2016年7月27日水曜日

職業別の非正規率

 2015年の『国勢調査』の抽出速報結果が公表されています。いろいろなデータが出ていますが,雇用の非正規化が進んでいる状況ですので,就業者の非正規雇用率に関心がもたれます。

 同年10月時点の①就業者は5814万人,②非正規雇用者(派遣,パート・バイト)は1636万人,③従業地位不詳者は81万人となっています。この3つの数字を使って,非正規雇用率は28.5%と算出されます。計算式は,②/(①-③)です。従業地位不詳者は,ベースから除外したほうがよいでしょう。

 最近では,働く人間の3人に1人が非正規雇用といわれますが,的外れな憶測ではないようです。

 これは就業者全体の非正規率ですが,職業別に出すとどうか。私は,公開されている職業小分類の統計を使って,232職業の非正規率を同じやり方で計算してみました。下記サイトの表8-1より,必要な数値を採取しました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001072818&cycleCode=0&requestSender=search

 下図は,その分布です。


 数の上では,非正規率5%未満の職業が最も多くなっています。警察官,裁判官,鉄道運転士など,公共性の高い職業はみんなココです。

 教員の非正規率は,幼稚園が22.3%,小学校が11.3%,中学校が10.5%,高校が17.8%,特別支援学校が13.4%,大学が15.7%となっています。

 その一方で,非正規率が高い職業も結構あります。非正規率3割以上の職業は67(全体の28.9%),5割以上の職業は34(14.7%)です。

 非正規率が高い職業の顔ぶれをみてみましょう。下表は,非正規率3割以上の職業の一覧です。値が高い順に並べたランキングにしています。


 どうでしょう。単純作業的な職業が多いようにみえますが,近未来において,AIで代替される職業といえるかもしれません。「将来なくなる仕事」とかいう特集が雑誌でよく組まれますが,こういう指標でその目安を得るのもいいかと。

 ただ,図書館司書や保育士のような専門職も含まれますので,話はそう簡単ではありません。専門職なのに非正規率が高い,つまり待遇が劣悪。こうしたギャップに由来するフラストレーションに苛まれている人たちなのかもしれません。

 過去との対比をするのもいいですね。2010年の就業者数と比して,大幅に減った職業は何か。この点も,近未来になくなる職業を言い当てる材料になるかもしれません。回を改めて,やってみようと思います。