日本は経済大国ですが,教育にカネを使わない国であることは,もうすっかり知れ渡っています。その証拠として出されるのが,公的教育費の支出額がGDPの何%か,という指標です。
OECDの「Education at a Glance 2016」にて,最新の2013年の数値を拾うと,日本はわずか3.25%で,OECD加盟国では下から2番目となっています。
https://twitter.com/tmaita77/status/848342449005117441
しかし,対GDP比でみるのは不適切ではないか,日本は少子化が進んで子どもが少ないのだから,教育費のシェアが小さくなるのは当たり前ではないか,という意見も聞かれます。
これに対しては,「教育の対象は子どもだけではない。生涯学習社会では,教育の対象は大人も含めた全国民である」という反論ができますが,それは脇に置きましょう。
それでは,GDPに対する割合ではなく,子ども・若者1人あたりの公的教育費の額を算出してみましょう。上記の比率を,国内総生産(名目GDP総額)に乗じると,公的教育費の実額が出てきます。それを,25歳未満の子ども・若者人口で除せば,目的の数値が得られます。
先ほどみたように,2013年の日本の公的教育費支出額の対GDPは3.25%です。総務省統計局『世界の統計 2015』によると,同年の名目GDPは4,920,680(百万ドル)。よって公的教育費の支出額は,前者を後者に乗じて,159,779(百万ドル)となります。
国連の人口推計サイトによると,2013年の日本の25歳未満人口は28,891(千人)。したがって,子ども・若者1人あたりの公的教育費支出額は,5,530ドルとなる次第です。1ドル=110円とすると,1人あたり60万円くらいですか。
はて,これは他国に比してどうなのか。同じやり方で,29か国の数値を計算してみました。計算に使った要素も含む,結果の一覧表をご覧いただきましょう。
右端が目的の数値ですが,日本よりも高い値が多いですねえ。マックスは北欧のノルウェーで,1人あたり20,230ドル(222万円)。日本の4倍近くです。デンマーク,スウェーデン,スイスも5ケタです。大学の授業料無償,充実したICT教育環境などは,こういう条件によるのですね。
欧米の先進国をみると,アメリカが6,722ドル,イギリスが7,070ドル,ドイツが7,256ドル,フランスが6,854ドルと,いずれも日本よりは高くなっています。
お隣の韓国をはじめ,日本より低い国もちらほらありますが,先進国の中では最下位で,29か国全体では19位という有様。子どもが少ないという点を考慮しても,日本が教育にカネを使わない国ということは言えるでしょう。
これは,初等教育から高等教育までを含めた全教育費の結果ですが,高等教育に限ったら,悲惨な結果が出てきそうですねえ。日本は大学進学率50%超で,高等教育を受けている人口が多いのですが,公的な高等教育費支出の対GDPは最下位です。
https://twitter.com/tmaita77/status/848783584722731008
「学費メチャ高」&「実質ローン奨学金」という,ダブルパンチになるはずです。日本のユニバーサル型の高等教育は,家計に費用負担を押し付けることで成り立っていることを忘れてはいけません。
高等教育機関の学生1人あたりの額を出したら,どういう結果が出てくるか。やりたくもない計算ですが,興味ある結果が出てきたら,ここで報告することにいたしましょう。
2017年4月4日火曜日
2017年4月1日土曜日
プレジデント社について
新年度早々,こんな愚痴めいた記事を書きたくはないのですが,思う所があって書かせていただきます。
私は現在,4つのメディアで連載を持っています。開始の時期の順でいうと,日本教育新聞,日経デュアル,ニューズウィーク,プレジデント・オンラインです。
私のツイッターをご覧の方はご存知でしょうが,最後のプレジデント社には,嫌な思いをさせられ続けています。担当編集者が「だらしない」人なのです。
原稿受領の返事をしない,約束の時期までにテストページ(紙でいう校閲用のゲラ)を送ってこない,校正で指摘した修正事項が本原稿に反映されていない・・・。
まあ文筆家なら,編集者のこういう落ち度に遭遇することはあるでしょうが,1度や2度ではありません。
去年の11月の初頭に,テストページが出るのが2回連続で遅れた時は,もう堪忍袋の緒が切れました(私は原稿締め切りを守ってますので)。1回目の理由は「ボケていた」からで,2回目の理由は重病とのことです。2回目にしても,真偽は定かではないです。なにせ,私の怒りのメールに即リプがきましたからねえ。
私は怒り心頭で「連載を中止する」と通告しましたが,「どうかご継続を。最後のチャンスを」と懇願され,上司の人にも注意したうえで,ひとまず判断を保留としました。
さすがに少しは反省したのか,それ以降,幾分かはちゃんとしてきました。しかし,上記のようなポチミスがたまに起きているのは相変わらずです。
さすがに少しは反省したのか,それ以降,幾分かはちゃんとしてきました。しかし,上記のようなポチミスがたまに起きているのは相変わらずです。
プレジデントといえば,誰もが知っている大出版社ですが,ネットニュースの編集作業は結構いい加減なんだな,という印象です。私は,この会社の紙の雑誌にも原稿を書いたことがありますが,その時の編集作業はびっくりするくらい慎重なものでした。紙とネットの温度差に驚いています。ネットはいつでも修正可能なので,手を抜いてもいい,という考えなのでしょうか。
それと「釣りタイトル」です。去年の11月16日に,「18歳人口を奪い合う大学は見苦しい」という記事を寄稿しましたが,当初,この編集者が勝手に「東大よ,お前もか」という枕詞を添え,東大が女子学生の家賃補助に踏み切ったことを揶揄するリード文まで書いていました。私の同意を得ずにです。
この件については,知り合いの先生から指摘されて初めて気づきました。私がチェックしたテストページ(ゲラ)には,こういう記載がありませんでしたから。その先生は,私が教育の機会均等について博士論文を書いたのを知っているので,「お前も落ちたものだな」とお叱りを受けました。つまり私は,この編集者に恥をかかされたわけです。
私はこやつに電話をさせ,強く怒りましたが,「とにかくPVを稼がないと生き残れない,とにかくタップしてほしい」という言い訳ばかり。もう,開いた口がふさがりません。そのためなら,筆者の意向を無視してもいい,ということなのでしょうか。読者を欺いてもいいのでしょうか。
