3月8日の「国際女性デー」にかんがみ,前日の7日,OECDは成人男性の家事労働時間の国際統計を公表しました。それによると,日本の1日あたりの平均時間は62分で,国際的にみて下位であるとのこと。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140307/erp14030712160006-n1.htm
私はこういう報道に接すると,原資料にあたって,詳細なデータを確認したくなります。探すのに手間取りましたが,ツイッター上で教えていただいたところによると,OECDの“ Balancing paid work, unpaid work and leisure ”というもののようです。
http://www.oecd.org/gender/data/balancingpaidworkunpaidworkandleisure.htm
この資料には,15~64歳の成人男女の生活行動時間が掲げられています。平日,休日をひっくるめた1日あたりの平均時間です。私は,各国の仕事(paid work)と家事労働(unpaid work)の平均時間を拾って,表にまとめてみました。前後しますが,統計の年次はおおむね2009年近辺のものです。わが国は,2011年のデータとなっています。
なるほど。日本の男性の家事時間は62分であり,韓国に次いで低くなっています。その一方,仕事時間は375分でトップです。後者は前者の6倍以上。偏っていますねえ。北欧のノルウェー(家事184,仕事251)とはえらい違いです。
さて,私は視覚人間ですので,上表の数値の羅列をグラフ化しようと思います。まずは男性の仕事と家事時間の布置図をつくり,男性の“ Balancing paid work, unpaid work ”の具現度を「見える化」してみましょう。
横軸に仕事,縦軸に家事の平均時間をとった座標上に,26の社会を位置づけてみました。点線は,26か国の平均値を意味します。
仕事時間が長く,家事時間が短い日本は,右下に位置しています。対極の左上には,西洋の諸国が多し。これらの社会では,男性の仕事時間は家事時間の1.5倍未満です。6倍を超える東洋の2国とは大違いですね。日本は,男性の“ Balancing paid work, unpaid work ”の具現度が最も低い社会であるとみられます。
次に気になるのが女性ですが,上と同じ図の女性版をつくるというのは芸がありません。男女の位置の違い(ジェンダー差)が国によってどう異なるのかをみてとれる図をつくってみましょう。
26か国すべてを盛り込むと煩雑になりますので,主要8か国に対象を絞ります。上図と同じマトリクス上に,各国の男女のドットをプロットし,線でつなぎました。矢印の先端は男性,末尾は女性の位置を表します。
ほう。日本は線が最も長くなっていますね。仕事・家事時間のジェンダー差が最も大きい,ということです。それもそのはず。男性は仕事375分,家事62分に対し,女性は178分,299分ですから。
対して北欧のフィンランドやスウェーデンなどは,線が短くなっています。男女の位置変化が小さい,すなわち仕事・家事時間の性差が小さい,ということです。女性の社会進出,男性の家庭進出が進んだ国といわれますが,さもありなんです。
しかし,わが国の偏りには驚かされます。男性は仕事人,女性は家庭人としての顔しか持っていません。男性の側は家庭人としての顔も持たないと,自らがなす仕事に「社会性」というものが生まれません。営利追求の側面ばかりが強くなります。
女性にしても,家庭の中にこもりっきりではなく,外の「仕事人」としての顔がないと,生活が息の詰まるものになるでしょう。共働き世帯(主婦世帯)比率と虐待発生率の負(正)の相関関係は,本ブログでもみたところです。
http://tmaita77.blogspot.jp/2012/08/blog-post_28.html
“ Balancing paid work, unpaid work ”の具現を図ることは,男女個々人の負担緩和という次元にとどまらず,社会の維持・存続に関わる基本的な条件でもあるのです。
2014年3月10日月曜日
2014年3月8日土曜日
相対的貧困率
貧困状態にある人々の量を測る指標として,相対的貧困率というものがあります。所得が,全世帯の中央値の半分に満たない世帯がどれほど存在するかです。
この指標は,生計を共にする世帯を単位として計算するものです。収入が少ない人でも,同居人がガシガシ稼いでいるというケースがありますしね。
