大みそかの夜ですが,いかがお過ごしでしょうか。今年もあと数時間となりましたが,年を越す前に,今年やったことを総括しておこうと思います。
まず本業?の大学非常勤講師ですが,今年度の担当授業は前期2コマ,後期5コマでした。前者は,「調査統計法2」(武蔵野大学,水5)と「リカレント教育論」(武蔵野学院大学,金2)です。後者は,「不平等の社会学」(武蔵大学,月2),「教育社会学」(杏林大学,火5・6),「調査統計法1」(武蔵野大学,水5),「ボランティア論」(武蔵野学院大学,金2)です。
今年から練馬の武蔵大学にお邪魔しているのですが,この大学の情報処理センターはスゴイ。全部のパソコンにSPSSが入っており,国際成人力調査(PIAAC)のローデーターのDL作業に使わせていただきました。感謝!
いくつかの大学に行っているのですが,ICT環境一つとっても,大学によってずいぶん違うな,という印象です。でも,武蔵の情報処理センター,ガラガラでしたな。勿体ない。学生さんはこういう施設(図書館も)をフルに活用し,学費の元をバッチリ取るべし。
研究ほうは,7月に『教育の使命と実態-データからみた教育社会学試論-』という著書を武蔵野大学出版会より出しました。私にとって,3冊目の単著です。①子ども,②家庭,③学校,④教員,⑤青年,および⑥社会という切り口を設け,教育の「見えざる」諸相をデータで明らかにしています。割引販売もいたしておりますので,ご希望の方はご連絡ください。
http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-903281-23-0.html
あと一つの業である文筆は,これまで出してきた教員採用試験の参考書(実務教育出版社)の内容改訂を行いました。看板の『教職教養らくらくマスター』については,さらに有用な書籍になったと自負しております。教員志望の学生さんのお役に立てれば幸いです。
なお今年より,同社の『受験ジャーナル』という雑誌にて,「データで見る世相」という連載原稿を執筆しております。見開き2ページのスペースにて,特定の主題についてデータを交えた記事を書かせていただいてます。下の写真は,初回のもの。こんな感じっす。
さて,このブログについても,2013年のまとめをしておきましょう。毎日ツイッターにて,前日のブログPV数を記録しているのですが,そのデータを接合して,1月1日から昨日(12月30日)までのPV数の推移をグラフにしてみました。
1日あたりだいたい1,500くらいで推移していますが,突出した日も含めた364日の平均値を出すと,1日あたり2,913です。来年は,この数値がもっと増えればよいな,と思っております。
ちなみに,1日のPV数が10,000を越えたのは7回です。マックスは9月12日の30,051です。この日に公開した,「都道府県別の大学進学率」という記事をみてくださる方が多かったようです。「大学進学率」という言葉でググると,この記事が2番目に出てきます。
http://tmaita77.blogspot.jp/2013/09/blog-post_12.html
早いもので,2010年12月17日に本ブログを開設してから3年が経過しました。執筆した記事は,合計で694です(本記事も含む)。はて,どの記事が多く見られているのか。下の表は,PV数の上位10位の記事を整理したものです。
トップは,昨年の8月末に書いた,博士課程院生の進路の記事ですが,先ほどの「都道府県別の大学進学率」がその次に来ており,もう少しで抜く勢いです。こないだ,PIAACのデータを使って書いた「成人の知的好奇心の国際比較」もランクインしていますな。
赤字は今年に書いた記事です。これまでストックした記事の上にあぐらをかくことなく,常に情報を更新していこうと思っております。来年の総括の記事では,上表の全ての記事が赤字になるよう,がんばります。
長くなりましたので,この辺りで。来年も,本ブログをよろしくお願い申し上げます。では皆様,よいお年をお迎えください。
舞田 敏彦 拝
2013年12月31日火曜日
2013年12月30日月曜日
2013年12月の教員不祥事報道
師走ですが,今月も,私がキャッチした限りで37件の教員不祥事報道がありました。わいせつや体罰といった「お決まり」のものに加えて,個人情報紛失のような事案も見受けられます。持ち帰り仕事をせざるを得ない,教員らの多忙に由来するともいえるでしょう。
今月は明日が残っていますが,明日の記事ではこの1年間の総括をする予定なので,不祥事報道の整理は1日早めた次第です。
<2013年12月の教員不祥事報道>
・体罰教諭「首絞めたの思い出した」…学校再謝罪(12/1,読売,山形,中,男,40代)
・免停中の中学教諭、オートバイを酒気帯び運転(12/2,読売,福岡,中,男,50)
・電車で盗撮後男性客殴った小学校教頭、在宅起訴(12/3,兵庫,読売,小,男,54)
・教え子の着替え盗撮の疑い 小学教諭を書類送検(12/3,朝日,福岡,小,男,37)