まあ,「売れよかし」というタイトルをつけたいというのは,どの出版社も同じでしょう。しかし,私が連載している4つのメディアの中で,こういうことをするのはプレジデントだけなんですよねえ。よかったら,右側の連載一覧のページで,4つのメディアの記事タイトルを比較してみてください。
私は正直,「この会社と付き合っていると心の平穏が乱れる,研究者としての自分の評価にも関わる」という危機感を抱き,いつ連載を止めようかと思案していました。プレジデントといえば,ビジネスマン向けの金儲けの雑誌を作る会社で,土台,私とは反りが合わないですから。
そんな矢先,一昨日から昨日にかけてまたトラブルが起きました。もううんざりですので,それについては書かないことにしましょう。私は今朝,以下のメールを編集者に発信しました。以下に掲げます。
そんな矢先,一昨日から昨日にかけてまたトラブルが起きました。もううんざりですので,それについては書かないことにしましょう。私は今朝,以下のメールを編集者に発信しました。以下に掲げます。
**********
O様
当面の間,連載は休止とします。
中止ではありません。
また始めてもいいと思った時,こちらから連絡します。
再開の折は,担当編集者の交代を求めます。
私が望むタイプは,優秀でなくてもいいから,真面目で約束をちゃんと守り,仕事が丁寧でこちらに安心感を与えてくれる人です。
後任の人について,相談しておいてください。
**********
というわけで,当面の間,プレジデント・オンラインの連載はお休みとなります。今,単著原稿の追い込みで混んでいますので,私としても好都合です。
まあ,こんな記事を世に発信しているのですから,先方の判断で「打ち切り」ということになるかもしれませんが,それならそれで結構です。細切れの売文仕事は減らして,腰を据えて,大きな仕事をしたいと思っていたところですし。
まあ,こんな記事を世に発信しているのですから,先方の判断で「打ち切り」ということになるかもしれませんが,それならそれで結構です。細切れの売文仕事は減らして,腰を据えて,大きな仕事をしたいと思っていたところですし。
曇天の新年度初日ですが,楽しい春休みを。近くの「ソレイユの丘」は,子どもたちでいっぱいです。
追記:この編集者の肩書は,現在「フリーランス編集者/ライター」となっています。推測ですが,この人は正社員ではなく,編集部に形だけ属しているフリーの人なんでしょう。本件で上司が怒り,「もう編集部員を名乗るな」と言われたのだと思います。
追記:この編集者の肩書は,現在「フリーランス編集者/ライター」となっています。推測ですが,この人は正社員ではなく,編集部に形だけ属しているフリーの人なんでしょう。本件で上司が怒り,「もう編集部員を名乗るな」と言われたのだと思います。
2017年3月31日金曜日
2017年3月の教員不祥事報道
2016年度も今日でおわりです。今月,私がネット上でキャッチした教員不祥事報道は48件です。年度末のためか,多めになっています。
赤字は珍事案。新幹線の無賃乗車,議論にヒートアップして知人をジョッキで殴る,校長の式辞コピペ。こういうのも,あるんですねえ。
さて私は,今月の初頭に,東京都多摩市から神奈川県横須賀市に引っ越しました。横須賀といっても,北西の横須賀中央ではなく,対極の南西の長井地区です。見渡す限り畑の「のどか」な地域ですが,ちょっと自転車で走ると海に出れます。
この写真は,荒崎公園の「夕日の丘」から撮ったものです。自宅から自転車で15分ほど。天気のいい日は,夕方,いつもここに来ます。
あと一つの近場の名所は,ソレイユの丘。三浦半島屈指のレジャー施設ですが,ここは自転車で7分くらい。歩いても行けます。夕日を見ながら入れる,ここのお風呂は最高です。銭湯代わりに,週1で来ることにしました。
今は,菜の花もきれいです。
いやあ,本当にいいところに越してきたなと思います。去年の秋から,三浦半島に何度も足を運び,慎重に居住地を選んだ甲斐がありました。
この素晴らしい地で,これからはモノを書いて暮らしていきたいと思います。
<2017年3月の教員不祥事報道>
・自転車通勤で交通費請求、事故で発覚 小学校教諭を戒告処分
(3/1,自転車新聞,東京,小,男,34)
・児童ポルノ製造容疑 福島の講師を逮捕(3/2,河北新報,福島,高,男,25)
・県立高教諭 万引疑い 静岡中央署が逮捕(3/2,静岡新聞,静岡,高,女,45)
・酒気帯び運転の疑いで教員の男を逮捕 宇都宮中央署
(3/2,下野新聞,栃木,男,62)
・酒気帯び運転疑い逮捕の教諭処分(3/3,NHK,青森,中,男,50)
・勤務先の職員室から21万円盗んだ疑い(3/6,朝日,大阪,中,女,57)
・小学校講師、覚醒剤使用の疑い(3/6,朝日,大阪,小,男,27)
・野球部員の下着脱がせマッサージ 中学講師を停職
(3/8,朝日,岐阜,中,男,30)
・男児ポルノ所持、45歳小学校教諭を免職(3/9,産経,東京,小,男,45)
・酒気帯び運転で中学校教諭逮捕 (3/11,MBC,鹿児島,中,男)
・小学校長が住宅侵入疑いで懲戒処分、長崎県教委(3/11,産経,長崎,小,男,51)
・中学生に淫行疑い 48歳広島県立高教諭を逮捕(3/14,産経,広島,高,男,48)
・男性はねられ重体 中学の男性教諭逮捕(3/15,千葉日報,千葉,中,男,31)
・児童を菌呼ばわりの教員 減給処分(3/15,新潟日報,新潟,小,男,40代)
・コンビニでサンドイッチ万引 車にひかれて発覚(3/16,産経,東京,小,男,54)
・卒業生にキス、部活指導の女子生徒の体を繰り返し触る
(3/17,産経,東京,わいせつ:小男25,体罰:中男30)
・男性教諭を停職処分 焼酎を窃盗か(3/17,テレビ神奈川,神奈川,中,男,50代)
・<強制わいせつ>女児被害、60歳小学教諭逮捕(3/19,毎日,東京,小,男,60)
・小学校長、校内駐車代2年半未納(3/20,読売,島根,小,女)
・私立高校教諭をひき逃げで逮捕(3/21,NHK,青森,高,男,33)
・部費など着服、セクハラ…2教諭処分
(3/22,神戸新聞,兵庫,セクハラ:中男40代,着服:高男33)
・電車で痴漢行為 市立小教諭を停職処分
(3/22,テレビ神奈川,神奈川,中,男,449
・淫行容疑で39歳小学校教諭逮捕(3/22,産経,北海道,小,男,39)
・盗撮と体罰で教諭2人を処分
(3/22,岩手日報,岩手,盗撮:特男40代,体罰:小男45)
・59歳教諭が女子生徒にキス…高校教諭3人懲戒処分
(3/23,日刊スポーツ,埼玉,キス:高男59,酒気帯び運転:高男24,トイレに行かせず:高男52)
・小学校教諭、体罰で処分へ…蹴られた男児は転校
(3/23,読売,山形,小,男,40代)