今回は,2012年の総務省『就業構造基本調査』の世帯年収分布をもとに,上記の意味での貧困世帯がどれほど存在するかを割り出してみようと思います。まずは素材から。本調査から分かる,全世帯の年収分布は下表のようです。*年収が不明の世帯は除く。
中央値とは,データを高い順に並べたとき,ちょうど真ん中にくる値を意味します。右端の累積相対度数から,中央値は年収300万円台の階級に含まれていることが分かります。按分比例の考え方に依拠して,ちょうど50番目にくる年収の近似値を出すと389.9万円となります。
① (50.0-37.6)/(51.4-37.6) = 0.899
② 300+(100×0.899) = 389.9万円
よって貧困線は,この値の半分の194.9万円となります。年収がこのラインを下回る世帯が貧困世帯と判定されるわけです。ここでは,年収194.8万円までの世帯を貧困世帯とみなすことにしましょう。その量は,次のようにして算出されます。
5,169,500+(6,493,300×0.948) = 11,325,148世帯
貧困世帯の量は1,133万世帯。年収が分かる全世帯は5,211万世帯。よって,このデータから算出される相対的貧困率は21.7%となります。現在のわが国では,およそ5分の1の世帯が(相対的に)貧困と判定されることになります。
ところで,この値は世帯主の年齢によって異なるでしょう。単身世帯はどうか,さらには母子世帯に限定するとどうか。こういうことも気になります。
私は,年収が上記の貧困線(194.9万円)に満たない世帯の比率を,世帯主の年齢別・世帯類型別に計算し,折れ線グラフにしてみました。
年齢が上がるほど,貧困世帯の出現率は高くなりますね。また当然ながら,単身世帯に限ると貧困率はうんと高くなります。高齢の単身世帯では,おおむね6割以上が貧困と判定されます。貯蓄や資産を考慮していない,年収だけからした貧困率ですが,値の高さに驚かされます。
しかし,最も注目すべきは母子世帯。配偶者のいない母親と18歳未満の子だけからなる世帯ですが,この群に限定すると,年齢を問わず半分以上が貧困です。母子世帯の貧困率曲線は右下がりですが,幼子がいる母子世帯の母親の場合,フルタイム就業がままならないためでしょう。
母子世帯の貧困。これはわが国の雇用の問題とつながっていることは間違いありません。1月25日の記事では,一人親世帯の貧困率の国際比較をしましたが,日本は,親が就業している世帯のほうが就業していない世帯よりも貧困度が高いのです。一言すれば,一人親世帯の親が働いても公的扶助の水準に届かない社会です。まぎれもなく社会問題です。
あと一つ,30代の世帯の貧困率を県別に出し地図にしてみましたので,それをご覧にいれましょう。世帯主が30代の世帯のうち,年収が上記の貧困線(194.9万円)に届かない世帯が占める割合です。私の世代の貧困率マップなり。
全国値は10.9%ですが,沖縄では世帯主が30代の世帯の26.4%,4分の1が貧困と判定されます。色が濃いのは15%を超える県ですが,北東北や九州に多くなっています。まあ,地域によって所得水準は違いますから一律比較は無意味かもしれませんが,都道府県地図にするとこんな感じです。
ちなみに,東京都内23区の貧困率地図の試作品はコチラ。興味ある方はご覧あれ。結構地域性が出ています。
来年度の統計法の教材が増えました。度数分布表から中央値(貧困線)を割り出し,それを下回る世帯の比率を計算させる。貧困の可視化(見える化)。学生さんにやっていただく作業の一つになりそうです。
2014年3月6日木曜日
都内49市区の子どもの総合診断②
コマーシャルが入りましたが,前々回の続きといきましょう。A)発育,B)能力,C)逸脱の側面を測る6指標を総動員した,都内49市区の子どもの総合診断です。ここでいう子どもとは,公立小学校の児童をいいます。
各指標の順位をもとにした,5段階の相対スコア表を再掲します。1~9位は5点,10~19位は4点,20~30位は3点,31~40位は2点,41~49位は1点,としたものです。
この6つのスコアを均した値をもって,各市区の子どもの状態の良好度を測る一元尺度といたしましょう。
その際,値が高いほど好ましいという意味を持たせるため,AとCの4指標のスコアは反転させます。5→1,4→2,2→4,1→5,というように置き換えます。この場合,千代田区のスコアは,虫歯は5,肥満は5,学力は5,体力は3,いじめは2,不登校は5,となります。よって,この区の良好度スコアは,これらの平均をとって4.17となる次第です。
ほう。5段階のスコア平均が4を超えるというのは,かなり高いと判断されます。他の市区はどうでしょう。同じやり方で,子どもの良好度スコアを出し,ランキング表にすると以下のようになります。多角的な観点を合成した,総合スコアです。
