与格差。

 非常勤教員も含めた広義の大学教員の年収ジニ係数を出したら,0.7から0.8くらいいくんじゃないかなあ。

 前に明らかにしましたが,大学教員の非常勤比率はどんどん増えてきています。薄給を厭わない無職博士の増加と,人件費を抑制したい大学の思惑という,2つの条件がマッチングしているためです。
http://tmaita77.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html

 不吉な予感ですが,あと数年後には,大学のキャンパス内で凄惨きわめる無差別殺傷事件が起きるのではないか・・・。大学関係者で,こんな杞憂を持っているのは,私だけではないでしょう。

 表の右側には,参考として各職業の平均年収を添えています。平均年収と年収ジニ係数の相関は,マイナスです。収入格差が大きい職業は,全体の年収水準も低い傾向。簡単にいえば,一部の人しか稼げない,ということです。

 年収ジニ係数が大きい職業の年収分布を描くと,下が厚く上が細い「ピラミッド型」になるケースが多数。最初の表でみた,音楽家・舞台芸術家などはその典型例です。

2017年1月20日金曜日

大卒女性のすがたの国際比較

 先日,ツイッターにて,「大卒有業者の正規職員率」のグラフを発信したところ,たくさんの方が見てくださいました。年齢を上がるにつれて,男女の乖離がどんどん大きくなっていく,同じ大卒といえど,女性はどんどん非正規に追いやられる・・・。この様が,見事なまでに描かれているためでしょう。
https://twitter.com/tmaita77/status/820566840237662208

 ここに,再掲しておきます。


 言わずもがな,結婚や出産,さらには介護などがネックになるため。女性のハイタレントの浪費ですが,これは日本の特徴なのか。社会学をやっている人間なら,こういう問いが出てきます。

 『世界価値観調査』にて,高等教育卒業の女性のフルタイム就業率を出せないことはないですが,年齢を統制すると,多くの国でサンプルが少なくなり,傾向が不安定になります。

 そこで何かいいデータはないかと探していたところ,OECDの国際学力調査「PISA 2012」にて,対象の15歳生徒に対し,母親の就業状態(地位)を尋ねていることに気づきました。カテゴリーは,①フルタイム就業,②パートタイム就業,③失業,④その他(主婦等),です。

 PISA調査は大規模調査ですので,サンプル数は全然大丈夫。日本は6千人超!なり。

 15歳生徒の母親ですから,そうですねえ,だいたい40歳くらいでしょうか。この問いの回答から,40歳くらいの既婚・子持ち女性のフルタイム就業率の国際比較ができます。学歴も訊いていますので,大卒の母親に限った比較も可能です。

 私は,63の国について15歳生徒の母親のフルタイム就業率を計算し,高い順に並べてみました。左は母親全体,右は大卒の母親に限ったデータです。下記サイトでのリモート集計によりますので,%値が粗い整数値であることをお許しください。
https://nces.ed.gov/surveys/international/ide/

 以下の表は,「母親がフルタイム就業」と答えた生徒の比率のランク表です。無回答や母親がいない生徒は分母から除いて率を出してます。


 まず左の全体をみると,日本は37%で,63か国中47位です。低いですねえ。色をつけた主要国の中では最下位です。

 しかるに大卒の母親に限ると順位はもっと下がり,57位まで落ち込みます。相対的な傾向ですが,高学歴の層に限ると,日本の女性の社会進出の遅れがいっそう際立ちます。他の社会に比して,女性のハイタレントが活用されていない,ということです。

 その分,パートや主婦が多いのですが,この部分も加味した,国際的な構造図を描いてみましょう。横軸にパート就業・主婦,縦軸にフルタイム就業の比率をとった座標上に,63の社会を位置づけてみました。大卒の母親のすがたの国際比較図です。「瑞」とは,スウェーデンをさします。


 2つの指標はほぼ表裏ですので「ナナメ」の配置ですが,左上は高学歴女性の社会進出が進んだ国で,右下はその逆です。斜線より下は,フルタイムよりパート・主婦が多い社会なり。

 日本は右下にあり,宗教的な理由で女性の社会進出が制限されている,イスラーム諸国と同レベルです。欧米の主要国から大きく外れています。

 まえに,『日経デュアル』の記事にて,30~40代女性全体のデータで,同じようなグラフを作ったことがありますが,そのグラフでは,日本はちょうど中ほどでした。しかし高学歴層に限ると,上図の通り,右下に位置してしまっている。女性の社会進出の制限は,高学歴層でとりわけ顕著であることになります。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=5728