・懲戒処分:小学校講師ら2人 県教委
(3/23,毎日,鹿児島,下着窃盗:小男40,飲酒運転:中男50)
・校内で女子生徒にキス…裸の画像送らせる 中学教諭と講師を懲戒免職
(3/23,サンスポ,京都,中男20代,30代)
・三重県立明野高校の教諭、盗撮で懲戒免職(3/24,CBCテレビ,三重,高,男,53)
・女子生徒にセクハラで停職6月 山梨の県立高男性教諭
(3/25,産経,山梨,高,男,30代)
・酒気帯び疑いで教諭逮捕 直前に信号無視で追突(3/25,産経,千葉,特,男,35)
・14歳の少女に「脱げよ」と脅し強姦未遂(3/25,サンスポ,愛知,高,男,27)
・指宿商業高校で男性教諭が生徒に体罰(3/26,MBC,鹿児島,高,男,30代)
・大阪の公立中学講師、女子生徒に淫行疑い(3/27,産経,大阪,中,男,20代)
・同僚女性の服に手を入れ胸触る…教諭を停職3カ月
(3/28,サンスポ,大阪,高,男,62)
・セクハラ:中学教諭が同僚女性に(3/28,毎日,山形,中,男,50代)
・新幹線無賃乗車で高校教諭処分(3/29,NHK,愛知,高,男,26)
・県教委:飲酒運転教諭を懲戒免職処分(3/29,毎日,宮崎,中,男,35)
・懲戒免職:高校講師、同僚の現金窃盗 県教委(3/29,毎日,新潟,高,男,25)
・バレー強豪校の数学教諭 女子高生と性行為(3/30,日テレ,東京,高,男,27)
・体罰めぐり口論、ビールジョッキで知人殴った教頭を滋賀県教委が処分
(3/30,産経,滋賀,小,男,50)
・懲戒免職:淫行の中学講師を処分 福岡市教委(3/30,毎日,福岡,中,男,28)
・女児の服脱がせ動画=容疑で担任教諭逮捕(3/31,時事通信,東京,小,男,29)
・高校教師がつきまとい容疑で逮捕(3/31,チバテレ,千葉,高,男,30)
・戒告処分:葛城の中学校教諭ら 成績記載ミス(3/31,毎日,奈良,中男59,59)
・伊那小教諭を懲戒免職処分 準強姦・侵入罪(3/31,中日新聞,長野,小,男,38)
・卒業生に贈る言葉は「コピペ」で…中学校長「忙しかった」
(3/31,産経,兵庫,中,男,60)
・禁煙の学校敷地内で、校長らが2年にわたり喫煙
(3/31,神奈川新聞,神奈川,高,男,60)
赤字は珍事案。新幹線の無賃乗車,議論にヒートアップして知人をジョッキで殴る,校長の式辞コピペ。こういうのも,あるんですねえ。
さて私は,今月の初頭に,東京都多摩市から神奈川県横須賀市に引っ越しました。横須賀といっても,北西の横須賀中央ではなく,対極の南西の長井地区です。見渡す限り畑の「のどか」な地域ですが,ちょっと自転車で走ると海に出れます。
この写真は,荒崎公園の「夕日の丘」から撮ったものです。自宅から自転車で15分ほど。天気のいい日は,夕方,いつもここに来ます。
あと一つの近場の名所は,ソレイユの丘。三浦半島屈指のレジャー施設ですが,ここは自転車で7分くらい。歩いても行けます。夕日を見ながら入れる,ここのお風呂は最高です。銭湯代わりに,週1で来ることにしました。
今は,菜の花もきれいです。
いやあ,本当にいいところに越してきたなと思います。去年の秋から,三浦半島に何度も足を運び,慎重に居住地を選んだ甲斐がありました。
この素晴らしい地で,これからはモノを書いて暮らしていきたいと思います。
<2017年3月の教員不祥事報道>
・自転車通勤で交通費請求、事故で発覚 小学校教諭を戒告処分
(3/1,自転車新聞,東京,小,男,34)
・児童ポルノ製造容疑 福島の講師を逮捕(3/2,河北新報,福島,高,男,25)
・県立高教諭 万引疑い 静岡中央署が逮捕(3/2,静岡新聞,静岡,高,女,45)
・酒気帯び運転の疑いで教員の男を逮捕 宇都宮中央署
(3/2,下野新聞,栃木,男,62)
・酒気帯び運転疑い逮捕の教諭処分(3/3,NHK,青森,中,男,50)
・勤務先の職員室から21万円盗んだ疑い(3/6,朝日,大阪,中,女,57)
・小学校講師、覚醒剤使用の疑い(3/6,朝日,大阪,小,男,27)
・野球部員の下着脱がせマッサージ 中学講師を停職
(3/8,朝日,岐阜,中,男,30)
・男児ポルノ所持、45歳小学校教諭を免職(3/9,産経,東京,小,男,45)
・酒気帯び運転で中学校教諭逮捕 (3/11,MBC,鹿児島,中,男)
・小学校長が住宅侵入疑いで懲戒処分、長崎県教委(3/11,産経,長崎,小,男,51)
・中学生に淫行疑い 48歳広島県立高教諭を逮捕(3/14,産経,広島,高,男,48)
・男性はねられ重体 中学の男性教諭逮捕(3/15,千葉日報,千葉,中,男,31)
・児童を菌呼ばわりの教員 減給処分(3/15,新潟日報,新潟,小,男,40代)
・コンビニでサンドイッチ万引 車にひかれて発覚(3/16,産経,東京,小,男,54)
・卒業生にキス、部活指導の女子生徒の体を繰り返し触る
(3/17,産経,東京,わいせつ:小男25,体罰:中男30)
・男性教諭を停職処分 焼酎を窃盗か(3/17,テレビ神奈川,神奈川,中,男,50代)
・<強制わいせつ>女児被害、60歳小学教諭逮捕(3/19,毎日,東京,小,男,60)
・小学校長、校内駐車代2年半未納(3/20,読売,島根,小,女)
・私立高校教諭をひき逃げで逮捕(3/21,NHK,青森,高,男,33)
・部費など着服、セクハラ…2教諭処分
(3/22,神戸新聞,兵庫,セクハラ:中男40代,着服:高男33)
・電車で痴漢行為 市立小教諭を停職処分
(3/22,テレビ神奈川,神奈川,中,男,449
・淫行容疑で39歳小学校教諭逮捕(3/22,産経,北海道,小,男,39)
・盗撮と体罰で教諭2人を処分
(3/22,岩手日報,岩手,盗撮:特男40代,体罰:小男45)
・59歳教諭が女子生徒にキス…高校教諭3人懲戒処分
(3/23,日刊スポーツ,埼玉,キス:高男59,酒気帯び運転:高男24,トイレに行かせず:高男52)
・小学校教諭、体罰で処分へ…蹴られた男児は転校
(3/23,読売,山形,小,男,40代)
・懲戒処分:小学校講師ら2人 県教委
(3/23,毎日,鹿児島,下着窃盗:小男40,飲酒運転:中男50)
・校内で女子生徒にキス…裸の画像送らせる 中学教諭と講師を懲戒免職
(3/23,サンスポ,京都,中男20代,30代)
・三重県立明野高校の教諭、盗撮で懲戒免職(3/24,CBCテレビ,三重,高,男,53)
・女子生徒にセクハラで停職6月 山梨の県立高男性教諭
(3/25,産経,山梨,高,男,30代)
・酒気帯び疑いで教諭逮捕 直前に信号無視で追突(3/25,産経,千葉,特,男,35)