いかがでしょう。最高は世田谷区,最低は足立区です。スコアが4を超える地域はマークをしましたが,都心の富裕そうな区が多いですねえ。
各市区の子どものすがたは,もしかしたら住民の経済的富裕度と相関しているのでは・・・。こんな疑いが出てきます。私は,住民一人あたり都民税・区民税課税額との相関をとってみました。2011年度の数値であり,ソースは『東京都税務統計年報』です。
撹乱はありますが,住民の富裕度が高い市区ほど,子どもの良好度スコアが高い傾向です。相関係数は+0.570であり,1%水準で有意と判定されます。なお,港区,千代田区,および渋谷区を「外れ値」として除くと,相関係数は+0.735にアップします。
今回のスコアは,学力のような能力面だけではなく,病気や問題行動の指標も組み込んだ総合スコアですが,そうしたトータルな子どものすがたとて,社会階層の要因によって少なからず規定されていることが知られます。
教育社会学では,学力の社会的規定性の問題に関心が向けられますが,子どもの育ちの他の面にもスポットを当てる必要がありそうです。
2014年3月5日水曜日
日本教育新聞にて連載スタート
日本教育新聞の連載「数字が語る・日本の教育」がスタートしました。現代日本の教育の「裏側」を写す統計図を一枚掲げ,それについて手短なコメントを添える,まあミニコラムみたいなものです。
文科省著作の雑誌では決して触れられないであろう,教育の「裏事情」を,具体的なデータを交えて紹介していこうと思います。毎週の号に掲載されます。
初回は,教員の年齢ピラミッド。これから,徐々にスパイシー度(刺激度)を高めていきます。興味ある方はご覧ください。どうぞ,よろしくお願い申し上げます。
日本教育新聞社ホームページ:http://www.kyoiku-press.co.jp/
*本誌は毎週月曜日発刊です。
2014年3月4日火曜日
都内49市区の子どもの総合診断①
1月13日の記事では,複数の指標を使って,47都道府県の子どもの総合診断をしたのですが,それよりも下った市区町村レベルの診断はできないものかと前から思っていました。
これまでは資料上の制約から断念していたのですが,最近は,自県内の地域別のデータを積極的に公表している自治体もあります。たとえば東京都です。昨年度から体力テストの市区町村別結果も公表していますし,学力テストにしても,情報公開申請をしたら地域別の平均正答率を出してくれました。
今回と次回の2回にかけて,複数の指標を用いて,東京都内49市区の子どもの総合診断をしてみようと思います。あくまで試行ですが,他の自治体で類似の取組がなされるための礎になればと存じます。また,情報公開の促進が図られることも願います。
私は,A)発育,B)能力,C)逸脱という3つの観点のもと,6つの指標を収集しました。下の表は,その一覧です。それぞれ2つずつです。
ここでいう子どもとは,公立の小学生をさすものとします。●の資料から必要な数字を採取して,上記の6指標を49市区別に計算しました。学力の指標として算数Bを使うのは,他科目に比して地域分散が大きいからです。
その結果をまとめると,以下のようになります。最高値には黄色,最低値には青色のマークをつけました。上位5位の数値は赤色にしています。
どの指標でみても,結構な地域差がみられます。西部の武蔵村山市は,小学生の虫歯率と肥満率がトップです。子どもの発育の歪みが相対的に顕著です。学力のトップは文京区,いじめ率のトップは足立区ですか・・・。
おっと,つい細部に入ってしまいましたが,今回の主眼は,6指標を総動員して,各市区の子どものすがたをトータルに診ることです。そのためには,水準や単位が異なる各指標の値を同列のものに揃える必要があります。
ここでは相対順位に依拠して,各指標の値を1~5のスコアに換算しましょう。1~9位は5点,10~19位は4点,20~30位は3点,31~40位は2点,41~49位は1点,とします。下表は,このやり方で換算した5段階スコアの一覧表です。
何やら5段階の通信簿みたいですが,これで,性格の異なる6指標を総動員した多角診断が可能になります。
試みに,文京区と足立区の子どもの診断カルテをつくってみました。大都市という基盤を共通にしながらも,その上で暮らす住民の階層構成が異なる2地域です。
相対評価であぶり出したものですが,両地域の違いが明らかですね。上表のスコアを使うことで,他の地域のカルテも作成可能です。自分の地域のカルテをつくってみてはいかがでしょう。エクセルでもよし,方眼紙の手書きでもよしです。