 左上には,旧共産圏の社会が多いですね。これは,国民皆労働の伝統が強いためではないでしょうか。

 日本の女性の社会進出の制限はよく知られていますが,国際比較でみると,高学歴層でそれが顕著である。せっかくの女性のハイタレントを活用できないでいる社会。それがここでのファインディングです。

 こういうデータをみると,子ども期・青年期の教育よりも,待機児童対策やリカレント教育推進に資源を投じたほうがいいように思えてきますねえ。前者に力を入れたところで,そこで育てたマンパワーはどうせ活用されないのですから。

 これは冗談として,日本が相当の「ムダ」をしている社会であることは,間違いないように思えます。

2017年1月17日火曜日

訴状を提出

 本日、東京地裁に民事の訴状を出してきました。事件の詳細については書けませんが、裁判の初体験です。


 裁判というと、お金がかかるイメージがありますけど、それは弁護士を雇うからであって、自分でやるならば、全然そうではありません。

 今回の訴訟でいうと、訴状正本に貼った印紙代が1万3000円、民事予納金が6000円です。後者は、被告に訴状を送る郵送料などに充てるもので、余ったら戻ってきます。合計で、2万円にも達しませんでした。

 一番骨が折れるのは、訴状の作成ですが、訴状の書き方の手引き本はいろいろ出てますし、ネット上にもサンプルがゴロゴロ転がっています。それらを参考に、自分なりに認めてみました、枚数は、A4で3枚です。

 私は、三浦和義さんの『本人訴訟必勝マニュアル・弁護士いらず』太田出版(2007年)を主に参考にしました。本人訴訟で何度も勝訴した経験のある人物の著書で、訴状のお手本も多く載ってます。
http://www.ohtabooks.com/publish/2007/08/08203002.html

 訴状の記載事項については、以下の公的説明のサイトがいいでしょう。
http://www.courts.go.jp/saitama/saiban/tetuzuki/minji/

 これから、被告から答弁書が出され、法廷での口頭弁論という流れになるかと思います。結果はどうであれ、こういう経験ができることにワクワクしています。

 むろん、いきなり訴訟に踏み切ったのではなく、相手方との交渉の機会は持ちました。しかし残念ながら、問題解決の方途は見出せませんでした。そこでやむなく、法的措置をとった次第です。

 やってみると、裁判というのは簡単に起こせます。アメリカは訴訟社会で、ちょっとしたことでガンガン訴えるといいますが、裁判をやってもらうのは、納税者の国民の権利です。

 乱訴は感心しませんが、最終手段としてなら致し方ありません。私はいろいろトラブルを起こす人間ですが、問題解決のオプションが広がりました。結果は二の次で、実際に提訴を経験し、「自分でもできるんだ」という自信をつけるのも狙いです。

2017年1月14日土曜日

数学嗜好と数学学力

 先日,プレジデント・オンラインの記事にて,15歳生徒の数学嗜好スコアの国際比較をやってみました。数学嗜好を測る設問(8つ)への回答を合成して作ったスコアの平均値です。資料は,OECDの国際学力調査「PISA 2012」なり。
http://president.jp/articles/-/21065

 日本の生徒の平均スコアは最下位。世界で最も「数学ギライ」の国であることが分かってしまいました。対して,インドネシア,ペルー,メキシコといった発展途上国ではスコアは高くなっています。

 言わずもがな,このスコアの高低は,それぞれの社会の数学教育のレベルにもよるでしょう。日本では内容が高度ですが,途上国ではさにあらず。簡単な内容なので,多くの生徒は自信満々。数学嗜好と数学学力は別の次元の話で,後者は日本のほうがはるかに高くなっています。

 国際データにて,両者の相関図を描くと,逆相関の傾向になっています。


 左上は,高度な内容を課され,多くの生徒が自信を失っている社会。右下は,内容が平易で,生徒が自信を持てている社会。こんなふうに性格づけることができるでしょうか。

 個人単位の因果の話ではありませんが,社会レベルのデータでみた場合,数学を好む度合いと数学の現実の学力水準は,逆相関の関係にあります。シンガポールのように,両方が高い水準にある,好ましい社会もありますが。

 しかし,左上と右下の社会のどっちがいいのかしら。

 高度な内容を課して,全体として高い学力水準を実現していますが,多くの生徒が自信を剥奪されている。高度な理系学力を鍛えても,それを活かして理系職を希望する生徒が出てこない(とくに女子)。これが日本の現状でしょう。

 変動が激しい社会で重要なのは,新たなことを積極的に学んでいこうという「関心・意欲・態度」です。日本では,学力の「現在値」が高くても,将来での躍進可能性を示す「未来値」は低いのではないか。

 この問題ははっきり認識されており,次期学習指導要領の目玉である「アクティブ・ラーニング」は,後者を鍛えるための戦略であることは,言うまでもありません。