・14歳の少女に「脱げよ」と脅し強姦未遂(3/25,サンスポ,愛知,高,男,27)
・指宿商業高校で男性教諭が生徒に体罰(3/26,MBC,鹿児島,高,男,30代)
・大阪の公立中学講師、女子生徒に淫行疑い(3/27,産経,大阪,中,男,20代)
・同僚女性の服に手を入れ胸触る…教諭を停職3カ月
(3/28,サンスポ,大阪,高,男,62)
・セクハラ:中学教諭が同僚女性に(3/28,毎日,山形,中,男,50代)
・新幹線無賃乗車で高校教諭処分(3/29,NHK,愛知,高,男,26)
・県教委:飲酒運転教諭を懲戒免職処分(3/29,毎日,宮崎,中,男,35)
・懲戒免職:高校講師、同僚の現金窃盗 県教委(3/29,毎日,新潟,高,男,25)
・バレー強豪校の数学教諭 女子高生と性行為(3/30,日テレ,東京,高,男,27)
・体罰めぐり口論、ビールジョッキで知人殴った教頭を滋賀県教委が処分
(3/30,産経,滋賀,小,男,50)
・懲戒免職:淫行の中学講師を処分 福岡市教委(3/30,毎日,福岡,中,男,28)
・女児の服脱がせ動画=容疑で担任教諭逮捕(3/31,時事通信,東京,小,男,29)
・高校教師がつきまとい容疑で逮捕(3/31,チバテレ,千葉,高,男,30)
・戒告処分:葛城の中学校教諭ら 成績記載ミス(3/31,毎日,奈良,中男59,59)
・伊那小教諭を懲戒免職処分 準強姦・侵入罪(3/31,中日新聞,長野,小,男,38)
・卒業生に贈る言葉は「コピペ」で…中学校長「忙しかった」
(3/31,産経,兵庫,中,男,60)
・禁煙の学校敷地内で、校長らが2年にわたり喫煙
(3/31,神奈川新聞,神奈川,高,男,60)
2017年3月27日月曜日
正社員就職率の段階比較
職業別の求人倍率をみると,建設業,介護サービス,飲食業などの数値がべらぼうに高くなっています。一般事務などはメチャ低。希望者が多く,口が少ないため。お呼びでありません。
社会が求めるのはグレー・ブルーカラー,学校教育で量産されるのはホワイトカラー志望者。こんな状況になっているといえましょう。
それはさておき,こうした社会の人材需要の様は,学校卒業者の進路統計に表れています。高校よりも大学のほうが正社員就職率がいいと思われるかもしれませんが,さにあらず。高校の中でも専門高校,とりわけ工業高校などはがんばっています。
『学校基本調査』によると,2016年春の工業高校卒業生(全日制・定時制)は8万593人。この卒業者を進学者と非進学者に分け,その下の成分を面積図で表すと以下のようになります。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528
就職の意思のない進学者を除いた「非進学者」ベースで,正規職員として就職した生徒の比率を出すと96.1%にもなります。ほぼ全員です。建設業界の技術者や労働者への需要が著しく増しているためでしょう。
これは工業高校のケースですが,他の専門学科も健闘しているようです。高校の学科別の正社員就職率をみていただきましょう。上記と同じく,非進学者ベースの数値です。短大,高専,大学,大学院といった高等教育機関との比較もしましょう。
細かい学科(専攻)別の数値を出しました。90%を超える数値は赤色にしましたが,高校で多いではないですか。高校では5つ,短大では2つ,大学と大学院修士課程で1つです。
マックスは高等専門学校(高専)の96.7%,さすがですね。5年制の高等教育機関ですが,産業界からの評価がきわめて良好であることがよく知られています。
それに次ぐのが高校工業科で96.1%,その次が水産科の95.9%なり。農業科と福祉科もがんばっている。社会の人材需要の色が出ているといえましょう。
大学院は,上に行くほど正規職員就職率が下がりますけど,これについてはノーコメントとしておきましょう。
ただ社会に送り出される人材の量の上では,現在では大学学部の卒業者が最も多くなっています。それもそのはず。大学進学率が50%,つまり同世代の2人に1人が大学に行く時代ですので。
そこで,この段階の正社員就職率を,もうちょっと仔細に解剖してみましょう。上表は専攻別ですが,これをさらに設置主体別にバラしてみます。国立・公立・私立の別です。以下の表は,「設置主体×専攻」でみた正社員就職率の一覧表です。上記と同じく,2016年春の卒業生のデータです。
ほう。どの専攻でも公立大学の数値が最も高いですね。90%超の赤字も多くなっています。地域密着の公立大学は強いのでしょうか。量的に多い社会科学系の正社員就職率は,公立,国立,私立の順になっています。
教育の役割は,社会が求める人材を輩出することです。教育を社会に従属させろなどとはいいませんが,現実として,社会の人材需要の色が卒業生の進路に反映されています。
「悪さをしないで,社会の中での役割(仕事)をきっちりする人間になってほしい」。こういう思いで子育てをしている親御さんが多いでしょうが,無目的にわが子を上の学校に行かせても,あまりいいことはないように思います。
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる法改正が議論されていますが。18歳というステージでの自立をもっと促してもよいでしょう。「無職博士を雇ったら500万円」とかいう政策がありましたが,高卒者を採ったら奨励金なんていうのがいいのでは。
社会の側がなすべきは,早い段階で社会に出た人間が,必要を感じた時に後から大学等の高等教育機関で学べるようにする制度を作ることです。未来形の大学の顧客は,やせ細っていく18歳人口ではなく,リカレント学生なのです。
社会が求めるのはグレー・ブルーカラー,学校教育で量産されるのはホワイトカラー志望者。こんな状況になっているといえましょう。
それはさておき,こうした社会の人材需要の様は,学校卒業者の進路統計に表れています。高校よりも大学のほうが正社員就職率がいいと思われるかもしれませんが,さにあらず。高校の中でも専門高校,とりわけ工業高校などはがんばっています。
『学校基本調査』によると,2016年春の工業高校卒業生(全日制・定時制)は8万593人。この卒業者を進学者と非進学者に分け,その下の成分を面積図で表すと以下のようになります。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528
就職の意思のない進学者を除いた「非進学者」ベースで,正規職員として就職した生徒の比率を出すと96.1%にもなります。ほぼ全員です。建設業界の技術者や労働者への需要が著しく増しているためでしょう。