次回は,6指標のスコアを合成して,49市区の子どものすがたを総合評価する一元尺度をつくり,ランキングにしてみようと思います。さらに,それが各地域の社会経済指標とどう相関しているかもみてみたいところ。お楽しみに。
2014年3月1日土曜日
貧困と学力の相関(都内23区)
貧困と学力の相関。最近の教育界でよくいわれるフレーズですが,個々人の体験や印象論によるものが多く,実証データというのは意外に少ないように思います。
今回は,大都市・東京の特別区部(23区)の統計を使って,この現象を「見える化」してみましょう。
まずは,各区の子どもの貧困度を可視化する作業からです。よく使われる指標は,いわゆる相対的貧困率(所得が中央値の半分に満たない世帯の割合)ですが,これを地域別に出すことはできません。ここでは,教育扶助を受けている世帯の率を計算してみます。
教育扶助とは生活保護の一種であり,学齢の子がいる保護者に対してなされる援助です。この扶助を受けている世帯が多い区ほど,子どもの貧困度が高いという見方をとります。
東京都の『福祉・衛生統計年報』という資料に,都内の地域別の教育扶助受給世帯数が掲載されています。2012年度の資料によると,足立区の教育扶助受給世帯数は1,303世帯です(月平均)。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/chosa_tokei/nenpou/2012.html
『東京都学校基本調査』から分かる,同年5月時点の公立小・中学生数は45,855人。よって足立区の場合,公立小・中学生千人あたりの教育扶助受給世帯数は28.4となります。この値をもって,教育扶助受給率といたしましょう。
この指標を23区別に出し,マッピングすると以下のようになります。東京の子どもの貧困地図です。
ほう。明瞭な地域性がありますねえ。中心部で低く(新宿区は別),北東や北西の周辺部で高くなっています。最高の板橋区と最低の文京区では,教育扶助受給率に6倍近くもの差があることも驚きです。
この指標と,各区の子どもの学力との相関をとってみましょう。都教委は毎年,『児童・生徒の学力向上を図るための調査』という独自の学力調査を実施しています。私は情報公開申請をして,2013年度調査の市区別の平均正答率をゲットしました。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr131128b.htm
本調査の対象は公立小学校5年生と中学校2年生ですが,中学校の場合,私立中に流れる生徒が多い区もありますので,小学校5年生の学力との相関をとってみます。教科は国語,社会,算数,および理科ですが,地域分散が最も大きい算数の正答率を用いましょう。
下の図は,23区の教育扶助受給世帯率と算数学力の相関図です。
教育扶助受給率が高い区ほど,すなわち子どもの貧困度が高い区ほど,算数学力が低い傾向が明らかです。相関係数は-0.797にもなります。
他の要因を介した疑似相関の可能性も捨てきれませんが,上図の相関は,因果関係の面を強く持っていると私は思います。それについて詳説するまでもありますまい。
「学力テストの結果とは,すなわち教師力だ」。某県の知事さんがこんなことを言っていました。結果がよかった学校(地域)は,教師の授業がよかったということ。逆も然り。好成績を収めた学校(地域)に予算を重点配分する方針を出し,インセンティヴを高めてもらおう。こういう考えも出てきます。
しかし,これはとても危険なことだと思います。各学校(地域)の学力テストの結果は,教師力だけに規定されるのではありません。今回みた貧困指標や住民の階層構成など,社会・経済的要因によって決定づけられる面を強く持っています。
こういう事実があることを知らずに,好成績の地域を厚遇するようなことをしたら,有利な地域はますます有利になり,不利な地域はますます不利になる。こうした格差の拡大現象が引き起こされます。
学力の社会的規定性が厳として存在することをふまえるなら,不利な条件であるにもかかわらず「がんばっている」地域を評価することでしょう。上記の相関図でいうと,足立区や板橋区は,正答率は低いものの,自地域の貧困指標から期待される水準を凌駕しています。この点にも注視すべきです。新宿区などは,期待水準を大きく上回っています。
教育社会学にちょっと馴染んだ人間ならこういう発想になると思いますが,現場にはあまりいないのかなあ。考えてみれば,教員採用試験の教職教養では,教育社会学なんて「アウト・オブ・眼中」ですしね。現場の教員が「社会階層」なんていう言葉を口にするようになったらマズイからか?