・警告無視、元交際相手につきまとった教諭逮捕(12/5,読売,北海道,小,男,30)
・高3女子とわいせつな行為、中学校教諭を懲戒免 (12/5,読売,北海道,中,男,23)
・中学教諭を書類送検=少女にみだらな行為(12/7,時事通信,岐阜,中,男,44)
・都教委も仰天、AV女優だったエリート先生(12/8,イザ!,東京,小,女,27)
・<脅迫文>学校に送付 授業視察を中止 小学校教諭逮捕
(12/11,毎日,愛知,小,男,22)
・児童28人分情報入りUSB、女性担任が紛失(12/11,読売,東京,小,女)
・生徒会長選挙で教師が落選運動 埼玉東部の市立中、謝罪
(12/13,朝日,埼玉,中,男女1名)
・暴言の中学教諭を減給(12/17,愛知,毎日,中,男,26)
・同上(愛知,窃盗容疑:小男41,威力業務妨害容疑:中男27)
・音楽講師に美術担当指示 高知の中学校長(12/18,高知,共同通信,中,男,57)
・蛇口41個開き、校舎水浸しに 教諭を懲戒免職処分 (12/18,朝日,大阪,中,男,27)
・生徒の胸ぐらつかみ、首絞めた容疑 教諭を書類送検 (12/18,朝日,大阪,中,男,34)
・講師ら3人を減給 北九州市教委 体罰加えけが、保護者を中傷
(12/18,福岡,体罰:中男25,体罰:中男41,保護者を中傷:小男58)
・信楽中女子バスケ顧問、体罰で懲戒処分(12/19,京都,京都新聞,中,男,47)
・児童情報のUSB盗難…教諭、自宅でかばんごと (12/19,読売,岡山,小,女,50代)
・無免許運転11年、小学校教諭処分 母親に打ち明け発覚(12/19,朝日,福島,小,40)
・同上(福島,体罰:中男48)
・指導中もみあい中3けが…講師を書類送検(12/19,大阪,読売,中,男,33)
・講師が他校生徒にわいせつ行為、懲戒免職(12/19,静岡,静岡新聞,特,男,30代)
・教諭5人を懲戒処分 教育長「県民裏切りおわび」 わいせつ、酒気帯び、体罰
(12/20,千葉,千葉日報,わいせつ:高男36)
・椅子投げ女子生徒けが=男性教諭を懲戒処分―(12/21,佐賀,時事通信,中,男,50代)
・西脇工監督が体罰=高校駅伝強豪、部員たたく(12/22,兵庫,時事通信,高,男,50)
・小型カメラでスカート内盗撮、主任教諭を懲戒免(12/22,読売,東京,中,男,47)
・校長がUSB紛失…全校生徒ら1029人分情報(12/24,読売,大阪,高,男)
・無断欠勤続けた教諭を停職6カ月に(12/25,神奈川,神奈川新聞,小,男,33)
・同僚に睡眠薬の講師免職(12/25,大阪,時事通信,小,女,60)
・小学校の女性講師、休日にバイトでオイルマッサージ(12/25,大阪,産経,小,女,30)
・全裸にスニーカーとリュックサック 公然わいせつ容疑で中学校教諭逮捕
(12/25,産経,神奈川,中,男,35)
・中学野球部男性顧問、生徒に体罰 さいたま市教委が減給処分
(12/26,埼玉,埼玉新聞,中,男,36)
・児童の修学旅行費、部活動費…なんと校長が着服
(12/26,読売,熊本,小,男30代,男50代)
・生徒平手打ち、店員に暴力…中高教諭3人減給
(12/27,石川,読売,体罰:高男30代,中男50代,暴力:中50代)
・音楽講師が無免許で英語指導 静岡市の中学校
(12/27,静岡,静岡新聞,無免許指導:中女20代,指示:中男50代)
・中間テストの回答、改ざんして加点…教諭を処分(12/28,岐阜,読売,中,男,29)
今月は明日が残っていますが,明日の記事ではこの1年間の総括をする予定なので,不祥事報道の整理は1日早めた次第です。
<2013年12月の教員不祥事報道>
・体罰教諭「首絞めたの思い出した」…学校再謝罪(12/1,読売,山形,中,男,40代)
・免停中の中学教諭、オートバイを酒気帯び運転(12/2,読売,福岡,中,男,50)
・電車で盗撮後男性客殴った小学校教頭、在宅起訴(12/3,兵庫,読売,小,男,54)
・教え子の着替え盗撮の疑い 小学教諭を書類送検(12/3,朝日,福岡,小,男,37)
・警告無視、元交際相手につきまとった教諭逮捕(12/5,読売,北海道,小,男,30)
・高3女子とわいせつな行為、中学校教諭を懲戒免 (12/5,読売,北海道,中,男,23)
・中学教諭を書類送検=少女にみだらな行為(12/7,時事通信,岐阜,中,男,44)
・都教委も仰天、AV女優だったエリート先生(12/8,イザ!,東京,小,女,27)
・<脅迫文>学校に送付 授業視察を中止 小学校教諭逮捕
(12/11,毎日,愛知,小,男,22)
・児童28人分情報入りUSB、女性担任が紛失(12/11,読売,東京,小,女)
・生徒会長選挙で教師が落選運動 埼玉東部の市立中、謝罪
(12/13,朝日,埼玉,中,男女1名)
・暴言の中学教諭を減給(12/17,愛知,毎日,中,男,26)
・同上(愛知,窃盗容疑:小男41,威力業務妨害容疑:中男27)