これは工業高校のケースですが,他の専門学科も健闘しているようです。高校の学科別の正社員就職率をみていただきましょう。上記と同じく,非進学者ベースの数値です。短大,高専,大学,大学院といった高等教育機関との比較もしましょう。
細かい学科(専攻)別の数値を出しました。90%を超える数値は赤色にしましたが,高校で多いではないですか。高校では5つ,短大では2つ,大学と大学院修士課程で1つです。
マックスは高等専門学校(高専)の96.7%,さすがですね。5年制の高等教育機関ですが,産業界からの評価がきわめて良好であることがよく知られています。
それに次ぐのが高校工業科で96.1%,その次が水産科の95.9%なり。農業科と福祉科もがんばっている。社会の人材需要の色が出ているといえましょう。
大学院は,上に行くほど正規職員就職率が下がりますけど,これについてはノーコメントとしておきましょう。
ただ社会に送り出される人材の量の上では,現在では大学学部の卒業者が最も多くなっています。それもそのはず。大学進学率が50%,つまり同世代の2人に1人が大学に行く時代ですので。
そこで,この段階の正社員就職率を,もうちょっと仔細に解剖してみましょう。上表は専攻別ですが,これをさらに設置主体別にバラしてみます。国立・公立・私立の別です。以下の表は,「設置主体×専攻」でみた正社員就職率の一覧表です。上記と同じく,2016年春の卒業生のデータです。
ほう。どの専攻でも公立大学の数値が最も高いですね。90%超の赤字も多くなっています。地域密着の公立大学は強いのでしょうか。量的に多い社会科学系の正社員就職率は,公立,国立,私立の順になっています。
教育の役割は,社会が求める人材を輩出することです。教育を社会に従属させろなどとはいいませんが,現実として,社会の人材需要の色が卒業生の進路に反映されています。
「悪さをしないで,社会の中での役割(仕事)をきっちりする人間になってほしい」。こういう思いで子育てをしている親御さんが多いでしょうが,無目的にわが子を上の学校に行かせても,あまりいいことはないように思います。
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる法改正が議論されていますが。18歳というステージでの自立をもっと促してもよいでしょう。「無職博士を雇ったら500万円」とかいう政策がありましたが,高卒者を採ったら奨励金なんていうのがいいのでは。
社会の側がなすべきは,早い段階で社会に出た人間が,必要を感じた時に後から大学等の高等教育機関で学べるようにする制度を作ることです。未来形の大学の顧客は,やせ細っていく18歳人口ではなく,リカレント学生なのです。
2017年3月25日土曜日
20代の動機別自殺者数の変化
景気回復の恩恵もあってか,ここ数年で,若者の自殺者数は減少をみています。警察庁の『自殺の概要資料』によると,2007年の20代の自殺者(a)は3309人でしたが,2016年では2235人にまで減っています。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
少子化の影響もあり,20代人口(b)もこの期間で1503万人から1269万人に減っていますが,自殺者数を人口で除した自殺率(b/a)も,22.0から17.6に下がっています(ベース10万人あたりの自殺者数)。
「めでたし,めでたし」と言いたいところですが,動機別の自殺者数の変化を観察すると,近年の社会変化の影の面が見えてきます。
警察庁の『自殺の概要資料』では,2007年より細かいカテゴリーを設けて,動機別の自殺者数を計上しています。一人の自殺者の動機が複数にわたる場合は,3つまで計上する方式です。よって数値は延べ数ということになりますが,ある動機(原因)で自ら命を断った若者の実数を知ることは可能です。
データが得られる最も古い年次の2007年と,最新の2016年の統計を照らし合わせてみると,下表のようになります。
最も多いのは,両年次とも「うつ病」です。次いで統合失調症,その他精神疾患といったメンタル要因が多くなっています。
しかしここで注目したいのは,この10年間における変化です。2016年の自殺者数が50人以上で,2007年に比して自殺者が増えた項目に黄色マークをしました。マークがついているのは,親子関係の不和,就職失敗,生活苦,仕事の失敗,仕事疲れ,そして学業不振です。
親子関係の不和は,進路選択などで親子間でもめる頻度が増えているのでしょうか。今の世代は時代の変化を見取り,大会社に入っても安泰でないことを知っており,いろいろな道に行こうとしますが,親からすればそれは許せない。いつの時代でもこういう世代葛藤は起きますが,激変期の現在では,それが殊に顕著なのかもしれません。
前にニューズウィーク日本版に書きましたけど,親世代は,自分たちがたどってきた道を,子ども世代が子羊のようについてくる(これる)などと考えないほうがいいです。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/11/post-4092.php
人手不足で就職市場が売り手市場になりますが,「シューカツ失敗自殺」も増えていますね。2010年頃に比したら数は減っていますが,お祈りメールを何十通も受け取り,自我を傷つけられ,将来展望に大きな不安を頂いた青年が自殺に傾きやすくなるのは道理です。私が試算したところによると,シューカツに失敗した学生の自殺率は国民全体の8倍を超えます。
http://tmaita77.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
何度もいいますが,22歳で全てが決まる新卒至上主義などは,まずもって撤廃すべきでしょう。労働力不足が深刻化するなか,このシステムがいつまでも維持されるとは思いませんけれど。
生活苦の自殺も増えています。仕事疲れの自殺も増加。どの業界も人手不足ですが,そのシワ寄せは若手にいくのが常です。2015年暮れに起きた,電通の若手女性社員の過労自殺が想起されます。
「仕事の失敗」による自殺者は増加倍率が最も大きく,45人から78人へと1.73倍に増えています。今はどの職場も手取り足取り若手を育てるゆとりがなく,新人の失敗への寛容度が下がっているのでしょうか。
学業不振の自殺も増えていますが,学生を締め付ける「大学の中高化」施策の影響かしらん。
若者の自殺数,自殺率は低下の傾向にありますが,細かい動機別の統計を紐解いてみると問題がざくざく出てきます。数の上では小数ですが,黄色マークの数値は,近年のわが国の社会変化の影の側面を照らし出しているともいえるでしょう。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