愚痴っぽくなってきたので,この辺りでやめにします。大都市・東京の特別区部のデータによる,貧困と学力の関連の「見える化」作業でした。
今回は,大都市・東京の特別区部(23区)の統計を使って,この現象を「見える化」してみましょう。
まずは,各区の子どもの貧困度を可視化する作業からです。よく使われる指標は,いわゆる相対的貧困率(所得が中央値の半分に満たない世帯の割合)ですが,これを地域別に出すことはできません。ここでは,教育扶助を受けている世帯の率を計算してみます。
教育扶助とは生活保護の一種であり,学齢の子がいる保護者に対してなされる援助です。この扶助を受けている世帯が多い区ほど,子どもの貧困度が高いという見方をとります。
東京都の『福祉・衛生統計年報』という資料に,都内の地域別の教育扶助受給世帯数が掲載されています。2012年度の資料によると,足立区の教育扶助受給世帯数は1,303世帯です(月平均)。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/chosa_tokei/nenpou/2012.html
『東京都学校基本調査』から分かる,同年5月時点の公立小・中学生数は45,855人。よって足立区の場合,公立小・中学生千人あたりの教育扶助受給世帯数は28.4となります。この値をもって,教育扶助受給率といたしましょう。
この指標を23区別に出し,マッピングすると以下のようになります。東京の子どもの貧困地図です。
ほう。明瞭な地域性がありますねえ。中心部で低く(新宿区は別),北東や北西の周辺部で高くなっています。最高の板橋区と最低の文京区では,教育扶助受給率に6倍近くもの差があることも驚きです。
この指標と,各区の子どもの学力との相関をとってみましょう。都教委は毎年,『児童・生徒の学力向上を図るための調査』という独自の学力調査を実施しています。私は情報公開申請をして,2013年度調査の市区別の平均正答率をゲットしました。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr131128b.htm
本調査の対象は公立小学校5年生と中学校2年生ですが,中学校の場合,私立中に流れる生徒が多い区もありますので,小学校5年生の学力との相関をとってみます。教科は国語,社会,算数,および理科ですが,地域分散が最も大きい算数の正答率を用いましょう。
下の図は,23区の教育扶助受給世帯率と算数学力の相関図です。
教育扶助受給率が高い区ほど,すなわち子どもの貧困度が高い区ほど,算数学力が低い傾向が明らかです。相関係数は-0.797にもなります。
他の要因を介した疑似相関の可能性も捨てきれませんが,上図の相関は,因果関係の面を強く持っていると私は思います。それについて詳説するまでもありますまい。
「学力テストの結果とは,すなわち教師力だ」。某県の知事さんがこんなことを言っていました。結果がよかった学校(地域)は,教師の授業がよかったということ。逆も然り。好成績を収めた学校(地域)に予算を重点配分する方針を出し,インセンティヴを高めてもらおう。こういう考えも出てきます。
しかし,これはとても危険なことだと思います。各学校(地域)の学力テストの結果は,教師力だけに規定されるのではありません。今回みた貧困指標や住民の階層構成など,社会・経済的要因によって決定づけられる面を強く持っています。
こういう事実があることを知らずに,好成績の地域を厚遇するようなことをしたら,有利な地域はますます有利になり,不利な地域はますます不利になる。こうした格差の拡大現象が引き起こされます。
学力の社会的規定性が厳として存在することをふまえるなら,不利な条件であるにもかかわらず「がんばっている」地域を評価することでしょう。上記の相関図でいうと,足立区や板橋区は,正答率は低いものの,自地域の貧困指標から期待される水準を凌駕しています。この点にも注視すべきです。新宿区などは,期待水準を大きく上回っています。
教育社会学にちょっと馴染んだ人間ならこういう発想になると思いますが,現場にはあまりいないのかなあ。考えてみれば,教員採用試験の教職教養では,教育社会学なんて「アウト・オブ・眼中」ですしね。現場の教員が「社会階層」なんていう言葉を口にするようになったらマズイからか?
