昨日,表記の統計図をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておきます。
何のことはありません。1920年から2110年までの人口の長期変化図です。総務省統計局サイトの「日本の長期統計系列」と,国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」(2012年1月推計)のデータを接合させつ作図しました。
http://www.stat.go.jp/data/chouki/mokuji.htm
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh2401top.html
年少,生産,および老年人口の組成も分かるようにしています。
わが国の人口は,始点の1920(大正9)年では5597万人でしたが,その後増加し,ピークの2010年には1億2806万人に達しました。しかしこれから先は,急坂を転げ落ちるかのごとく,人口が減っていくことが予想されます。まさに「縮む日本」です。
なお人口の組成に注意すると,戦前期では人口の3人に1人が15歳未満の子どもだったのですね。今とは隔世の感です。少子化が進んだ結果,2014年現在の年少人口比率は12.7%であり,果ての2110年には9.1%となる見込みです。「子ども1:大人9」という社会です。
その分,高齢層の比重が増え,近未来は生産人口と高齢人口がほぼ等しくなると思われます。2110年の人口構成は,年少9.1%,生産49.6%,高齢41.3%なり。
人口は,社会生活の有様を規定する最も基本的な条件です。教育もむろん,その変化の影響を被るのであり,教育政策の立案に際しては,こうした社会条件を考慮しなければなりません。
一つ言えるのは,近未来にあっては,「子どもがああだこうだ」などと言うべきではない,ということ。「子ども1:大人9」という社会においてそんなことをしたら,子どもは窒息してしまいます。子どもは手厚く保護されるべきですが,強い社会的圧力が彼らに及んではなりません。こうこうでいう圧力には,教育関係者の(うざったい)論説も含まれます。
大人は自分のことをすべし。同時に,教育システムを人間の生涯を見越したものに変えていく必要がありでしょう。学校をして,子どもや青年の占有物ではなく,あらゆる年齢層が通えるようにすることも,その一角を構成します。現代日本は生涯学習社会であり,未来はもっとそうです。
教育は,真空の中で行われる営みにあらず。まぎれもなく,所与の社会的条件(土台)の上でなされます。拙著『教育の使命と実態』武蔵野大学出版会(2013年)では,こういう見方のもと,「社会」という章(chapter)を設け,教育の営為を規定するとみられる社会変化を可視化しています。上記の人口変化図もその一つです。
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