少子化の影響もあり,20代人口(b)もこの期間で1503万人から1269万人に減っていますが,自殺者数を人口で除した自殺率(b/a)も,22.0から17.6に下がっています(ベース10万人あたりの自殺者数)。
「めでたし,めでたし」と言いたいところですが,動機別の自殺者数の変化を観察すると,近年の社会変化の影の面が見えてきます。
警察庁の『自殺の概要資料』では,2007年より細かいカテゴリーを設けて,動機別の自殺者数を計上しています。一人の自殺者の動機が複数にわたる場合は,3つまで計上する方式です。よって数値は延べ数ということになりますが,ある動機(原因)で自ら命を断った若者の実数を知ることは可能です。
データが得られる最も古い年次の2007年と,最新の2016年の統計を照らし合わせてみると,下表のようになります。
最も多いのは,両年次とも「うつ病」です。次いで統合失調症,その他精神疾患といったメンタル要因が多くなっています。
しかしここで注目したいのは,この10年間における変化です。2016年の自殺者数が50人以上で,2007年に比して自殺者が増えた項目に黄色マークをしました。マークがついているのは,親子関係の不和,就職失敗,生活苦,仕事の失敗,仕事疲れ,そして学業不振です。
親子関係の不和は,進路選択などで親子間でもめる頻度が増えているのでしょうか。今の世代は時代の変化を見取り,大会社に入っても安泰でないことを知っており,いろいろな道に行こうとしますが,親からすればそれは許せない。いつの時代でもこういう世代葛藤は起きますが,激変期の現在では,それが殊に顕著なのかもしれません。
前にニューズウィーク日本版に書きましたけど,親世代は,自分たちがたどってきた道を,子ども世代が子羊のようについてくる(これる)などと考えないほうがいいです。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/11/post-4092.php
人手不足で就職市場が売り手市場になりますが,「シューカツ失敗自殺」も増えていますね。2010年頃に比したら数は減っていますが,お祈りメールを何十通も受け取り,自我を傷つけられ,将来展望に大きな不安を頂いた青年が自殺に傾きやすくなるのは道理です。私が試算したところによると,シューカツに失敗した学生の自殺率は国民全体の8倍を超えます。
http://tmaita77.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
何度もいいますが,22歳で全てが決まる新卒至上主義などは,まずもって撤廃すべきでしょう。労働力不足が深刻化するなか,このシステムがいつまでも維持されるとは思いませんけれど。
生活苦の自殺も増えています。仕事疲れの自殺も増加。どの業界も人手不足ですが,そのシワ寄せは若手にいくのが常です。2015年暮れに起きた,電通の若手女性社員の過労自殺が想起されます。
「仕事の失敗」による自殺者は増加倍率が最も大きく,45人から78人へと1.73倍に増えています。今はどの職場も手取り足取り若手を育てるゆとりがなく,新人の失敗への寛容度が下がっているのでしょうか。
学業不振の自殺も増えていますが,学生を締め付ける「大学の中高化」施策の影響かしらん。
若者の自殺数,自殺率は低下の傾向にありますが,細かい動機別の統計を紐解いてみると問題がざくざく出てきます。数の上では小数ですが,黄色マークの数値は,近年のわが国の社会変化の影の側面を照らし出しているともいえるでしょう。
2017年3月24日金曜日
なぜ二次元のグラフにするか
先日,「宿題をするのにコンピュータをどれほど使うか」という問いに対する回答の国際比較グラフをツイッターで発信したところ,多くの方に興味を持っていただきました。
横軸に「全く or ほとんど使わない」,縦軸に「ほぼ毎日 or 毎日使う」の回答比率をとった座標上に,世界各国を配置した二次元のグラフです。
https://twitter.com/tmaita77/status/844103078437502977
日本は圧倒的に前者が多く後者がほぼ皆無なので,右下の外れた位置にあります。日本の学校教育のICT化の遅れはよく言われますが,それが怖いくらいに可視化されているので,「おお」と思われた方が多かったのでしょう。
一方,疑問も呈されました。「なぜ二次元の散布図にするのか。普通は棒グラフだろう」と。なるほど,もっともな疑問ですが,何でもかんでもオーソドックスな棒グラフにすればいいってものでもありません。2つの変数をグラフにするにあたっては,横軸と縦軸を使った二次元の平面上にデータを配置するのも一つの手です。
題材を変えて,具体的な例を紹介しましょう。ISSPが2012年に実施した「家族と性役割の革新に関する調査」では,「学校に上がる前の幼子の世話は,最初に誰が見るべきと考えるか」という設問を設けています(Q12)。
http://www.issp.org/page.php?pageId=4
5つに選択肢から1つを選んでもらう形式です。以下に掲げるのは,調査対象の38か国の回答分布です。*ドイツは調査対象が東西で分かれています。
「家族」という回答割合の高い国が多くなっています。日本もこのタイプで,調査対象の国民の76.5%が「家族」と答えています。
しかしこれとは異なるタイプもあり,スウェーデンでは82.5%が「政府機関」と回答しています。この国では,保育所入所を希望する家族に定員枠を用意するのは自治体の法的な義務で,日本でいう「待機児童」は存在しないそうです。毎年,全国各地で保育所落選の悲鳴が上がる日本とは大違いです。
公的保育の考え方が,国民の意識にもはっきり表れています。フィンランド,デンマークといった他の北欧国でもそうです。
38か国の回答をみるに,「家族」ないしは「政府機関」という回答(赤字)が大半を占めるようですが,この2つの回答比率をグラフにする場合,どうしたものでしょう。多くの人が推奨する「棒グラフ」にすると,以下のようになります。
青色のバーが「家族」,オレンジ色のバーが「政府機関」の回答比率ですが,グチャグチャで傾向が分かりにくいです。せいぜい5か国くらいまでならこういうグラフでもいいでしょうが,38か国ものケースになるとNGです。
私は,こういう大量ケースの2変数をグラフにするときは,横軸と縦軸を駆使した2次元のマトリクス上に,それぞれのケースを配置することにしています。
上記の見映えの悪いグラフを,この形式に変えてみましょう。横軸に家族,縦軸に政府機関という回答比率をとった座標上に,38か国を配置します。