愚痴っぽくなってきたので,この辺りでやめにします。大都市・東京の特別区部のデータによる,貧困と学力の関連の「見える化」作業でした。
2014年2月28日金曜日
2014年2月の教員不祥事報道
月末恒例の教員不祥事報道の整理です。今月,私がネット上でキャッチした不祥事報道は26件です。最近,ツイッター使用の時間を短くしていますので,オチがあるかもしれませんが,把握した分を記録しておきます。
大阪の中学校にて,15年間無免許で授業してきた教員の存在が明らかになりました。教員免許更新の書類手続きにて発覚したとのこと。今後,こうした「ニセ教員」の存在が続々と露になるかもしれません。
また,児童・生徒の前で刃物を出すなど,行きすぎた指導の事案がみられたのも今月の特徴だと思います。
<2014年2月の教員不祥事報道>
・トイレ侵入容疑、教諭逮捕=「盗撮目的」カメラ所持―静岡県警
(2/2,時事通信,静岡,中,男,52)
・児童買春の教諭 罰金40万…富山(2/3,読売,富山,中,男,29)
・1年近く教科書なしで授業、男性教諭が配り忘れ(2/4,読売,熊本,小,男,50代)
・未認定生徒がエアライフル=顧問の教諭書類送検(2/5,時事通信,香川,高,男,46)
・全校児童・教職員の情報入りUSB、教頭が紛失 (2/5,読売,京都,小,男,54)
・22歳教諭が、自分が勤務する小学校に脅迫文(2/7,読売,愛知,小,男,22)
・同上(わいせつ:小男59、中男46,盗撮:高男24 愛知)
・<校長懲戒>木刀で生徒殴る親 制止の教員に「止めるな」
(2/7,朝日,広島,中,男,60)
・校長のあご骨折させるなどした教諭2人(2/7,毎日,奈良,傷害:小男50,飲酒運転:中男51)
・勤め先の男子児童にわいせつ容疑、小学校教諭逮捕(2/8,朝日,東京,小,男,32)
・図工教科書配り忘れ、福岡・久留米の小学校でも(2/10,読売,福岡,小,男,50代)
・駅伝の強豪、西脇工陸上部で体罰 兵庫県教委が監督を訓告処分
(2/13,神戸新聞,兵庫,高,男,50)
・小学教諭、課題図書や児童の衣類盗む…懲戒免(2/14,読売,神奈川,小,男,32)
・中2女子27人の前で、真剣使い居合見せた教諭 (2/15,読売,香川,中,男,59)
・スナックで同僚の顔殴り、腕にかみついた教諭(2/15,読売,山口,高,男,60)
・あなたのこと知りすぎているかも…教諭がメール(2/15,読売,岩手,小,男)
・わいせつ行為の男性教諭を懲戒免職(2/17,産経,静岡,高,男,52)
・「辞職願を持ってきたか」パワハラ校長を戒告(2/18,読売,岩手,小,男,50代)
・同上(体罰:30~40歳代中高男3人,現金管理杜撰:中男57,岩手)
・問題配布遅れて試験3分不足、金井高入試(2/20,神奈川新聞,神奈川,高,男,60代)
・教え子に抱きつく 中学男性教諭を停職6カ月(2/20,毎日,高知,中,男,40代)
・教室内で黙想中に盗撮、懲戒免職 岡山、中3の担任教諭
(2/21,共同通信,岡山,中,男,30代)
・“ニセ教諭”が15年間授業 大阪の中学「いつバレるかとドキドキ…」
(2/22,産経,大阪,中,男,45)
・児童指導で頭たたき刃物出す…小学教諭を処分へ(2/22,読売,鹿児島,小,男,50代)