・音楽講師に美術担当指示 高知の中学校長(12/18,高知,共同通信,中,男,57)
・蛇口41個開き、校舎水浸しに 教諭を懲戒免職処分 (12/18,朝日,大阪,中,男,27)
・生徒の胸ぐらつかみ、首絞めた容疑 教諭を書類送検 (12/18,朝日,大阪,中,男,34)
・講師ら3人を減給 北九州市教委 体罰加えけが、保護者を中傷
(12/18,福岡,体罰:中男25,体罰:中男41,保護者を中傷:小男58)
・信楽中女子バスケ顧問、体罰で懲戒処分(12/19,京都,京都新聞,中,男,47)
・児童情報のUSB盗難…教諭、自宅でかばんごと (12/19,読売,岡山,小,女,50代)
・無免許運転11年、小学校教諭処分 母親に打ち明け発覚(12/19,朝日,福島,小,40)
・同上(福島,体罰:中男48)
・指導中もみあい中3けが…講師を書類送検(12/19,大阪,読売,中,男,33)
・講師が他校生徒にわいせつ行為、懲戒免職(12/19,静岡,静岡新聞,特,男,30代)
・教諭5人を懲戒処分 教育長「県民裏切りおわび」 わいせつ、酒気帯び、体罰
(12/20,千葉,千葉日報,わいせつ:高男36)
・椅子投げ女子生徒けが=男性教諭を懲戒処分―(12/21,佐賀,時事通信,中,男,50代)
・西脇工監督が体罰=高校駅伝強豪、部員たたく(12/22,兵庫,時事通信,高,男,50)
・小型カメラでスカート内盗撮、主任教諭を懲戒免(12/22,読売,東京,中,男,47)
・校長がUSB紛失…全校生徒ら1029人分情報(12/24,読売,大阪,高,男)
・無断欠勤続けた教諭を停職6カ月に(12/25,神奈川,神奈川新聞,小,男,33)
・同僚に睡眠薬の講師免職(12/25,大阪,時事通信,小,女,60)
・小学校の女性講師、休日にバイトでオイルマッサージ(12/25,大阪,産経,小,女,30)
・全裸にスニーカーとリュックサック 公然わいせつ容疑で中学校教諭逮捕
(12/25,産経,神奈川,中,男,35)
・中学野球部男性顧問、生徒に体罰 さいたま市教委が減給処分
(12/26,埼玉,埼玉新聞,中,男,36)
・児童の修学旅行費、部活動費…なんと校長が着服
(12/26,読売,熊本,小,男30代,男50代)
・生徒平手打ち、店員に暴力…中高教諭3人減給
(12/27,石川,読売,体罰:高男30代,中男50代,暴力:中50代)
・音楽講師が無免許で英語指導 静岡市の中学校
(12/27,静岡,静岡新聞,無免許指導:中女20代,指示:中男50代)
・中間テストの回答、改ざんして加点…教諭を処分(12/28,岐阜,読売,中,男,29)
2013年12月29日日曜日
青年期の自殺の国際比較
前回は,25~34歳の自殺量の国際比較をしたのですが,それより1段下の15~24歳の状況にも関心が持たれます。シューカツ失敗自殺に象徴されるように,わが国では,学校から社会への移行期の危機が強まっているといわれます(たとえば22歳)。
今回は,15~24歳の自殺の国際比較をしてみようと思います。この層は,子どもと大人の狭間にあり,社会において果たす役割を見つけることを期待される青年層です。以下では,青年ということにいたしましょう。
自殺量の指標ですが,まずは,自殺者がベース人口のどれほどに相当するかという,自殺率を出しましょう。それとあと一つ,死因全体に占める自殺の比重も計算してみます。最近の日本では,青年層の死因の半分が自殺などといわれますが,他国ではどうなのかに興味を持ちます。
私は,WHOの“Mortality Database”にあたって,計算に必要な数値を79か国分収集しました。手始めに,わが国を含む主要6か国のデータをみていただきましょう。カッコ内は,統計の年次です。
http://apps.who.int/healthinfo/statistics/mortality/whodpms/
ほう。死因中の自殺比,自殺率とも,日本がトップですね。その次は,お隣の韓国。この東アジアの2国と欧米4か国の間に断絶があります。
前回みたように,25~34歳では韓国の自殺率が最も高いのですが,1段下の青年層では,わが国のほうが高いのだなあ。あと,死因に占める自殺の比重が高いのは,やっぱり日本の特徴なのですな。
今みたのは6か国ですが,比較の対象を79か国に広げてみましょう。上記の2指標をもとに2次元のマトリクスを構成し,その上に79の社会を散りばめてみました。点線は,79か国の平均値を表します。ほとんどの国が2008年のデータですが,上表の韓国と米国のように,年次が前後にズレている国も若干あります。ご了承ください。
やっぱり世界は広し。縦軸の自殺率でみると,わが国よりも値が高い社会が7つあります。カザフスタンやロシアなど,旧共産圏の青年の自殺率が高いのはよく聞くところですが,北欧のフィンランドが入っているのがちと意外。でも後述のように,この社会では,以前に比したら青年の自殺率はグンと下がっているのですが。
