2014年10月7日火曜日

大学の退学率の布置構造(偏差値群別)

 前回は,国公立と私立に分けて,大学の学部・学科の退学率の布置図を描いたのですが,今回は,偏差値群ごとの図をみていただこうと思います。対象は,私立大学に限定します。

 読売新聞教育取材班『大学の実力2015』(中央公論新社)には,各大学の学部・学科別に,①初年次退学率と②在学期間中の退学率が掲載されています。①は,入学後1年以内の退学率です。②は,在学期間内,つまり4年ないしは6年でみた場合の退学率です。
http://www.chuko.co.jp/tanko/2014/09/004656.html

 ここにて分析対象とするのは,①と②の両方の退学率,ならびに入試偏差値を知ることができる,私立大学の1174の学部・学科です。入試偏差値は,学研教育出版社の『大学受験案内2015』に載っている数値を使いました。

 私は,1174の学部・学科を偏差値に依拠して4つの群に分けました,偏差値30台,40台,50台,60以上の4群です。BF(ボーダーフリー)は,30台の群に含めています。各群の学部・学科の数は,30台が409,40台が363,50台が294,60以上が108です。下位の群ほど多いピラミッド型ですね。

 この4群ごとに,前回と同じ図をつくってみました。横軸に初年次退学率,縦軸に在学期間中の退学率をとった座標上に,学部・学科を散りばめた図です。点線は,1174学部・学科の平均値を意味します。


 偏差値が高い群ほど,原点付近に分布が収束してきます。偏差値と退学率の間には,明瞭な相関関係があるようです。大学教育の現実を切り取った,一つの「社会アート」として展示しておこうと思います。