2013年10月6日日曜日

スーパー・ブラック就業率

 9月19日の記事では,職業別のブラック就業率を出しました。字のごとく「ブラック」な働き方をしている者の比率ですが,そこで「ブラック」と見立てたのは,年間300日以上・週75時間以上就業している者です。

 しかるに,労働時間だけでなく収入も考慮する必要があるでしょう。死ぬほど働かされて,かつ安い給与しかもらえない。願はくは,こういう人間がどれほどいるかを知りたいものです。

 2012年の『就業構造基本調査』の統計表一覧を眺めていたら,「職業 × 就業日数・時間 × 所得」のクロス表があることに気づきました。今回は,このデータを使って,より純度の高いブラック就業率を職業別に計算してみようと思います。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 2012年10月時点の15歳以上の有業者は6,442万人。このうち,年間300日・週75時間以上就業し,かつ年収300万未満の者は28万9,200人となっています。私が住んでいる多摩市の人口の倍くらいです。

 出現率にすると4.5‰であり,有業者222人に1人が,こういうスーパー・ブラックな働き方をしている計算になります。だいたい月25日,週6日,1日12時間以上働いて,年収が300万円に満たないという人たちです。

 これは有業者全体の率ですが,この値は職業によって大きく異なるでしょう。私は68の職業について,この意味でのスーパー・ブラック就業率を計算しました。以下に掲げるのは,そのランキング表です。


 9月19日の記事のランク表と比べていただきたいのですが,年収も加味すると,様相はずいぶん変わります。

 宗教家が1位なのは同じですが,医師や法務従事者(弁護士等)の順位は大きく下がっています。代わって上位に浮上しているのが,飲食調理従事者や音楽家・美術家等の芸術職です。飲食調理では,59人に1人がスーパー・ブラックなり。

 私の個人的な印象ですが,年収を度外視した前のランク表よりも,実感に近いものになったと思います。

 全国学力調査の県別結果は黙っていても注目されますが,各県や業界は,こういう面での自分たちの相対的な位置(ランク)にも関心を持っていただきたいと思います。ブラック就業のような病理を減らすための競争は大歓迎です。

 私はこういう思いから,この手のランク表をつくっています。国レベルの改革を具現化する役割を担うのは,それぞれの地域(県)や業界団体といった「中間集団」なのですから。