次に,横軸の死因中の自殺比でみると,こちらはわが国がトップです。青年の死因の4割超が自殺であるのは,世界を見渡しても日本だけなり。まあこのことは,病気や事故で命を落とす青年が少ないことと表裏ですが,わが国の青年の「内向性」が垣間見れるような気がします。「自己責任!」が美徳とされる社会ですから。
最後に,20年前の1990年に比して,各国の位置がどう動いたかを観察してみましょう。色をつけた8か国について,1990年のデータをつくり,上図の最近のドットと線でつないでみました。下の図にて,8つの社会の位置変化を見てとることができます。矢印のしっぽは1990年,先端は上図と同じ位置を表します。
この20年間で右上に大きく動いているのは,日韓の2国だけです。米英とフィンランドはその逆。フィンランドなんかは,90年代以降にかけて青年の自殺率が半減しているではありませんか。役割模索期の青年にとっての「失われた20年」は,万国共通のものではないのですね。
なお,フィンランドの自殺率低下の事情については,下記の記事にて紹介されています。
http://xbrand.yahoo.co.jp/category/lifestyle/4917/4.html
われわれは,今,自分が目にしていることを「普遍的」であるかのように思いがちですが,そういうことはなく,時代比較や国際比較をすることで,「今,ここ」という呪縛から己を解き放つことができます。そのためのデータを提供することも,社会学の重要な役目なのではないか,と考えております。
今回は,15~24歳の自殺の国際比較をしてみようと思います。この層は,子どもと大人の狭間にあり,社会において果たす役割を見つけることを期待される青年層です。以下では,青年ということにいたしましょう。
自殺量の指標ですが,まずは,自殺者がベース人口のどれほどに相当するかという,自殺率を出しましょう。それとあと一つ,死因全体に占める自殺の比重も計算してみます。最近の日本では,青年層の死因の半分が自殺などといわれますが,他国ではどうなのかに興味を持ちます。
私は,WHOの“Mortality Database”にあたって,計算に必要な数値を79か国分収集しました。手始めに,わが国を含む主要6か国のデータをみていただきましょう。カッコ内は,統計の年次です。
http://apps.who.int/healthinfo/statistics/mortality/whodpms/
ほう。死因中の自殺比,自殺率とも,日本がトップですね。その次は,お隣の韓国。この東アジアの2国と欧米4か国の間に断絶があります。
前回みたように,25~34歳では韓国の自殺率が最も高いのですが,1段下の青年層では,わが国のほうが高いのだなあ。あと,死因に占める自殺の比重が高いのは,やっぱり日本の特徴なのですな。
今みたのは6か国ですが,比較の対象を79か国に広げてみましょう。上記の2指標をもとに2次元のマトリクスを構成し,その上に79の社会を散りばめてみました。点線は,79か国の平均値を表します。ほとんどの国が2008年のデータですが,上表の韓国と米国のように,年次が前後にズレている国も若干あります。ご了承ください。
やっぱり世界は広し。縦軸の自殺率でみると,わが国よりも値が高い社会が7つあります。カザフスタンやロシアなど,旧共産圏の青年の自殺率が高いのはよく聞くところですが,北欧のフィンランドが入っているのがちと意外。でも後述のように,この社会では,以前に比したら青年の自殺率はグンと下がっているのですが。
次に,横軸の死因中の自殺比でみると,こちらはわが国がトップです。青年の死因の4割超が自殺であるのは,世界を見渡しても日本だけなり。まあこのことは,病気や事故で命を落とす青年が少ないことと表裏ですが,わが国の青年の「内向性」が垣間見れるような気がします。「自己責任!」が美徳とされる社会ですから。
最後に,20年前の1990年に比して,各国の位置がどう動いたかを観察してみましょう。色をつけた8か国について,1990年のデータをつくり,上図の最近のドットと線でつないでみました。下の図にて,8つの社会の位置変化を見てとることができます。矢印のしっぽは1990年,先端は上図と同じ位置を表します。
この20年間で右上に大きく動いているのは,日韓の2国だけです。米英とフィンランドはその逆。フィンランドなんかは,90年代以降にかけて青年の自殺率が半減しているではありませんか。役割模索期の青年にとっての「失われた20年」は,万国共通のものではないのですね。
なお,フィンランドの自殺率低下の事情については,下記の記事にて紹介されています。
http://xbrand.yahoo.co.jp/category/lifestyle/4917/4.html
われわれは,今,自分が目にしていることを「普遍的」であるかのように思いがちですが,そういうことはなく,時代比較や国際比較をすることで,「今,ここ」という呪縛から己を解き放つことができます。そのためのデータを提供することも,社会学の重要な役目なのではないか,と考えております。