・女子高生狙い下半身露出=中学教頭、容疑で書類送検(2/28,時事通信,大阪,中,男,50)
・14歳少女売春の客に県立高講師と自衛官(2/28,産経,秋田,高,男)
大阪の中学校にて,15年間無免許で授業してきた教員の存在が明らかになりました。教員免許更新の書類手続きにて発覚したとのこと。今後,こうした「ニセ教員」の存在が続々と露になるかもしれません。
また,児童・生徒の前で刃物を出すなど,行きすぎた指導の事案がみられたのも今月の特徴だと思います。
<2014年2月の教員不祥事報道>
・トイレ侵入容疑、教諭逮捕=「盗撮目的」カメラ所持―静岡県警
(2/2,時事通信,静岡,中,男,52)
・児童買春の教諭 罰金40万…富山(2/3,読売,富山,中,男,29)
・1年近く教科書なしで授業、男性教諭が配り忘れ(2/4,読売,熊本,小,男,50代)
・未認定生徒がエアライフル=顧問の教諭書類送検(2/5,時事通信,香川,高,男,46)
・全校児童・教職員の情報入りUSB、教頭が紛失 (2/5,読売,京都,小,男,54)
・22歳教諭が、自分が勤務する小学校に脅迫文(2/7,読売,愛知,小,男,22)
・同上(わいせつ:小男59、中男46,盗撮:高男24 愛知)
・<校長懲戒>木刀で生徒殴る親 制止の教員に「止めるな」
(2/7,朝日,広島,中,男,60)
・校長のあご骨折させるなどした教諭2人(2/7,毎日,奈良,傷害:小男50,飲酒運転:中男51)
・勤め先の男子児童にわいせつ容疑、小学校教諭逮捕(2/8,朝日,東京,小,男,32)
・図工教科書配り忘れ、福岡・久留米の小学校でも(2/10,読売,福岡,小,男,50代)
・駅伝の強豪、西脇工陸上部で体罰 兵庫県教委が監督を訓告処分
(2/13,神戸新聞,兵庫,高,男,50)
・小学教諭、課題図書や児童の衣類盗む…懲戒免(2/14,読売,神奈川,小,男,32)
・中2女子27人の前で、真剣使い居合見せた教諭 (2/15,読売,香川,中,男,59)
・スナックで同僚の顔殴り、腕にかみついた教諭(2/15,読売,山口,高,男,60)
・あなたのこと知りすぎているかも…教諭がメール(2/15,読売,岩手,小,男)
・わいせつ行為の男性教諭を懲戒免職(2/17,産経,静岡,高,男,52)
・「辞職願を持ってきたか」パワハラ校長を戒告(2/18,読売,岩手,小,男,50代)
・同上(体罰:30~40歳代中高男3人,現金管理杜撰:中男57,岩手)
・問題配布遅れて試験3分不足、金井高入試(2/20,神奈川新聞,神奈川,高,男,60代)
・教え子に抱きつく 中学男性教諭を停職6カ月(2/20,毎日,高知,中,男,40代)
・教室内で黙想中に盗撮、懲戒免職 岡山、中3の担任教諭
(2/21,共同通信,岡山,中,男,30代)
・“ニセ教諭”が15年間授業 大阪の中学「いつバレるかとドキドキ…」
(2/22,産経,大阪,中,男,45)
・児童指導で頭たたき刃物出す…小学教諭を処分へ(2/22,読売,鹿児島,小,男,50代)
・女子高生狙い下半身露出=中学教頭、容疑で書類送検(2/28,時事通信,大阪,中,男,50)
・14歳少女売春の客に県立高講師と自衛官(2/28,産経,秋田,高,男)
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