どうでしょう。横軸の値が高く縦軸の値が低い「家族型保育」の社会と,その反対の「社会型保育」の社会が見出されます。斜線は均等線で,この線より上にある場合,横軸より縦軸の値が高いことを意味します。
38か国すべての国名を書き込むことはできませんが,自分の国の位置を知りたい,2つの変数による社会のタイプ分けをしたいという時,このグラフ技法は効果を発揮すると思います。
日本は私型保育,北欧諸国は公型保育の社会ですが,核家族率に示されるような家族構造はほとんど同じです。日本でも,家族の小規模化・核家族化は欧米並みに進行しています。にもかかわらず意識は旧態依然のまま。このギャップから,虐待や介護殺人のような家族内の悲劇が起きているといえましょう。
話が逸れましたが,大量ケースの2変数のデータをグラフにする場合,二次元の配置図が使える,という提案をしておこうと思います。コンピュータグラフィックの達人なら,3次元の立体図による3変数のグラフ化も可能なのでしょうが,私にはまだ,そこまでのテクはありません。
横軸に「全く or ほとんど使わない」,縦軸に「ほぼ毎日 or 毎日使う」の回答比率をとった座標上に,世界各国を配置した二次元のグラフです。
https://twitter.com/tmaita77/status/844103078437502977
日本は圧倒的に前者が多く後者がほぼ皆無なので,右下の外れた位置にあります。日本の学校教育のICT化の遅れはよく言われますが,それが怖いくらいに可視化されているので,「おお」と思われた方が多かったのでしょう。
一方,疑問も呈されました。「なぜ二次元の散布図にするのか。普通は棒グラフだろう」と。なるほど,もっともな疑問ですが,何でもかんでもオーソドックスな棒グラフにすればいいってものでもありません。2つの変数をグラフにするにあたっては,横軸と縦軸を使った二次元の平面上にデータを配置するのも一つの手です。
題材を変えて,具体的な例を紹介しましょう。ISSPが2012年に実施した「家族と性役割の革新に関する調査」では,「学校に上がる前の幼子の世話は,最初に誰が見るべきと考えるか」という設問を設けています(Q12)。
http://www.issp.org/page.php?pageId=4
5つに選択肢から1つを選んでもらう形式です。以下に掲げるのは,調査対象の38か国の回答分布です。*ドイツは調査対象が東西で分かれています。
「家族」という回答割合の高い国が多くなっています。日本もこのタイプで,調査対象の国民の76.5%が「家族」と答えています。
しかしこれとは異なるタイプもあり,スウェーデンでは82.5%が「政府機関」と回答しています。この国では,保育所入所を希望する家族に定員枠を用意するのは自治体の法的な義務で,日本でいう「待機児童」は存在しないそうです。毎年,全国各地で保育所落選の悲鳴が上がる日本とは大違いです。
公的保育の考え方が,国民の意識にもはっきり表れています。フィンランド,デンマークといった他の北欧国でもそうです。
38か国の回答をみるに,「家族」ないしは「政府機関」という回答(赤字)が大半を占めるようですが,この2つの回答比率をグラフにする場合,どうしたものでしょう。多くの人が推奨する「棒グラフ」にすると,以下のようになります。
青色のバーが「家族」,オレンジ色のバーが「政府機関」の回答比率ですが,グチャグチャで傾向が分かりにくいです。せいぜい5か国くらいまでならこういうグラフでもいいでしょうが,38か国ものケースになるとNGです。
私は,こういう大量ケースの2変数をグラフにするときは,横軸と縦軸を駆使した2次元のマトリクス上に,それぞれのケースを配置することにしています。
上記の見映えの悪いグラフを,この形式に変えてみましょう。横軸に家族,縦軸に政府機関という回答比率をとった座標上に,38か国を配置します。
どうでしょう。横軸の値が高く縦軸の値が低い「家族型保育」の社会と,その反対の「社会型保育」の社会が見出されます。斜線は均等線で,この線より上にある場合,横軸より縦軸の値が高いことを意味します。
38か国すべての国名を書き込むことはできませんが,自分の国の位置を知りたい,2つの変数による社会のタイプ分けをしたいという時,このグラフ技法は効果を発揮すると思います。
日本は私型保育,北欧諸国は公型保育の社会ですが,核家族率に示されるような家族構造はほとんど同じです。日本でも,家族の小規模化・核家族化は欧米並みに進行しています。にもかかわらず意識は旧態依然のまま。このギャップから,虐待や介護殺人のような家族内の悲劇が起きているといえましょう。
話が逸れましたが,大量ケースの2変数のデータをグラフにする場合,二次元の配置図が使える,という提案をしておこうと思います。コンピュータグラフィックの達人なら,3次元の立体図による3変数のグラフ化も可能なのでしょうが,私にはまだ,そこまでのテクはありません。
2017年3月21日火曜日
モノを考えなくなる労働者
昨日の福井新聞に,「パワハラや過労,企業存続を左右 過去の発想では人材集まらない」という記事が出ています。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/117528.html
昔なら,しごきに耐え,長時間労働も厭わない労働者は集まったのでしょうが,最近はそうはいきません。今の学生が会社を選ぶ基準は,給与や知名度から,残業のなさや有休が取りやすいことといった「働きやすさ」にシフトしてきています。
これは随所で言われていることですが,上記の記事にとてもいいことが書いてありますので,引用させていただきましょう。
「長時間労働で疲弊した人は新聞を読む気力もなく,物事を深く考えなくなる。少しの情報だけで自分の意見を決める。それが世論になってしまう。欧州では家族で食事をとりながら会話をしたり,広場やカフェで自由に議論をしたりする。時間に余裕があるかどうかは,民主主義の成熟と深く関わっている可能性がある」。(福井新聞,2017年3月20日)
そうですねえ。日々の仕事で精一杯で,知の肥やしを得ることができなくなります。この記事では新聞に触れられていますが,国民の読書の頻度も減ってきている。とくに,働き盛りの年齢層においてです。
下のグラフは,過去1年間に,自発的な趣味としての読書をした人の割合の年齢カーブです。2001年と2011年の曲線が描かれています。
どの年齢層も,この10年間で読書の実施率が下がっています。この中には電子書籍による読書は含まれるでしょうから,スマホなどの危機の普及が原因ではありません。電子書籍を含め,書物を手に取る人間が減ってきている,ということです。