2013年12月26日木曜日
90年代以降の若者の自殺(国際比較)
以前は,WHOの“ World Health Statistic annual ”という資料に,各国の年齢層別の自殺者数が載っていたのですが,近年のものにはそれがないので,どうしたことかと思っていました。
どうやら最近では,死因の国際統計は,WHOホームページの“Mortality Database”で提供されているようです。下記サイトで条件を指定することにより,目的の情報を得ることができます。自殺は,“Intentional self-harm”です。
http://apps.who.int/healthinfo/statistics/mortality/whodpms/
私はここから,1990年以降の25~34歳の自殺者数を,主要国の分だけ取り出してみました。日韓米英独仏の6か国です。6つの社会の若者の自殺者数は,下表のように推移してきています。
日本をみると,この20年間で若者の自殺者は2,160人から3,550へと増えています。倍率にすると1.6倍です。お隣の韓国は3倍近くなり。今,この国の若者は大変だそうですが,それは自殺者数にも表れています。
http://dametv.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-5fec.html
しかるに,他の4か国では,若者の自殺者は減少をみています。ドイツに至っては,1,922人から912人へと半減以下です。若者にとっての「失われた20年」は,国際的にみて普遍なものではないのですね。
念のため,25~34歳人口で除した自殺率の推移も掲げておきましょう。計算に使うベースの人口も,上記のWHOデータベースにて得ることができます。いやはや便利。
ベース人口を考慮した自殺率でみても,この20年間で上昇傾向にあるのは日韓だけです。「若者の危機」がいわれて久しいですが,それは社会によって一様ではないことが知られます。「若者が大変なのはどこの国も同じだ」と政治家が口にするのを見たことがありますが,そういう弁明が果たして正しいのかどうか・・・。
はて,世界的にみてイレギュラーなのは日韓の2国なのか,それとも欧米の4国なのか。この点を知るには,比較の対象をもっと広げる必要があります。より多くの社会について,90年代初頭と最近の自殺率を出し,両者のマトリクス上に各々を散りばめた布置図をつくれば,事態はクリアーになるでしょう。後々の課題にしようと思います。
どうやら最近では,死因の国際統計は,WHOホームページの“Mortality Database”で提供されているようです。下記サイトで条件を指定することにより,目的の情報を得ることができます。自殺は,“Intentional self-harm”です。
http://apps.who.int/healthinfo/statistics/mortality/whodpms/
私はここから,1990年以降の25~34歳の自殺者数を,主要国の分だけ取り出してみました。日韓米英独仏の6か国です。6つの社会の若者の自殺者数は,下表のように推移してきています。
日本をみると,この20年間で若者の自殺者は2,160人から3,550へと増えています。倍率にすると1.6倍です。お隣の韓国は3倍近くなり。今,この国の若者は大変だそうですが,それは自殺者数にも表れています。
http://dametv.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-5fec.html
しかるに,他の4か国では,若者の自殺者は減少をみています。ドイツに至っては,1,922人から912人へと半減以下です。若者にとっての「失われた20年」は,国際的にみて普遍なものではないのですね。
念のため,25~34歳人口で除した自殺率の推移も掲げておきましょう。計算に使うベースの人口も,上記のWHOデータベースにて得ることができます。いやはや便利。
ベース人口を考慮した自殺率でみても,この20年間で上昇傾向にあるのは日韓だけです。「若者の危機」がいわれて久しいですが,それは社会によって一様ではないことが知られます。「若者が大変なのはどこの国も同じだ」と政治家が口にするのを見たことがありますが,そういう弁明が果たして正しいのかどうか・・・。
はて,世界的にみてイレギュラーなのは日韓の2国なのか,それとも欧米の4国なのか。この点を知るには,比較の対象をもっと広げる必要があります。より多くの社会について,90年代初頭と最近の自殺率を出し,両者のマトリクス上に各々を散りばめた布置図をつくれば,事態はクリアーになるでしょう。後々の課題にしようと思います。
2013年12月24日火曜日
いじめがよく把握されている県はどこか
文部科学省は毎年,いじめの認知件数を公表していますが,この数値がいじめの実態を反映したものでないことはよく知られています。当局の取り締まりの強度によって,数が大きく左右されますものね。
この点は,上の図からも分かります。各県の中学校のいじめ認知件数は,いじめを容認する生徒の割合と相関していません。東京や神奈川は,いじめを容認する生徒が多いにもかかわらず,当局が認知した件数は少ない。これらの県では,闇に葬られた,いわゆる「暗数」が多いものと思われます。私の郷里の鹿児島などは,その逆です。
私はここにて,横軸のいじめ容認率から各県のいじめの「期待度数」を出し,それを統計上の認知件数と照合することで,いじめ把握度という指標を計算してみようと思います。各県がいじめの把握にどれほど本腰を入れているかを測る,ガンバリ尺度です。
首都の東京を例に,計算の過程を説明します。2012年度の『全国学力・学習状況調査』の生徒質問紙調査によると,東京の公立中学校3年生のいじめ容認率は8.7%です。同年5月の公立中学校3年生の生徒は231,211人(『学校基本調査』)。よって,いじめを容認している中学校3年生の実数は,20,115人と見積もられます。
この数をもって,いじめの期待度数とし,統計上の認知件数と比べてみるのです。2012年度の『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によると,同年度中に都の中学校で認知されたいじめ件数は4,660件なり。先ほど割り出した期待度数の,おおよそ23%に相当します(4,660/20,115 ≒ 0.23)。
大都市の東京では,当局が掬ったいじめ件数は,期待される水準の5分の1というところです。いじめは「見えにくい」現象ですので,これでも「よし」とすべきでしょうか・・・。
それを知る目安を得るには,他県との比較が必要です。私はこのやり方で,47都道府県の中学校のいじめ把握度を計算しました。下の表は,その一覧です。最高値には黄色,最低値には青色のマークを付しました。上位5位の数字は赤色にしています。
最初の図からも分かることですが,鹿児島はスゴイですねえ。この県では,期待度数の3倍以上のいじめが認知されています。ほか,数値が1.0を越えるのは山梨です。2011年10月の大津市いじめ自殺事件以降,全国的にいじめの取り締まりが強化されていますが,この2県はとくに本腰を入れたのだろうと思います。
しかし,これら2県は全体の中ではイレギュラーなケースです。いじめ把握度の全国値は0.28であり,0.2(2割)を下回る県もちらほら見られます。福島と佐賀は0.1未満。この2県では,かなりの数の「暗数」が潜んでいる可能性が・・・。
さて,各県のいじめ把握度を地図化してみましょう。0.2未満,0.2以上0.3未満,0.3以上0.4未満,および0.4以上という4つの階級を設け,各県を塗り分けてみました。
相対評価ですが,0.4を越える県,つまり期待度数の4割以上を拾っている県は,「がんばっている」県と評してよいでしょう。濃い青色がそれですが,全国的に散らばっており,地域性のようなものはなさそうです。各県の政策の有様が影響していると思われます。トップの鹿児島県は,「いじめ対策必携」なる資料を全教職員に配布している模様です。
http://www.pref.kagoshima.jp/ba04/kyoiku-bunka/school/shidou/hikkei.html
いじめの量を測る指標としては,児童生徒のいじめ容認率のような指標がいいでしょう。各県のいじめ認知のガンバリ度を計測するには,いじめの期待度数といじめ認知件数を照合して出す,いじめ把握度がよいでしょう。これらの指標も定期的に公表し,各県の状況診断に与してみてはどうでしょう。
ここにて,私が申したいことです。
この点は,上の図からも分かります。各県の中学校のいじめ認知件数は,いじめを容認する生徒の割合と相関していません。東京や神奈川は,いじめを容認する生徒が多いにもかかわらず,当局が認知した件数は少ない。これらの県では,闇に葬られた,いわゆる「暗数」が多いものと思われます。私の郷里の鹿児島などは,その逆です。
私はここにて,横軸のいじめ容認率から各県のいじめの「期待度数」を出し,それを統計上の認知件数と照合することで,いじめ把握度という指標を計算してみようと思います。各県がいじめの把握にどれほど本腰を入れているかを測る,ガンバリ尺度です。
首都の東京を例に,計算の過程を説明します。2012年度の『全国学力・学習状況調査』の生徒質問紙調査によると,東京の公立中学校3年生のいじめ容認率は8.7%です。同年5月の公立中学校3年生の生徒は231,211人(『学校基本調査』)。よって,いじめを容認している中学校3年生の実数は,20,115人と見積もられます。
この数をもって,いじめの期待度数とし,統計上の認知件数と比べてみるのです。2012年度の『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によると,同年度中に都の中学校で認知されたいじめ件数は4,660件なり。先ほど割り出した期待度数の,おおよそ23%に相当します(4,660/20,115 ≒ 0.23)。