グラフから分かるように,それはとくに働き盛りの層で顕著です。2本の曲線の落差が大きくなっています。私の年齢層(40代前半)では,54.4%から45.7%へと,10ポイント近くの低下です。
バリバリの働き盛りですが,おそらくは長時間労働ゆえに,書を手に取るゆとりがなくなっているのでしょう。人手不足が影響しているのか,この10年間で平均仕事時間も増えています。
2011年のデータによると,40代前半の男性有業者の平均仕事時間は,平日1日あたり10時間を超えます。また,35~44歳の男性有業者の5人に1人が,1日12時間以上働いています。
https://twitter.com/tmaita77/status/843793188515078144
https://twitter.com/tmaita77/status/843774234740441088
加えて,育児と介護がかさなる「ダブルケア」の問題も出てきているのでしょう。晩婚化の進行により,この年齢層でも,手のかかる幼子がいる親御さんはたくさんいますし。それでいて,老親の介護ものしかかってくる。
ちなみに今世紀以降,国民の読書実施率マップの色も,全体的に薄くなってきています。以下に掲げるのは,10歳以上の県民のうち,趣味としての読書を過去1年間にした者の割合の都道府県地図です。
全国的に「知の剥奪」が進行している,といったら言い過ぎでしょうか。都市部で相対的に率が高いのは,書店や大きな図書館が多いためでしょう。
国を挙げて,読書活動推進に向けた取組がされていますが,現実はかくのごとし。とりわけ働き盛りの層でこの傾向が顕著なことから,モノ言わぬ労働者の増殖が進んでいることの数値的な表現といえるかもしれません。この上に,やりたい放題のブラック企業も蔓延ることになります。
ある程度の分量(深み)のある本を読まず,スマホでネットニュースの短いタイトル(リード文)をみて,それだけで自分の考えを決めてしまう。モノを深く考えない国民の増殖。恐ろしいことです,
最近,暴行犯の激増に象徴されるように,キレる国民が増えているといいますが,腰を据えて本を読まない人が増えていることとも関連しているような気がします。本を読まない子どもは,人の話を長く聞けない,キレやすい,という論文を読んだことがありますが,確かに頷けます。私なども,気を付けないといけないのですが。
政治の右傾化も,こうした土壌の上に蔓延りやすいことは,言うまでもないことです。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/117528.html
昔なら,しごきに耐え,長時間労働も厭わない労働者は集まったのでしょうが,最近はそうはいきません。今の学生が会社を選ぶ基準は,給与や知名度から,残業のなさや有休が取りやすいことといった「働きやすさ」にシフトしてきています。
これは随所で言われていることですが,上記の記事にとてもいいことが書いてありますので,引用させていただきましょう。
「長時間労働で疲弊した人は新聞を読む気力もなく,物事を深く考えなくなる。少しの情報だけで自分の意見を決める。それが世論になってしまう。欧州では家族で食事をとりながら会話をしたり,広場やカフェで自由に議論をしたりする。時間に余裕があるかどうかは,民主主義の成熟と深く関わっている可能性がある」。(福井新聞,2017年3月20日)
そうですねえ。日々の仕事で精一杯で,知の肥やしを得ることができなくなります。この記事では新聞に触れられていますが,国民の読書の頻度も減ってきている。とくに,働き盛りの年齢層においてです。
下のグラフは,過去1年間に,自発的な趣味としての読書をした人の割合の年齢カーブです。2001年と2011年の曲線が描かれています。
どの年齢層も,この10年間で読書の実施率が下がっています。この中には電子書籍による読書は含まれるでしょうから,スマホなどの危機の普及が原因ではありません。電子書籍を含め,書物を手に取る人間が減ってきている,ということです。
グラフから分かるように,それはとくに働き盛りの層で顕著です。2本の曲線の落差が大きくなっています。私の年齢層(40代前半)では,54.4%から45.7%へと,10ポイント近くの低下です。
バリバリの働き盛りですが,おそらくは長時間労働ゆえに,書を手に取るゆとりがなくなっているのでしょう。人手不足が影響しているのか,この10年間で平均仕事時間も増えています。
2011年のデータによると,40代前半の男性有業者の平均仕事時間は,平日1日あたり10時間を超えます。また,35~44歳の男性有業者の5人に1人が,1日12時間以上働いています。
https://twitter.com/tmaita77/status/843793188515078144
https://twitter.com/tmaita77/status/843774234740441088
加えて,育児と介護がかさなる「ダブルケア」の問題も出てきているのでしょう。晩婚化の進行により,この年齢層でも,手のかかる幼子がいる親御さんはたくさんいますし。それでいて,老親の介護ものしかかってくる。
ちなみに今世紀以降,国民の読書実施率マップの色も,全体的に薄くなってきています。以下に掲げるのは,10歳以上の県民のうち,趣味としての読書を過去1年間にした者の割合の都道府県地図です。
全国的に「知の剥奪」が進行している,といったら言い過ぎでしょうか。都市部で相対的に率が高いのは,書店や大きな図書館が多いためでしょう。
国を挙げて,読書活動推進に向けた取組がされていますが,現実はかくのごとし。とりわけ働き盛りの層でこの傾向が顕著なことから,モノ言わぬ労働者の増殖が進んでいることの数値的な表現といえるかもしれません。この上に,やりたい放題のブラック企業も蔓延ることになります。
ある程度の分量(深み)のある本を読まず,スマホでネットニュースの短いタイトル(リード文)をみて,それだけで自分の考えを決めてしまう。モノを深く考えない国民の増殖。恐ろしいことです,
最近,暴行犯の激増に象徴されるように,キレる国民が増えているといいますが,腰を据えて本を読まない人が増えていることとも関連しているような気がします。本を読まない子どもは,人の話を長く聞けない,キレやすい,という論文を読んだことがありますが,確かに頷けます。私なども,気を付けないといけないのですが。
政治の右傾化も,こうした土壌の上に蔓延りやすいことは,言うまでもないことです。
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