大都市の東京では,当局が掬ったいじめ件数は,期待される水準の5分の1というところです。いじめは「見えにくい」現象ですので,これでも「よし」とすべきでしょうか・・・。
それを知る目安を得るには,他県との比較が必要です。私はこのやり方で,47都道府県の中学校のいじめ把握度を計算しました。下の表は,その一覧です。最高値には黄色,最低値には青色のマークを付しました。上位5位の数字は赤色にしています。
最初の図からも分かることですが,鹿児島はスゴイですねえ。この県では,期待度数の3倍以上のいじめが認知されています。ほか,数値が1.0を越えるのは山梨です。2011年10月の大津市いじめ自殺事件以降,全国的にいじめの取り締まりが強化されていますが,この2県はとくに本腰を入れたのだろうと思います。
しかし,これら2県は全体の中ではイレギュラーなケースです。いじめ把握度の全国値は0.28であり,0.2(2割)を下回る県もちらほら見られます。福島と佐賀は0.1未満。この2県では,かなりの数の「暗数」が潜んでいる可能性が・・・。
さて,各県のいじめ把握度を地図化してみましょう。0.2未満,0.2以上0.3未満,0.3以上0.4未満,および0.4以上という4つの階級を設け,各県を塗り分けてみました。
相対評価ですが,0.4を越える県,つまり期待度数の4割以上を拾っている県は,「がんばっている」県と評してよいでしょう。濃い青色がそれですが,全国的に散らばっており,地域性のようなものはなさそうです。各県の政策の有様が影響していると思われます。トップの鹿児島県は,「いじめ対策必携」なる資料を全教職員に配布している模様です。
http://www.pref.kagoshima.jp/ba04/kyoiku-bunka/school/shidou/hikkei.html
いじめの量を測る指標としては,児童生徒のいじめ容認率のような指標がいいでしょう。各県のいじめ認知のガンバリ度を計測するには,いじめの期待度数といじめ認知件数を照合して出す,いじめ把握度がよいでしょう。これらの指標も定期的に公表し,各県の状況診断に与してみてはどうでしょう。
ここにて,私が申したいことです。
2013年12月22日日曜日
小・中学生の学力と大卒者の正規就職率の相関
こういうデータが出たのですが,偶然(見かけ)の相関でしょうか…。
大卒者の正規就職率は,他の教科の平均正答率とも強く相関しています。公立中学校3年年生の国語Aとは+0.743,国語Bとは+0.534,数学Bとは+0.694の相関です。公立小学校6年生の国語Aとは+0.499,国語Bとは+0.469,算数Aとは+0.516,算数Bとは+0.466の相関なり。
沖縄を「外れ値」として除外すると係数値は下がりますが,統計的に有意な+の相関関係は保たれます。*上図でいうと,+0.745から+0.563に下がります。
大卒者の正規就職率と関連する指標といったら,地域の求人倍率などが思い浮かびますが,そうした労働市場の指標よりも強く,子どもの学力と関連しているのですな。
『全国学力・学習状況調査』で試される学力というのは,受験向きの学力とは違った,いわゆる「確かな学力」です。その定義は,「知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,学ぶ意欲や自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの」とされています(文科省)。
なるほど。こうした学力の多寡が,就職に影響する経路というのは,考えられなくもないです。全国学力調査の正答率に依拠して生徒を分け,各群の成人後の状況を追跡するなどの調査研究が求められるかもしれませんね。
教育の効果というのは,こうした長期的な視点からも観察・計測されるべきでしょう。
大卒者の正規就職率は,他の教科の平均正答率とも強く相関しています。公立中学校3年年生の国語Aとは+0.743,国語Bとは+0.534,数学Bとは+0.694の相関です。公立小学校6年生の国語Aとは+0.499,国語Bとは+0.469,算数Aとは+0.516,算数Bとは+0.466の相関なり。
沖縄を「外れ値」として除外すると係数値は下がりますが,統計的に有意な+の相関関係は保たれます。*上図でいうと,+0.745から+0.563に下がります。
大卒者の正規就職率と関連する指標といったら,地域の求人倍率などが思い浮かびますが,そうした労働市場の指標よりも強く,子どもの学力と関連しているのですな。
『全国学力・学習状況調査』で試される学力というのは,受験向きの学力とは違った,いわゆる「確かな学力」です。その定義は,「知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,学ぶ意欲や自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの」とされています(文科省)。
なるほど。こうした学力の多寡が,就職に影響する経路というのは,考えられなくもないです。全国学力調査の正答率に依拠して生徒を分け,各群の成人後の状況を追跡するなどの調査研究が求められるかもしれませんね。
教育の効果というのは,こうした長期的な視点からも観察・計測されるべきでしょう。
2013年12月21日土曜日
20代のワーキングプア率地図
1990年代以降,日本社会に暗雲がたちこめてきたといいますが,そうした闇の広がりを可視化した統計図をつくっています。
昨日,ツイッターで発信した「20代のワーキングプア率地図の変化」は,そのうちの一つです。各県の20代の有業者のうち,年収が200万円未満のワープアが何%占めるか計算し,それを地図化したものですが,見てくださる方が多いようです。ブログにも転載しておこうと思います。
ご覧に入れるのは,1992年と2012年の地図です。双方とも,総務省『就業構造基本調査』の統計をもとに作成したものであることを申し添えます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
地域を問わず,就労しつつも最低限の生活を得るに足りるだけの収入しか得られない「ワープア」が,若者の間で増えていることが見てとれます。ワープア率4割超という黒色が広がってきていますね。90年代以降の「失われた20年」の状況を思えば,さもありなんです。
パートやバイトとかも含めているからだろう,といわれるかもしれませんが,雇用の非正規化が進んでいる現在,こうした不安定就労で生計を立てている者も少なくないはずです(とくに若者では)。これらの層をオミットしては,事態を見誤ることになるでしょう。
ツイッター上の反応をみると,「全国が総ブラック化するのは時間の問題」といったコメントが散見されます。派遣法が改正され,全ての職種で「ハケン」が使えるようになりましたが,確かにそうした危惧が持たれるところです。今度,『就業構造基本調査』が実施されるのは2017年ですが,そのデータで同じ地図を描いたら,どういう模様になっているか・・・。
さて,各県の数値を知りたいという要望が数件ありましたので,上記の地図の元データを提示いたします。計算の過程についてイメージを持っていただくため,分子と分母の数値も掲げます。これらの単位は千人です。
算出された県別のワープア率ですが,最高値には黄色,最低値には青色のマークをしました。また,上位5位の数値は赤色にしています。資料としてご覧ください。
今年もあと数日ですが,急に冷え込んできました。年末でお忙しいとは思いますが,皆様,体調を崩されませぬよう。
昨日,ツイッターで発信した「20代のワーキングプア率地図の変化」は,そのうちの一つです。各県の20代の有業者のうち,年収が200万円未満のワープアが何%占めるか計算し,それを地図化したものですが,見てくださる方が多いようです。ブログにも転載しておこうと思います。
ご覧に入れるのは,1992年と2012年の地図です。双方とも,総務省『就業構造基本調査』の統計をもとに作成したものであることを申し添えます。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
地域を問わず,就労しつつも最低限の生活を得るに足りるだけの収入しか得られない「ワープア」が,若者の間で増えていることが見てとれます。ワープア率4割超という黒色が広がってきていますね。90年代以降の「失われた20年」の状況を思えば,さもありなんです。
パートやバイトとかも含めているからだろう,といわれるかもしれませんが,雇用の非正規化が進んでいる現在,こうした不安定就労で生計を立てている者も少なくないはずです(とくに若者では)。これらの層をオミットしては,事態を見誤ることになるでしょう。
ツイッター上の反応をみると,「全国が総ブラック化するのは時間の問題」といったコメントが散見されます。派遣法が改正され,全ての職種で「ハケン」が使えるようになりましたが,確かにそうした危惧が持たれるところです。今度,『就業構造基本調査』が実施されるのは2017年ですが,そのデータで同じ地図を描いたら,どういう模様になっているか・・・。
さて,各県の数値を知りたいという要望が数件ありましたので,上記の地図の元データを提示いたします。計算の過程についてイメージを持っていただくため,分子と分母の数値も掲げます。これらの単位は千人です。
算出された県別のワープア率ですが,最高値には黄色,最低値には青色のマークをしました。また,上位5位の数値は赤色にしています。資料としてご覧ください。
今年もあと数日ですが,急に冷え込んできました。年末でお忙しいとは思いますが,皆様,体調を崩されませぬよう。
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